2012年7月21日に国内公開された劇場アニメ『おおかみこどもの雨と雪』は、2012年を代表する大ヒット映画となった。本作は公開前より海外でも関心が高く、台湾や香港、韓国でも日本公開後直ぐ、同年の8月、9月に劇場公開された。さらに細田守監督の評価が高いフランスでも日本公開から1ヵ月後、8月29日に公開となったことが話題を呼んだ。日本アニメの公開直後のフランス全国公開は異例だったが、実際にその結果はどうだったのだろうか。これまであまり伝わってこなかった情報が、この2月に日本貿易振興機構(JETRO)がリリースしたレポート「フランスを中心とする欧州のコンテツ市場調査(2011-2012)」で報告されている。このレポートは、JETROが定期的に実施する海外のコンテンツ市場調査の一環である。今回は直近の欧州の映画市場、その中での日本映画の状況についてフランスを中心にまとめている。これまでと同様豊富な資料と数字の集計が特徴だ。このなかに「『おおかみこどもの雨と雪』は長期的なマーケティングによりヒット」と項目が設けられている。2012年に欧州で成功した日本映画として紹介、分析をしている。JETROの調査によれば、『おおかみこどもの雨と雪』の興行は当初は小さくスタートしたにも関わらず、最終的に全国110の映画館で上映される予想を超えるヒットだという。興行として成功との位置づけだ。当初目標の動員数は10万人、現地の配給業者の声として最終的には少なくとも15万人になるとしている。成功の要因は、配給をしたKazéとEurozoomの長年の長編劇場アニメへの取り組みの成果、日本公開から期間が短く違法ダウンロードの問題がなかったことを挙げる。これに加えて『時をかける少女』、『サマーウォーズ』と細田守監督作品がフランスでも着実に評価を高めてきたことも理由になりそうだ。一方で、15万人という数字は、数百万人単位となる米国の大作アニメーションよりまだまだ小さい。また、100万人前後を動員するスタジオジブリ作品にも届いていない。それでも『おおかみこどもの雨と雪』は、日本アニメの公開自体が珍しく、さらに日本映画が10万人を超えることが珍しいフランスでは大健闘した。細田守監督作品は、スタジオジブリ以降の新しい長編アニメ映画の突破口になるかもしれない。国内で期待される監督の次回作は、ヨーロッパでもその展開が注目されることになりそうだ。日本貿易振興機構(JETRO)/http://www.jetro.go.jp/「フランスを中心とする欧州のコンテツ市場調査(2011-2012)」/http://www.jetro.go.jp/industry/contents/reports/07001231
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