本作は今年のカンヌ国際映画祭ある視点部門で公式上映、先に開催されたシッチェス国際映画祭では最優秀長編アニメーション賞を受賞した。すでにヨーロッパでセンセーションを巻き起こしている。
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(c)2011 TIFF
そして、今回はいよいよ作品のモデルとなった辰巳ヨシヒロの母国である日本での上映となった。23日の夜の上映には、エリック・クー監督のほか、辰巳ヨシヒロ、そして本作で一人6役の声優を担当した俳優の別所哲也らが舞台挨拶に立った。映画についての思いを語った。
『TATSUMI』は東京国際映画祭のなかでは、アジアの作品を集めたアジアの風部門の公式作品となる。『TATSUMI』以外のノミネートは全て実写映画、このなかで異色のアニメーションがどのように評価されるか注目される。
実際に『TATSUMI』は、アニメーションとしても劇場映画としてもユニークだ。映画の中心をなすのは、『劇画漂流』のストーリーである。その物語を辰巳ヨシヒロ自身がナレーションすることで、ドキュメンタリーとしての性格を強く打ち出す。
同時に、劇中には辰巳の初期の代表作5本がやはりアニメーションとして盛り込まれている。いずれも強い印象を残すエピソードで、映画は短編アニメーションのアンソロジーとも見える。それらのエピソードは無関係に投げ込まれているわけでなく、本編の辰巳の人生ともリンクする構造だ。これまでに世界三大映画祭で大きな評価を勝ち取ってきたエリック・クー監督は、このやや複雑な構造を破綻なくまとめている。
アニメーションファン、マンガファン、映画ファン、いずれも興味深く観ることが出来るだろう。現在は、日本での公開スケジュールは未定だが、今後の展開に期待したい。
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第24回東京国際映画祭 /http://2011.tiff-jp.net/ja/