アニメ映画『ねらわれた学園』の試写会が京都の立命館大学で開催 | アニメ!アニメ!

アニメ映画『ねらわれた学園』の試写会が京都の立命館大学で開催

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中村亮介監督
  • 中村亮介監督
  • 平山理志プロデューサー
  • 学生たちと記念フォト
11月10日に全国ロードショーを控えたアニメ映画『ねらわれた学園』の試写会が、2日、京都の立命館大学充光館地下のシアター型教室で行われた。
眉村卓の同名小説はこれまで薬師丸ひろ子主演の映画版をはじめ、映画、テレビドラマ化されてきたが、劇場用アニメとして製作されるのは今回がはじめてとなる。更に、本作では監督である中村亮介氏が自ら脚本も執筆し(内藤裕子と共著)、舞台を現代の中学校へと置き換えた。
会場には、150名弱の学生たちが押し寄せ、同作品に対する関心の高さが伺われた。なお、本試写会は、立命館大学映像学部でおこなわれているプロデュース実習の一環。司会進行から会場運営、機材のセットアップなど、学生たち自身の手によっておこなわれた。

■ 中学生の繊細な心の移り変わりと、原作のSF色が共存

作品は、原作をベースにしつつも、現代に置き換えることで登場人物や人間関係も一部を除き刷新。ストーリー展開においても、中学生という多感な心象を持つ主要キャラクターによる群像劇という感が強く、友情や、恋愛、ライバルとの対立など中学生という何もかも新鮮に捉えられるみずみずしい感性が、多彩且つ繊細な情景描写とともに紡がれる。
だが、原作のSF色は中盤からクライマックスにかけて一気に高まり、謎が謎を呼ぶ展開に。そして、その結末は、観客ひとりひとりに解釈の余地を与える程のものになっていた。

■ 2Dアニメ表現は、キャラクターの心情や作り手の意図を絵の力で表せる

試写会後は、中村亮介監督と、サンライズの平山理志プロデューサーによるトークショーが行われた。まず、中村監督が『ねらわれた学園』における作品づくりのための心構えとして「かっこつけずに、恥ずかしがらずにつくる」を意識していたことを披露したうえで、「自分の中でこだわったのはキスシーンなど、中学生としての恋愛シーン」と自身の作品に対するこだわりを示した。
一方、「サンライズは通常、メカやアクションをいれるものが多いが、キャラクターのみの作品でも勝負が出来るということを示したかった。」と平山氏。そのために特に冒頭の、supercellによる楽曲を大胆に挿入したオープニングシーケンスにこだわったという。ここで一気に観客の心を掴んでいくことをねらったとのことだ。

また、『ねらわれた学園』アニメ化について、中村監督は、「これだけの名作なので、アニメ化されなかったことのほうが不思議。」と原作そのものに対する魅力について改めて言及しつつ、「実写ではなんども映像化されている中で、今の時代にアニメでやることの意義が見た人にわかるようなアニメにしたかった。」と述べた。これは自身がアニメ業界に携わって以降、激変した制作環境とも関わっている。
中村監督がアニメ業界に入ったとき、3DCGはほとんど使われていなかったが、現在はむしろ、「なぜ、いまになっても3Dでやらないの?」と言われる程、3DCGが使われるようになったという。そこで、2Dアニメの魅力を改めて示したかったとのこと。「写真のような背景ではなく、絵画的に描かれた背景や、リアル+αが可能な2Dの表現力によって、キャラクターの心情や、+αで自分が込めたい思いを示すようにしたんです。」と中村監督は2Dアニメによる表現方法の魅力について語る。

更に+αとして本作で表現したのは“青春”だったと中村氏。「“青春”は言葉として発するだけでも恥ずかしい位だが、アニメでは光や輝きにこだわることで自然に表現できた」と2Dアニメによる表現の可能性を改めて強調した。
また、いまは、「イラストレーターの時代」と現代の若者文化を独自に分析してみせ、「回想シーンやイメージシーンもイラストのような処理を施し、今の人たちに好きだと思われる絵、気持ちいいと感じられる絵を取り入れる努力をした」と現代を意識した作品づくりについて改めて示した。

■ 多様化するコミュニケーションの時代で敢えて真のコミュニケーションを問う

一方、「今、大事なのは、コミュニケーションだと思い、それに合致した原作を考えたとき、自然に児童文学に辿りついた」と平山プロデューサー。「その中でも特に適していたのが『ねらわれた学園』だった」と今の時代にマッチしたテーマを深めるうえでの同作の意義を改めて示した。
これについて中村監督は、作品の中で「成り立たないコミュニケーションを示す事がすごく重要だった」と平山プロデューサーの意見に同意しつつ、「原作でも、中学生が直面する問題に対し、安易な解決方法が提示され、主人公も一旦はそれを受け入れるものの、最後はそれを疑問視し、改めて自ら考え直すという点を大切にしていることから、本作でも原作が提示した大きな構造については敬意をはらいたかった」と原作へのリスペクトを改めて示した。
同時に「映画と観客との間にもコミュニケーションがある。ひとりひとり、見た人の数だけ『ねらわれた学園』があるといってもいい。なので、わかりやすい回答を敢えて示さず、観客にもその意味を考えて欲しかった。」と考える事も作り手からのメッセージであることを明かした。

なお、本作の主題歌並びに涼浦ナツキ役を務めた事で話題となっている渡辺麻友についても言及。中村監督によれば、忙しいスケジュールの合間をぬっての収録だったが、1つ1つのテイクを重ねるうちに上達するのを目の当たりにし、彼女はきっと努力家なんだなと改めて実感したという。
このように話題に事欠かないトークショーだったが、最後は、「本作は何回も鑑賞することで理解を深められる作品、ですので本日見ていただいた皆さんも是非もう一度劇場に足を運んでほしい」との中村監督自らによるメッセージで閉められた。サンライズの平山プロデューサーは、本作完成を控えた最後の1週間で、76時間不眠で働くという経験を初めてしたという。そのような渾身の一作はまさに劇場で体感するに値する作品と言えるだろう。

アニメ映画「ねらわれた学園」
公式サイト /http://neragaku.com/
《animeanime》
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