庵野秀明「監督の仕事は責任を取ること」 エヴァへ言及でも注目の映画祭トーク4日目 | アニメ!アニメ!

庵野秀明「監督の仕事は責任を取ること」 エヴァへ言及でも注目の映画祭トーク4日目

10月27日第27回東京国際映画祭の特集上映「庵野秀明の世界」第4回トークセッションが開催された。今回はアニメ監督作品をテーマにトークが繰り広げられた。

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第4回「庵野秀明の世界」
  • 第4回「庵野秀明の世界」
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  • エヴァ初号機@TOHOシネマズ日本橋
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10月27日(月)TOHOシネマズ日本橋にて、第27回東京国際映画祭の特集上映「庵野秀明の世界」第4回トークセッションが開催された。第1回はアマチュア時代、第2回は実写作品、第3回はアニメーターとしての仕事ぶりに迫ってきたが、今回はアニメ監督作品をテーマにトークが繰り広げられた。

イベント前半では1997年公開の「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」より、総集編「DEATH(TRUE)2」と「Air/まごころを、君に」が上映された。
その後、庵野秀明さんとアニメ・特撮研究家の氷川竜介さんが登壇。商業アニメ初監督作であるOVA『トップをねらえ!』から、現在制作中の最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』まで、さまざまな作品に関するエピソードが飛び出した。

まず庵野さんは監督という職業について「仕事は責任を取ることだけ。他には何もないんです」と断言。出来上がったものに対し、OKを出すかNGを出すかを決めて、その責任を取る役職であると語った。そして自分は責任感がないため監督には向かないし、なろうとも思っていなかったと話した。
だが『トップ』が難航したため監督を決断。演出の経験がないまま監督としてのキャリアをスタートさせた。その際には『王立宇宙軍』での経験が役立ったそうだ。

『王立』ではアニメーターとしてだけでなく、どのカットを手直しするか決める「リテイク制作」にも携わり、限られた時間の中で全体のクオリティを維持する方法を学んだという。庵野さんは「監督には”この画面はこれで良いんだ”と言い切る力が必要」と語っており、取捨選択を素早く決断できる能力が監督にとって欠かせないスキルのようだ。
実際に『トップ』の5話と6話はわずか3ヶ月で制作されている。この短期間で作品を完成させたことは、その後の自信にも繋がっていると答えた。

テレビシリーズの初監督作『ふしぎの海のナディア』については、NHKから送られてきた脚本を変えるために苦労したことなど、多くの逸話が語られた。
ナディアのおヘソを出したセクシーな衣裳も、当初は第1話だけの予定だったとのこと。「どれだけ露出があるかで女の子のキャラの人気は決まりますから」とファンの笑いを誘った。

「エヴァ」旧劇場版に話題が移ると、テレビシリーズの最終2話をリメイクした「Air/まごころを、君に」だけでなく、世界観をリライトした完全新作も上映する予定だったと明かした。後の「新劇場版」とも異なる幻の劇場版は、ほぼ絶滅状態にある人類がATフィールドによって守られた土地で暮らすダークな設定で、テレビではできなかった使徒が人を喰うというショッキングな描写も盛り込まれていた。

「エヴァ」について庵野さんは「本当に魂を削る仕事です」と精神的に苛酷な作品であることを溜息混じりに訴えた。しかしテレビシリーズが終わり苦心していたときに、宮崎駿監督から「作れるようになるまで好きなだけ休めばいい。あれだけのことをやったんだから、必ず人も金も集まってくる」と電話を貰ったことが大きな励みになったと、胸の内を披露した。
続いて「新劇場版」の序が2007年、破が09年、Qが12年と公開間隔が延びていることに触れ「次は4年か5年かな、6年先でもいいかな。いや頑張ります」と冗談を飛ばした。会場は期待を込めたファンの拍手に包まれ、イベントは予定時間を越える大盛況で幕を閉じた。
[高橋克則]

「庵野秀明の世界」
/http://2014.tiff-jp.net/news/ja/?p=25603

第27回東京国際映画祭
/http://www.tiff-jp.net/ja/
開催期間: 2014年10月23日(木)~10月31日(金)
《高橋克則》
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