第27回東京国際映画祭では、TOHOシネマズ六本木において10月27日、映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』審査委員特別上映舞台挨拶が行われた。俳優の別所哲也さん、エリック・クー監督、特別ゲストとして加藤夏希さんが登壇した。『TATSUMI マンガに革命を起こした男』の原作は、1995年から連載され2008年に発行された辰巳ヨシヒロの自伝エッセイマンガ『劇画漂流』だ。辰巳ヨシヒロは貸本マンガが流行った1954年にプロのマンガ家としてデビューし、「劇画」の名付け親でもある。79歳になる現在でも現役でバンド・デシネにも多大な影響を与え、世界では手塚治虫と並ぶ日本のマンガ家だという。『劇画漂流』は2005年アングレーム国際漫画特別賞など国内外で多くの賞を受賞している。 主にシンガポールで活動しているエリック・クー監督は、「『TATSUMI マンガに革命を起こした男』はとても情熱をこめて作った作品。初のアニメーションで、最後のアニメーションになると思います。私が辰巳作品に出会ったのは20年前で、2009年に『劇画漂流』の英語版を読みました。これを映画にしなくてはと感動したのがスターティング・ポイントでした」と振り返る。 また、ナレーションなど6役で声優として出演している別所哲也さんは「海外でもさまざまな賞をなど評価を受けた作品が日本でいよいよ公開。参加した1人として本当に嬉しいです。11月15日は素晴らしい封切りになりますように」と意気込みを語った。さらに「最初に出演のお話をいただいた時は、1人で6役、できればもっとやって欲しいと言われて驚きましたね(笑)。辰巳先生のことを勉強して、新たな世界に出会うこともできて素晴らしい時間でした。僕はこの体格なので、普段の俳優業ではできないような役も演じられ嬉しい体験もできた作品です」と、映画『TATSUMI』によって新境地を開いたことも明かした。 特別ゲストとしてアニメやマンガカルチャーにも詳しい加藤夏希さんも登場、2人に花束を手渡し公開を祝った。「6役演じているとはいっても、一体どれが別所さんなのかわからないくらい全ての役で声が違うんです。私も声優の経験はありますが、気を抜くと棒読みになってしまって技術的な壁があると感じました。でも別所さんははるかにその次元を超えて、キャラクターがまるで1人の人間かのように生き生きとしています」と別所の声の演技を絶賛。加えて、「これまでマンガやアニメが好きだと言ってきましたが、辰巳先生のことはこの映画で初めて知りました。とても恥ずかしいことだなと思って。やっぱり日本のマンガやアニメって奥が深いです」という加藤さんにエリック・クー監督は「若い世代の人が見て、日本のマンガ文化にこんな素晴らしい人がいたのかと発見して欲しい。日本の良さを改めて発見できるはずです」と返した。 『TATSUMI マンガに革命を起こした男』は11月15日より角川シネマ新宿ほか全国の劇場で順次公開される。“手塚治虫が嫉妬した!”“日本だけ知らない。”のコピー通り、マンガ好きな日本人にとっても新たな発見があること間違い無しの同作。別所さんは「この映画を観てればほろ苦い人生の陰の部分と、そこに優しくなれる自分を見つけられるはずです。ぜひ、劇場であたたかい気持ちになってください」と締めくくった。 [川俣綾加] 『TATSUMI マンガに革命を起こした男』 11月15日(土)角川シネマ新宿他全国順次公開 http://tatsumi-movie.jp/ 監督: エリック・クー 声の出演: 別所哲也(一人六役)、辰巳ヨシヒロ 原作: 辰巳ヨシヒロ「劇画漂流」(青林工藝舎刊) 配給: スターサンズ 2011/シンガポール/96分/日本語/原題:TATSUMI (C)ZHAO WEI FILMS
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