読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年12月号では、TVアニメ『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』より、アメリア・ローズクォーツ役・水野朔のインタビューをお届け。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューとなっている。
アメリアは天然だけど愛情深い女の子
――『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』(以下『ステつよ』)という作品の印象を教えてください。
まずタイトルを見て、一般的には悪役である「暗殺者」が主人公ということに興味を引かれました。物語を読み進めていくと、主人公の晶は悪い暗殺者ではなく、悪をなくすために暗殺者として活動しているとわかり、タイトルの意味が少し理解できました。
――演じるアメリアはどんなキャラクターとして捉えていましたか?
オーディションの資料を読んだときは、クールでミステリアスだと思っていましたが、姿からは透明感や可憐さも感じました。でも、物語が進んでいくと、天然さも見せるようになり、さらに晶に対しては意図的にかわいく接するところもあるんです。そういうところが、魅力的だなと思いました。

――第4話では、アメリアが故郷で忌み子扱いされ、双子の妹・キリカに疎まれていることが明らかになりました。
アメリアは、自分が否定されたことに対して、怒りよりも悲しみのほうが強かったと思います。国を出たのも、自分がいなくなることで大切な人たちが幸せに過ごせるならそのほうがいいと思ったからだと感じました。それもあって、第4話でキリカたちに相対したときも、アメリアのなかにある愛情深さを伝えられたらと思いながらお芝居をしていきました。
――キリカが過去に婚約者のリアムを事故で死なせてしまったことを思い出し、自分を責めたときにも怒るシーンがありましたが、そこも怒りよりも悲しみが強かったのでしょうか?
そうですね。アメリアがキリカを叱ったのは、自分で自分を傷つけてほしくなかったからだと感じたので、怒りよりも悲しみを強めに演じました。
――同じく第4話では、晶に名前を呼ばれて喜ぶという、かわいさが感じられるシーンもありましたね。
言われてみれば、これまで「お前」としか呼ばれていなかったなと気づきました(笑)。ずっと虐げられていたアメリアにとって、名前を呼ばれたことで、ようやく自分がそこにいると感じられたと思うんですね。しかも、それが大切な晶だったことで、よりうれしさが増したのだとも思います。
――アメリアを演じていて難しかった部分はありましたか?
アメリアの天然のかわいさを演じるのは難しかったです。「もう少しかわいく」というディレクションもたびたびあったので、何回か録り直しもさせてもらって、天然のかわいさを突き詰めていきました。のちのち女性スタッフの方から「女性から見てもアメリアはかわいいです」と言っていただけたことがうれしかったです。
――かわいさを強く出しすぎると、ぶりっこに見えることもありますよね。
そうなんです!ヒロインなのであまり嫌われてほしくはないですし、ぶりっこにならずにかわいさを出せるかは自分でも挑戦でした。
――第2話の登場時にはバトルシーンもありましたね。
アメリアは戦闘力の高いキャラクターなので、バトルシーンは余裕を持って技を出すようなお芝居を意識しました。ただ、それにも増して晶が強いので、バトルシーンはアキラの心配をしている印象が強いです。何度も「晶」と呼びかけるのですが、心配の度合いが状況によって変わってくるので、ひと言ひと言に違った意味合いを込めています。その違いにも注目していただけたらと思います。
――ほかに、印象に残っているスタッフからのディレクションは?
オーディションの台本に第2話のアメリアの登場シーンのセリフがあったんです。できる限りデフォルメしたくなくて、リアルな会話をイメージして演じたのですが、そのシーンは「オーディションにできる限り近づけてください」とお話がありました。羽原信義監督は、そのセリフで「アメリアだと思った」と感じてくださったそうなので、自分でも意識して演じました。
――オーディション時に印象的だったことはありますか?
第2話の晶との出会いのシーンに「変なとこ触った?」というセリフがあるのですが、一般的には拒絶、嫌悪の声色になると思うんです。でも、私はアメリアが純粋に問いかけているイメージを受けたので、無垢な子供のように演じた記憶があります。
――アメリアの行動や考え方に共感できる、似ていると感じる部分はありますか?
私も子供っぽいところがありますし、大切にしている人とそれ以外の人がわりとハッキリわかれているので、そこは共感できます。また、食べることが好きなところは似ていますね(笑)。
――アメリアにあこがれる部分は?
包容力があるところです。物語が進んでいくと、そこに心の余裕が生まれて、晶への愛の深さも出てきます。私はまだその域には達していないので、いつか私もアメリアのような心の広い女性になりたいです。
――アメリアが心を寄せる晶に対する水野さんの印象は?
