日本の劇画家・辰巳ヨシヒロをテーマにしたエリック・クー監督のアニメーション映画『TATSUMI』が、12月7日から14日まで開催された第8回ドバイ国際映画祭アジアパシフック部門で最優秀作品賞(Muhr AsiaAfrica Feature – Best Film)を受賞した。エリック・クー監督はシンガポールを代表する映画人だが、本作では声優として別所哲也さんが参加、ナレーションを辰巳ヨシヒロさん自身が務め全編が日本語で展開する。日本語映画では初の最優秀作品賞となる。 映画祭では日本からの受賞も目立った。同じアジアパシフック部門から、沖田修一監督の『キツツキと雨』が最優秀男優賞(役所広司)、最優秀脚本賞、最優秀編集賞を獲得した。ドキュメンタリー部門ではセカンドプライズに砂田麻美監督の『エンディングノート』、ヒューマン・ライツ・フィルム・ネットワーク賞に井手洋子監督の『ショージとタカオ』が選ばれた。 ドバイ国際映画祭は2004年にスタート、当初はアラブ圏の映画を対象にしてきた。しかし、現在はより幅広い映画を対象に、アラブ部門、アジアパシフィック部門を中心とする。アラブ地域の映画産業振興を目指し、ドバイフィルム・マーケットも設けるなど、地域を代表する国際映画祭に成長した。 最優秀作品賞に輝いた『TATSUMI』は、辰巳ヨシヒロさんの自伝マンガ『劇画漂流』を軸に、複数の短編マンガを取り込み長編映画とした。劇画タッチのアニメーションが辰巳ヨシヒロ作品の雰囲気を見事に描き出した。 本作は、カンヌ国際映画祭ある視点部門に公式出品、シッチェス国際映画祭最優秀長編アニメーション賞を受賞している。さらに米国アカデミー賞外国映画賞にはシンガポールを代表して出品されている。アニメーションという枠組みを超えて高い評価を勝ち取っており、今後もさらなる評価の広がりが期待される。 ドバイ国際映画祭 /http://www.dubaifilmfest.com/
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