ネットワークセキュリティのエバンジェリスト・辻伸弘が語る『攻殻機動隊 ARISE』とネットの世界 前編 | アニメ!アニメ!

ネットワークセキュリティのエバンジェリスト・辻伸弘が語る『攻殻機動隊 ARISE』とネットの世界 前編

『攻殻機動隊』のシリーズでは、ネットワーク犯罪などがリアリティをもって描かれる。現実社会のスペシャリストはこれをどう見るのか?ネットワークセキュリティのエバンジェリスト・辻伸弘さんに、『攻殻機動隊』とネットワークセキュリティについて話をうかがった。

インタビュー
士郎正宗氏の原作誕生から、2014年で25周年を迎えた。その記念すべき年に、『攻殻機動隊』の新たな物語が紡がれる。若かりし頃の草薙素子が己の部隊を立ち上げるその顛末が描かれた作品、『攻殻機動隊ARISE』だ。
2013年6月『border:1』の劇場上映を皮切りにシリーズは全4話で描かれることとなる。その第3話にあたる『border:3』が6月28日(土)に上映をスタートした。
『攻殻機動隊』のシリーズ各作品では、超ウィザード級のハッカーである草薙素子を始め多くのハッカーが登場し、ネットワーク犯罪などがリアリティをもって描かれている。こうしたハッカーやハッキングは現実社会のネットワークセキュリティのスペシャリストからはどう見えるのだろうか?ネットワークセキュリティのエバンジェリスト(*)として活躍している辻伸弘さんに、『攻殻機動隊』とネットワークセキュリティについて話をうかがった。『攻殻機動隊』が大好きという辻さんの明かすネットセキュリティの最前線の話も必見だ。
*エバンジェリスト:特定の物事を分かりやすく伝え、広める「伝道師」
[取材:アニメ!アニメ!編集部、ScanNetSecurity編集部、構成:細川洋平]

□ 辻伸弘 (つじ・のぶひろ)
大阪府出身。ソフトバンク・テクノロジー株式会社に所属。ネットワークセキュリティのエバンジェリストとして活躍。情報システムの弱点を洗い出し修正方法を助言するペネトレーションテスト(侵入テスト)を中心にコンピューターセキュリティ全般を請け負う。現在は攻撃視点を意識しつつ情報セキュリティに関する調査などを行い、情報発信を続けている。

『攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears』
/ http://www.kokaku-a.jp/

■ 『攻殻機動隊』との出会い、ハッキングとの初めての遭遇

-アニメ!アニメ!(以下、AA)
辻さんはネットワークセキュリティの専門家として非常に高名なのですが、そもそもITへの関心はいつ頃から持たれたのでしょうか?

-辻伸弘さん(以下、辻)
背伸びしている子どもだったのでサブカルチャーっぽいものや大人が見るようなアニメが好きで、その辺を追うと「インターネット」に行き着いたんです。まだちゃんとしたインターネットの法律もない時代で、「自分しか知らない」という空気もあったし、怪しい雰囲気に惹かれてネットを始めました。俗にいう中二病だったんですよね。今もですけど(笑)
それである日「IRC(※)」をやっていたらWindows95の脆弱性をつかれてハッキングされたんです。画面がいきなり真っ青になってクラッシュして。それがハッキングとの出会いです。
※IRC:ソフトウェアをインストールして進めるチャット。ブラウザ閲覧のWebチャットよりも転送データの無駄が少なく、文字ベースの会話が円滑に行える。

-AA
最初にハッキングをされたんですね。

-辻
そうです。「画面青くなってない?」ってチャット相手に教えてもらって、「これをインストールすればいいから」と送ってもらったプログラムを訳もわからずインストールしました。今から考えたらそれがウイルスの可能性だってあったわけですが、幸いそうではなくて二度と同じ現象は起きなくなりました。ありがたいことにセキュリティーパッチだったんですね。そこからのめり込んでいった感じです。
すでに『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(*)を見ていましたので、これがハッキングかと思いました。
*1995年公開の押井守監督作品

fd

-AA
その『攻殻機動隊』との出会いについて教えていただけますか?

-辻
高校生の時に『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を見てからです。少佐(主人公・草薙素子)が膝立ちして背中の義体が剥き出しになって配線がいっぱいあるイラストにグッと来て見に行きました。その時はまだコンピューターを触っていませんでした。コンピューターやハッキングという言葉が自分の中で結びついてもいない頃に出会っています。

-AA
その時に、特に印象に残ったシーンはありますか?

-辻
ウィリス博士の指がカシャッと細かく割れてキーボードを高速で叩くシーンですね。あとは序盤、光学迷彩を着ている敵と少佐が運河の浅瀬で戦うシーン、船上の少佐が振り返るというカットで、雑多なネオンが背景でわーっと描かれるシーンあたりはすごく印象に残っています。CMでも使われていて、民族音楽っぽい音楽(*)が流れるのも印象的でした。
*『謡I』(作曲・演奏・編曲:川井憲次)

-AA
今、辻さんがエバンジェリストとしてさまざまな企業で活躍されているもともとの発端に、『攻殻機動隊』がある感じですか?

-辻
攻殻機動隊といっても過言ではないです。サイバー空間が、僕には合っているんですね。僕はそもそもセキュリティの知識を全部独学で身につけたんです。自分のコンピューターを攻撃して、わざとマルウェア(*)に感染させ、どういう動作をするのかをチェックをしたりということを繰り返していました。
そうした時に、隣で『攻殻機動隊』の音楽を流して雰囲気を盛り上げたりしていました。
(※マルウェア:コンピューターウイルスなど、悪意を持ったソフトウェアの総称)

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《animeanime》
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