シンガポールを代表する気鋭の映画監督エリック・クーが初めて挑んだアニメーション映画、それが『TATSUMI』である。本作はそのタイトルにあるように、日本のマンガ史に大きな存在感を持つ“劇画”の生みの親である辰巳ヨシヒロを描いた作品だ。本作が新たに『TATSUMI マンガに革命を起こした男』の邦題のもと、2014年秋に公開されることになった。映画は2011年の作品だが数々の国際映画祭での受賞にも関わらず、日本では上映機会が限られていた。それが11月の角川シネマ新宿をスタートに、全国順次公開される。ファン待望の公開となる。作品は辰巳の代表作で自叙伝の要素を持った『劇画漂流』をベースに、辰巳の代表作をオムニバス的に盛り込んだ。辰巳の生き様と作品が同時に楽しめる変わった構成だ。映像もアニメーションでありつつ、日本のアニメ、さらにマンガ的な表現をそのまま取り入れるなど野心的だ。さらに日本を代表するマンガ家を海外のクリエイターが表現するなど、様々な要素が組み合わさることで作品の魅力を生み出している。『TATSUMI』は、2011年にカンヌ国際映画祭に公式出品、ドバイ国際映画祭最優秀賞、シッチェス国際映画祭最優秀長編アニメーション賞など数多くの賞に輝く一方で、日本での上映は限られてきた。マンガ関係者、アニメ関係者からもより多くの人に観て欲しい作品と挙げられることが多かっただけに、貴重な機会となる。また、辰巳ヨシヒロは、海外での評価の高さに比べて日本での評価が遅れているとの声もある。映画公開は、辰巳ヨシヒロ、そして劇画について、もう一度振り返り、深く知るよいチャンスにもなるのではないだろうか。『TATSUMI マンガに革命を起こした男』11月 角川シネマ新宿ほか全国順次公開配給:スターサンズ監督: エリック・クー 原作: 辰巳ヨシヒロ「劇画漂流」声の出演: 別所哲也(一人六役)、辰巳ヨシヒロ『TATSUMI マンガに革命を起こした男』(c)ZHAO WEI FILMS
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