『「ヒーロー」を生み出し育ていく』をコンセプトに掲げ、2011年11月に創刊した漫画雑誌未来形コミック月刊『ヒーローズ』。日本のコンテンツ産業の基幹ともいえる「漫画」で世界に飛び出していこうとする若き才能が集まり、業界内外の注目度も増している。 中でも注目作品のひとつは、『GetBackers -奪還屋-』(原作:青樹佑夜)を手がけた綾峰欄人さんが原作・キャラクターデザイン・シリーズ構成の3役をこなす『マジェスティックプリンス』(作画:新島光)。 資源を求めて宇宙にフロンティアを求めた未来の学園都市を舞台に、主人公ヒタチ・イズルらの少年少女の成長と、人類の運命を決める決戦を描く王道SF作品だ。綾峰欄人さんに連載への意気込みや作品の魅力などを伺った。(文・荒川澄)未来形コミック月刊『ヒーローズ』 公式サイト http://www.heros-web.com/『マジェスティックプリンス』作品詳細ページhttp://www.heros-web.com/works/majestic.html■ 綾峰欄人 1974年2月兵庫生まれ。『GetBackers-奪還屋-』(原作:青樹佑夜、週刊少年マガジンで連載)のほか、『Holy Talker』(月刊ライバルで連載)小説『サイコバスターズ』(青樹佑夜)の挿絵なども手がける。 ■ 最初で最後のチャレンジのつもりで アニメアニメ(以下AA) まずは作品が誕生した経緯を教えてください。綾峰欄人さん(以下綾峰) ヒーローズ編集部から「こんな感じの宇宙戦争ものをやりたい」とオファーを受け、やらせていただくことになったんです。SFというジャンルは自分ではまだ手をつけていないジャンルだったのもありますね。AA しかし『GetBackers -奪還屋-』で作画を担当されていた綾峰先生が、原作・キャラクターデザイン・シリーズ構成の3役とは意外です。綾峰 もともと小説を書いてみたいという気持ちもあったんですよ。その意味では夢がかなったのかな(笑)。それと、『GetBackers -奪還屋-』などで原作を手がけていただいた青樹佑夜先生のような仕事を一回はしてみたいという気持ちもありまして、最初で最後のチャレンジのつもりでやらせていただいております。AA 具体的にはどういった作業を?綾峰 シナリオとネーム(ラフ画、コマ割)をやらせてもらっています。その上で担当さんを交えて作画の新島さんと3人でアイデアを出して、新島さんに下書き、ペン入れをしてもらいます。原作という立場になると視点が変わるので、その大変さを実感しています。原作者なりの苦労というのがあるんだなと。ただ、一人では絶対に出来ない作業です。アイデアを出し合って取り入れていく共同作業の面白さはありますね。 ■ 変化球ナシの王道作品 AA 『マジェスティックプリンス』という作品の良さとは?綾峰 編集部から話をいただいたとき、「このキャラクターならこう動かしてこう見せられるな」ということがわりとすぐ浮かびました。なので、実はもうラストのオチは決まってるんですよ。この王道感はいいと思います。もともと変化球は苦手なので(笑)。ただ、この作品はイズルたちの背景に戦争があります。この戦争というテーマを苦痛に感じるさせることなく、読者が安心して読める面白さを考えています。戦争やこれから活躍するロボットという、いわば非日常的な存在をどうやって見せていくかが大事です。AA まずは序盤ですが、キャラクターの掘り下げに重点を置いているように思えます。綾峰 実は、これは自分なりに計算してやっています。原作という立場なので、ストーリーの波は自分のルールで作れるのですが、まずはイズルたちがどういう状況にいて、彼らは何をしているのかを読者に共感してもらうことが大事なことだと思うので・・・。もちろんメインは戦争やロボットといった要素ですが、ビックリ箱的な作り方で話しだけ動かしても、共感できないと思います。まずは読者が登場人物と同じ目線で物語に入ることが大切かなと思ってます。AA 1 話の絵は『GetBackers -奪還屋-』を思い出しました。綾峰 1話についてはかなり『GetBackers -奪還屋-』を意識した作画になっています。作画は新島さんですが、読者に「綾峰が帰ってきた」と思わせて引っ張っていくことが大事だなと考えていました。今ではもちろん、新島さん独自の絵になってきていますよ。1話と最新話を比べてもらえればはっきりわかります。とても上手くなっていて、絵には全く口出ししないようになりました。■ イズルを一人前にしていくのが使命 AA 『マジェスティックプリンス』という作品の大事な部分はどこにありますか?綾峰 こうした作品で大事なのはきちんと主人公の成長を描くこと。まずはイズルを一人前にしていくのが僕の使命だと考えています。その一方で、戦争とロボットという大きな要素があります。どう見せていくかはすごく大事で、今はイズルたちの日常の中に存在感を出していく段階ですね。そして物語が大きく動くところで一番良い形で登場させる。「待ってました」という感じを作りたいと考えています。AA 展開が非常に楽しみです。綾峰 新島さんとの共同作業もいい感じになってきています。これからどんどん広がっていく『マジェスティックプリンス』の世界を楽しみにしていてください。
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