藤津亮太の恋するアニメ 第18回ハハハカナシ……? (後編) 作・藤津亮太『紅の豚』のマンマユート団から、マザコン・キャラクターの話になり、『ゲッターロボ』の神隼人の話になった。隼人の説明を聞いて「つまりイケメンマザコンキャラの元祖は、おっぱい星人の元祖でもあったのね」と嘆息するNを見ながら僕は言った。「そうか。そこのつながりはとても自然なことだと思うよね。母性=おっぱいというのは、もう公式みたいなものだからね」「まあ、そうかもしれないわね」Nは不承不承頷いた。「異論がある?」「異論というよりも、おっぱい=母性みたいなアングルが男性目線すぎる、って感触なか……。ただ、それ以上に思い出がフラッシュバックして」「フラッシュバック?」「昔レンタルビデオ屋でアルバイトしていた時に、店に来る男性がみんな、きっつい熟女もののAVを借りていったのを思い出したのよ。ああいうのも“母性への憧れ”っていうのかなぁって、噛みしめてたの」「やっぱり、みな豊満な感じだった?」「ていよく言えばね。なんというか、炎天下のソフトクリームみたいな感じだったわ」「ふむ。ソフトクリーム。それはなかなか素敵なたとえだね」僕は『スターウォーズ 帝国の逆襲』に出てきたジャバ・ザ・ハットを思い出しつつ、そう答えた。「そのレンタルをした人たちはリアリストなんだよ。プラモデルでも汚しをほどこして、メカが使い込まれた感じを出すでしょう。それと同じで、そういうほうがちゃんとその人が生きてる感じがするんだろう」「リアリストでもなんでもいいんだけど、そんなに男子って、母性が好きなの?」Nは、なんだか釈然としない顔をしているが、僕は話をもとに戻した。「たとえば……『機動戦士ガンダム』は見たことある? あれで一番モテてる女性キャラクターって誰だかわかる?」「え……、ララァ? セイラさん?」「そう思う人多いかもしれないけれど、ミライなんだよね~。なにしろミライは婚約者のカムラン、パイロットのスレッガー、艦長のブライトと3人に同時に思いを寄せられているんだよね」「まさにモテ期ね。それがどうして……あ、“ホワイトベースのおふくろさん”ね! そう言いたいんでしょう?」「そう。まだ10代なのに、おふくろさん扱いはひどいと思うけど(笑)、そこにたぶんモテの理由がある」「でも、じゃあ、おっぱいとはどう関係あるの? ミライは、ほっぺたはふくよかだけど、特にグラマーってわけじゃないじゃない」「'79年の作品なんでキャラクターデザインはそんなに極端じゃないわけだけど……ミライとおっぱいといえば、有名なシーンがあるじゃない」「ああ、お風呂のシーンね。ミライさんのブラジャーが出てくる」「おまけに、バスルームから上半身覗かせるしね。あのシーンがあることで、ミライさんは、おっぱいキャラとしてポジションを確立→おふくろさん→モテというルートに入ったんだよ!」
庵野秀明監督はなぜ「シン・エヴァ」で“絵コンテ”をきらなかったのか?【藤津亮太のアニメの門V 第69回】 2021.4.2 Fri 18:15 アニメ評論家・藤津亮太の連載「アニメの門V」。第69回目は、庵…
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