藤津亮太の恋するアニメ　第18回　ハハハカナシ……？（後編）

藤津亮太さんの連載第18回は前回に続きマザコン。話はやがてガンダムに及んだが、ミライトのフラウの違いとは何なのか？その行方に注目。

連載藤津亮太のテレビとアニメの時代

2014年2月19日（水） 19時00分

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イラスト／ KEI-CO

そこでＮが尋ねてきた。
「そういえば、『谷川俊太郎の33の質問』という本があってね、その中に確か『女の顔と乳房のどちらにより強くエロチシズムを感じますか？』という質問があるのよ。知ってる？」
僕は首を横に振った。

「ここにはたぶん単なる欲情以上の含みがあったから、エロチシズムという言葉が選ばれているんじゃないかと思うんだけれど、母を亡くしたイケメン・マザコンキャラたちは、乳房を選ぶのでしょうね。その本に出てきて、質問に答えるクリエイターたちは、わりと顔派が多かったけどね」
「インテリは顔が好きなんだよ。そういえばインテリでもイケメンではないけど、顔を選びそうなキャラが一人いたよ」
「誰？」
「星野鉄郎。ご存じの通りメーテルはアニメ界を代表するスレンダーボディ。でも鉄郎は、メーテルに母性に近いエロチシズムを感じている。それはメーテルのお母さんに顔が似ているからだ」
僕がそういうとＮはちょっと複雑な顔をして「胸を選ぶにしろ、顔で選ぶにしろ、やっぱりマザコンってやっぱり大変ね……」と溜息をついた。
僕は、レンタルビデオ屋の経験以上になんか苦労したことがあるのかなと思いながら、去っていくＮの背中を見送った。

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