<一輝VSリュムナデスのカーサ>
海王ポセイドンを守る闘士のひとり、カーサ。その人が心の底で大切にしている人の姿に攻撃してくるため、師匠や兄の姿を見せられた星矢や氷河、瞬は倒されてしまう。ここでも危機を救うのは、一輝だ。強さと冷徹さを併せ持ち、弟・瞬の姿になったカーサにも容赦はしなかった。
だがこの戦いのハイライトは、メーンが終わった後。死に際のカーサが、なんとか弱みを探ろうとし、一輝が聖衣を手に入れるための修行中に出会った女性に姿を変える。その姿を見せられ涙するシーンは、冷徹なだけではない一輝の奥深さを感じさせる。
魅力的なバトルシーンに共通するのは、「勝てそうにない格上の敵との戦い」「仲間を信頼し、前に進むことを宣言する熱い言葉」だ。さらにこれに、敵の技や戦い方を自らのものにしながらの成長が加わることで、単なるバトルマンガに終わらない作品になっている。
「ここまでやるか」というぐらい仲間のための自己犠牲を口にし、巧みに組み立てられた因縁=戦う理由を背負って戦いに挑み、華麗な技を披露する――このシンプルな物語が多くのファンを熱狂させたのは、細部に宿る魅力的なバトルシーンとキャラクター=作者が訴えるメッセージだろう。時に熱が入りすぎるかもしれないが、戦いという究極の場面でキャラクターが訴える言葉は、次元の壁を超えて読者・視聴者の心に刺さるのだ。
[文:マンガナイト・山内康裕、bookish]
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