大物監督5人が広島に集結 手塚治虫回顧上映 | アニメ!アニメ!

大物監督5人が広島に集結 手塚治虫回顧上映

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 この夏、広島市で第12回広島国際アニメーションフェスティバルが開催された。広島国際アニメーションフェスティバルは、2年に一度行われる世界有数のアニメーション映画祭として知られている。
 8月10日には、この企画のひとつとして、広島市のアステールプラザにて手塚治虫回顧上映と、そのトークショー「オサムとアトムとアニメの日々」が開催された。トークショーには、手塚治虫と虫プロダクションに縁のある日本の大物アニメ監督5人、杉井ギサブロー氏、りんたろう氏、出崎統氏、高橋良輔氏、富野由悠季氏が集まり大きな話題となった。

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 まず手塚治虫の長男の手塚眞氏が、壇上の挨拶で、今回のプログラムが手塚治虫生誕80周年記念も兼ねていることなどを紹介した。
 1989年に逝去した手塚治虫は偉大な漫画家であると同時に、『鉄腕アトム』を始めとした商業作品の先駆者として知られている。しかし、短編作品を制作するアニメーション作家でもあったことはあまり知られていないのではないかと語った。

 また、手塚プロダクションの松谷孝征社長は、広島国際アニメーションフェスティバルと手塚治虫のつながりと経緯を紹介した。手塚治虫は常々日本で国際的なアニメーションフェスティバルを開催したいと切望していたが、そうしたところ広島市から申し出があり広島国際アニメーションが実現したという。
 手塚治虫自身の作品では、1985年の第1回に『おんぼろフィルム』がグランプリを受賞している。このほか、1987年の第2回では国際審査委員を務め、新作の短編を2本上映した。そして1990年の第3回には追悼上映が行われている。

 トークショーに出演した5人の監督はこれまで、公的には一同に会したことはなく、今回は貴重な機会となった。
 司会はこのトークショーの実現に動いた多摩美術大学教授の片山雅博氏により進められ、各氏は当時の思い出を振り返った。

 杉井監督は「エンターテインメントはチャレンジだ」と教えられたことや手塚治虫は当初から映画を念頭に置いていたのだろうということ、りん監督は初演出作品が『鉄腕アトム』中、トキワ荘の著名漫画家ら
によって制作された『ミドロが沼』だったことなどに触れた。
 一方、出崎監督は手塚治虫に諭された「エンターテインメントとは何か」について今も考え続けていること、高橋監督は手塚治虫亡き後に誰を目標に据えればいいのかに戸惑いを覚えつつも、時代を先読みして作品制作に活かしたい旨などについて語った。

 5名の中でもやはり視点が異なり、期待を裏切らないのが富野監督で、労働組合を結成した話などをした。手塚治虫は商業ベースに乗せる作品を制作する一方で、短編を制作することでバランスを取っていたのではないかという点を挙げた。そして、アニメや漫画の制作を志す若者に対して、制作資金の面を含む様々な問題点について未だに影響を及ぼしたままであることも指摘した。
 また、りん監督が高橋監督や富野監督の話の前置きの長さを諌めたり、現在制作中の『よなよなペンギン』でジブリ並の興行収入を目指したいと発言するなどで笑いを誘った。トークショーは終始和やかな雰囲気で進んだ。

 最後の挨拶では、手塚眞氏が『森の伝説』の未完部分である第2楽章、第3楽章を次回の当フェスティバルまでに完成させて上映するというサプライズな発表がされた、トークショーは幕を閉じた。

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        写真=午前のエデュケーショナルマーケットにて。
手塚プロダクションの松谷孝征氏と多摩美術大学教授の片山雅博氏とのトーク中に富野由悠季監督が招かれた。富野監督は早くから来場し、このエデュケーショナルマーケットを含めて会場一体を視察していた。
【真狩祐志】

広島国際アニメーションフェスティバル /http://hiroanim.org/

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