上場相次ぐオタク人気企業を見極めるには(11/21)
株式市場が大賑わいである。バブル時代を上回る売買高に連日の高値更新で、ITバブル以来の活況を見せている。そうしたなか、年末に向かってアニメやゲームのマニアに馴染み深い企業が相次いで株式上場をする。
ひとつは、高品質なアニメ作品の制作でアニメファンに
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ひとつは、高品質なアニメ作品の制作でアニメファンに絶大な人気を誇るプロダクション I.G、それにオンラインゲームのゲームポット、カプセルトイで人気のユージンである。これに、クリエーターやIT関連で根強い人気を持つソニー系のポータルサイトのSo-netを運営するソニーコミュニケーションネットワークを入れることも出来るかもしれない。
これらは偶然というよりも、近年相次ぐコンテンツ系、特にアニメ・ゲーム関連企業上場の増加の一断面といえるだろう。日本経済においても投資家においても、キャラクタービジネスやコンテンツビジネスはやはり成長を期待されているのだ。
一方で、こうした企業が上場する際に言よく言及されるのがより幅広い顧客を目指した事業拡大である。つまり、上場企業になるということは、企業の事業をさらに成長させるため一般層に向けたビジネス展開を迫られることが多い。いわば企業版の脱オタである。
しかし、オタク・マニアの切捨てが即事業の拡大につながるわけではない。実際はむしろ、事業を拡大するうえではそうした層による高い支持が必要とされている。
ファッションや車に代表されるブランドマーケティングでは、しばしば導入段階で高所得者層をターゲットにして、次第に大衆市場に広げて行くという方法が取られることが多い。これと同じようなマーケティングが、サブカルチャーの分野ではマニアやオタクに置き換えることで成り立つからだ。
つまり、作品の導入段階ではマニア層に向けて売り出されて、マニア層での高い人気を利用して次第に一般消費者に対してそれを広げて行くという考え方である。
マニアに人気のある企業が事業拡大のため一般マーケットに乗り出したとしても、そうした企業にとってやはりマニア市場は無視出来ない理由である。アニメやマンガ・ゲームに代表されるコンテンツ系企業にとってのブランドはマニアやオタクの高い支持と同じなのだ。
上場するコンテンツ企業を評価する基準には、今後の事業計画や資金計画と同じぐらいマニア層の支持があるかどうか、それを今後も維持できるかといった要素も大切なのだ。