12月8日、日本SF作家クラブは、第33回日本SF大賞の受賞作に月村了衛さんの『機龍警察 自爆条項』(早川書房)、宮内悠介さんの『盤上の夜』(東京創元社)の2作品を決定したことを発表した。日本SF大賞は1980年に創設、以来毎年、小説、評論、マンガ、映像ほかジャンルやメディアを超えたSF作品から最も優れた業績を残したものを選出、顕彰する。2012年は6つの候補作から冲方丁さん、貴志祐介さん、豊田有恒さん、堀晃さん、宮部みゆきさんらの選考委員が決定した。2作品の同時受賞は、第31回(2010年)の『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦)、『日本SF精神史』(長山靖生)以来2年ぶりとなる。候補作にもあがっていた『屍者の帝国』伊藤計劃×円城塔(河出書房新社)が、特別賞に選ばれた。本作は、2009年に逝去した伊藤計劃さんの未刊の原稿を友人の円城塔さんが書き継いだ話題作である。また、第8回日本SF評論賞では、タヤンディエー・ドゥニさんの『荒巻義雄の「ブヨブヨ工学」 SF、シュルレアリスム、そしてナノテクノロジーのイマジネーション』を選考委員特別賞に決定した。優秀賞は、選ばれなかった。ドゥニさんはフランス出身の研究家で、評論の対象となった荒巻義雄は『紺碧の艦隊』など架空戦記シリーズなどの代表作がある。月村了衛さんは1963年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。脚本家として活躍後、2010年に今回の受賞につながった『機龍警察』シリーズで小説家としてデビューした。脚本家の仕事では、『NOIR』や『天地無用!』、『少女革命ウテナ』などでアニメファンにもお馴染みである。『機龍警察 自爆条項』では近未来の警視庁特捜部の活躍を描く。宮内悠介さんは1979年東京生まれ。早稲田大学第1文学部卒。受賞作の『盤上の夜』は、囲碁やチェッカー、麻雀、将棋、古代チェスなどの対戦ゲームを題材にしている。自身は麻雀プロの試験を受け補欠合格した異色の経歴を持つ。
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