連載第100回 日本人以上に”MANGA”を愛したスタッフ、舞台「プルートゥ PLUTO」 | アニメ!アニメ!

連載第100回 日本人以上に”MANGA”を愛したスタッフ、舞台「プルートゥ PLUTO」

連載・コラム

(C)浦沢直樹・スタジオ ナッツ 長崎尚志 手塚プロダクション / 小学館
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高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

■ 「これまで私が培ってきたダンス、演劇、映画、そして日本での経験を総動員することで、舞台化できると確信しています」

『プルートゥ PLUTO』が舞台化される。手塚治虫の『鉄腕アトム』に含まれる「地上最大のロボット」 の回を原作としている浦沢直樹の漫画。監修・手塚眞、プロデューサー・長崎尚志、協力は 手塚プロダクション。『ビッグコミックオリジナル』にて2003年から2009年まで連載。作者・浦沢直樹が生まれて初めてマンガで感動した作品が手塚治虫の『鉄腕アトム』のエピソードのひとつである『地上最大のロボット』であったという。
浦沢直樹はこのリメイクを強く望み、手塚眞に2002年にその許諾を求めるも断られてしまう。その後、2003年に再度、手塚眞は浦沢直樹に会うこととなり、『地上最大のロボット』のリメイクを了承する。ここで手塚眞は浦沢直樹に単なるオマージュ作品にすることをせずに浦沢直樹作品として描くという要望を出した。この話は単行本の2巻の後書きに手塚眞自身が、そのいきさつについて語っている。そして同年9月より『ビッグコミックオリジナル』にて連載がスタートしたのである。

手塚治虫原作ではあくまでもアトムが主人公になっているが、この『プルートゥ PLUTO』では原作では脇役であるドイツの刑事ロボットゲジヒトの視点から物語が描かれている。そしてこの作品は第9回手塚治虫文化賞マンガ大賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第41回星雲賞コミック部門受賞と各賞を受賞している。
原作の面白さ、それは手塚治虫原作作品『鉄腕アトム』に登場するキャラクターやそれ以外の手塚作品のキャラクターやエピソードがちらほら顔をだしているからだけではない。手塚作品を知らなくても十分に面白い。オマージュ、とは言ってもかなり高度なオマージュであり、そこに作者・浦沢直樹ならではのテイストや哲学が幾重にも重なっている。そしてSFミステリーらしく、エンターテインメント性もあり、読者をぐいぐいと惹き付ける。

物語の舞台は人間とロボットが共生するようになった時代。スイス最強のロボット、モンブランが殺された。同じ頃、ドイツのロボット法擁護団体の幹部が殺害された。
二人の遺体の頭部には“角”の様な物がほどこされていた。ユーロポールが誇る高性能刑事ロボット、ゲジヒトは同一人物による犯行と推理し、捜査を進める。ゲジヒトは犯人の標的が自分を含めた7体の、大量破壊兵器になりうるロボットたちだと考えるが、その裏に隠された陰謀に巻き込まれていく。

今回の演出のシディ・ラルビ・シェルカウイは、こうコメントしている。

「”ロボットは人間と同じなのか”。手塚治虫さんの原作に描かれ、浦沢直樹さん達がさらに深められたこのテーマに対する私の答えは、Yesです。彼らは人間に奴隷扱いされているにもかかわらず、人類を救うために学び、人類より優れた存在であろうとします。彼らは、私たち人間が忘れてしまいがちな、相手の身になって考えることの尊さを、教えてくれるのです。『PLUTO』は聖書レベルの強力な物語です。非常に政治的で、父子関係に焦点が当てられ、人間のロボットに対するアパルトヘイトを描いてもいる。あまりにも濃厚な内容を持つこの物語を、これまで私が培ってきたダンス、演劇、映画、そして日本での経験を総動員することで、舞台化できると確信しています」

シディ・ラルビ・シェルカウイは振付家として1999年アンドリュー・ウェイルのコンテンポラリー・ミュージカル『Anonymous Society』でデビュー。以降、多くの振付家やパフォーマーとコラボレーション、長年の芸術パートナーとなるダミアン・ジャレとアントニー・ゴームリーとの共同制作により『Foi』『Myth』に続く三部作の完結編として『Babel (words)』を発表、ローレンス・オリヴィエ賞新作ダンス賞および舞台デザイン賞、ブノワ賞最優秀振付賞を受賞している。2014年11月18日にはベルギー国王から爵位Commander of Ordersの名誉称号を授受している。
また、彼は手塚治虫作品の大ファンであり、2012年『テ ヅカ TeZukA』(主演・森山未來)は手塚へのオマージュとして創作したダンス作品である。手塚の作品をそのままダンス化するのではなく、作品から沸き起こる様々なイメージをコラージュのようにつなぎあわせ、手塚の表現を総体として把握。そして、善悪を描くのではなくこの世界が果てしないコミュニケーションの行き違いによって成り立つことを描き続けた手塚の世界に現代社会を読み取る、シェルカウイ独自の解釈で再構築した。

そして、今回の舞台、再び森山未來とタッグを組む。その他の出演者も”強者”揃い。アトムの妹とゲジヒトの妻・ヘレナの2役を永作博美。アトムの生みの親である天馬博士役を柄本明、アトムとウランを見守るお茶の水博士役に吉見一豊、天才科学者・アブラー役、松重豊さん。そして、ゲジヒト役に寺脇康文さんという顔ぶれ。これで何も起こらないはずはない、どんな化学反応が起こるのか、コミック・アニメ・ゲームの舞台作品の中でも異彩を放つに違いない。
《高浩美》
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