■ 2014年上半期1月はミュージカル『忍たま乱太郎』。新春恒例といった感がある作品で、6月の再演では大幅に改訂している。1月公演の反省点を踏まえ、楽曲も大半を書き直したという。”よりよいものを”という追求した結果であった。また、ゲームの舞台化が目立つ。『AMNESIA』は1月初演で9月に早くも再演し、劇場は満員御礼状態だった。キャラクターの数だけ物語がある、というマルチストーリー分岐を採用している。『BLAZBLUE』は異色の作品で2D対戦型格闘ゲームの初の舞台化である。格闘シーンでゲーム感を出すために映像とアクション、音の3つを合わせ、舞台ならではのリアルさとゲームらしい虚構がマッチした。なかなかチャレンジ精神にあふれる作品であった。た『華アワセ』は乙女のための最強ゲーム誌“B’s-LOGの創刊10周年企画として登場したものだが、これを舞台化、ダンスとアクションの融合が見所であった。ゲームの舞台化ではミュージカル『薄桜鬼』や『戦国BASARA』がよく知られている。こちらもまだまだ健在、といった感じである。また、全く新しい表現に挑戦したのが『ノブナガ・ザ・フール』である。映像、声優(アニメと同役)、俳優の三つ巴で表現した。人形浄瑠璃的手法を取り入れた画期的な表現でラスト公演では、それがかなり効果的になっていた。キャラクター画像、声優の声の演技、俳優の熱のこもった芝居がひとつとなって大きなエネルギーとなり、会場全体が大きな熱気をはらんだ。アニメは2014年1月から放映されていたが、舞台のストーリーは全く異なる展開、”アニメの短縮版”ではなく、”舞台だから”、という考えでの物語の構築している。2.5次元舞台の新しい可能性や表現を追求した、という点で評価出来よう。また、舞台『銀河英雄伝説』は演出に崔洋一を迎え、映画的な手法を用いてのステージングとなった。こういった別のジャンルの方法を演劇に持ち込み、斬新さを出していたのは流石、ベテランと言えよう。硬派なところではスタジオライフの『トーマの心臓』。何度も再演されているが、原作の世界観をリスペクトし、静かに、しかしマグマのような熱量をはらみながらの舞台であった。実力派の俳優陣がメインキャラクターを演じていたが、入団2年程度の若手も抜擢、荒削りながらも将来が楽しみである。同じく硬派、といえばエイベックス・ライヴ・クリエイティブ制作の手塚治虫原作の『ファウスト』。コミック原作舞台に最も縁遠いベテラン俳優の三田佳子をメフィストフェレス役に起用し、重厚な舞台を作り上げた。もはや2.5次元ミュージカルでは”キング”的ポジションのミュージカル『テニスの王子様』、2ndシーズンの”最終章”となる”立海vs青学”の戦いが幕を開けた。3幕ものにして戦いをじっくりと見せ、長丁場な舞台であった。制作陣の意気込みが伝わる出来映えであった。
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