ずるいですよね。“暗殺者”という職業もカッコよく、見た目もクールで素敵です。冷たそうに見えて家族愛が深く、ブラックキャットという種族の魔物・夜を助けるなど動物にもやさしい。アメリアのことも出会って間もないのに守ってあげて、ほしい言葉もくれる。それを全部無自覚でやっているから、本当にずるい男だと思います。クラスメイトの名前すら覚えていないとか、ツッコみたくなる部分もありますが、自分に関わるクラスメイトの名前は覚えるようになりますし、関係ができた人のことは大切にするので、きっと誰からも嫌われない存在なんだろうなと思います。
――晶とアメリア以外に気になるキャラクターはいますか?
リアです。第1話で登場して「勇者がどのような犠牲の上で召喚されたか知っていますか?」と意味ありげなことを言って去ってしまったので、すごく気になります。どう見ても重要なキャラクターだと思うので、今後の動向もチェックしたいです。
――第4話までで気に入っているシーンは?
第2話で王国騎士団のサラン団長が、初代勇者が作ったという刀を晶に渡すのですが、「宝物庫から盗んできたんですよ」と言うんですね。心のなかで「そんなことをしていいの!?」とツッコんでしまいました(笑)。大真面目に、爽やかな声で言うんですが、この言葉にサラン団長の魅力が詰まっていて、この人なら晶の懐に入れるなと感じました。また、第3話で晶が夜と主従関係を結ぶシーンはカッコよかったです。晶に倒された夜が「殺せ!」と言うのに対し、「二度とほかの種族を殺さないように、見ていてやる」と約束するシーンは迫力もありました。そこで、夜を殺すという選択をしないところにも、やさしさが詰まっているなと思います。
――アフレコ中の思い出深い出来事は?
夜を演じている小林沙苗さんが、アドリブでネコ感たっぷりのお芝居をされていました!夜は、ネコの姿をしていてもしゃべりますし、どっしりとした態度なので、普段はあまりネコっぽさが感じられないんですね。でも、ふとしたときにネコらしい鳴き声などを出されると、そのお芝居が胸に刺さり、心のなかで全力で拍手をしていました(笑)。
――アニメになってとくに感じる、『ステつよ』のおもしろさと言われたらどこでしょうか?
全部なのはもちろんですが、映像が付くことによってよりリアルな感じが伝わるようになったと思います。光や影、声にかけるエフェクトまで、空間の雰囲気を大切に付けてくださっているので、アニメではより『ステつよ』の世界を深く感じることができていると思います。
――晶とアメリアの旅は続きますが、今後の見どころを教えてください。
第4話で晶とアメリアの関係値が変わり、心がグッと近づいたと思うんです。第5話以降は、そこがどう変わるのかにも注目です。もともと、晶は元の世界に帰ることを目的にしていましたが、大切なものができてしまったことによりどんな選択をしていくのか。また、リアの言葉は何を意味しているのか。第5話以降は物語も大きく動きますので、ぜひ楽しみにしていてください。
MegamiにQuestion

Q.自分のチャームポイント
A.よく笑う
笑いの沸点が低いらしく、周りからも「すごく笑うね」と言われます。とくに、即興劇やアドリブなど、台本にない展開だとすぐに笑ってしまいます。
Q.自分のニックネーム
A.さくぴー、さくぱん
お仕事を始めてから、ファンの方が付けてくださいました。ただ、どんな由来だったのか、どういう経緯だったのかは覚えていないんです……。また、「さくぱん」と呼んでくれる人もいます。
Q.自分の声の特徴
A.ダウナー、落ち着く声
自分としても、そう言われて納得です。ただ、ゲーム中はすごくうるさいので(笑)、ゲームをしている私の声を聞くと、印象が変わるかもしれません。
Q.自分の性格
A.負けず嫌い
毎日夜になるとFPSで遊んでいるのですが、勝つまで終われない気持ちになってしまうんです。だいたいがチーム戦なので、自分のミスで負けたときはすごく落ち込みますし、二度目の失敗は許されないという気持ちでプレイしています。
Q.いま、ハマっているものは?
A.たまごっちパラダイス
じつは、これまでたまごっちで遊んだことがなかったんです。今回はパッケージにすごくかわいい子がいて、ひと目ぼれして始めました。何回か育てて、今はその子のお世話をしています。
Q.食いしん坊なアメリアにちなみ、好きな食べ物は?
A.アユやサーモンなどの川魚
アユは塩焼き、サーモンは刺し身にして食べたいです。ほかにはカフェラテなどの甘い飲み物や、スイーツが好きで、よくカフェ巡りもしています。
Q.もし、スキルを持てるとしたら?
A.瞬間移動
『ステつよ』のなかにも登場する、魔法陣で瞬間移動できるスキルがほしいです。もし使えるならオーストラリアに行って、カンガルーやコアラ、タスマニアデビルなどのオーストラリアにしかいない動物を見たいですし、スキューバダイビングもしたいです。海外はアジア圏しか行ったことがないので、エジプトやパラオにも行きたいです。とくに、パラオはダイビングの講師の方から、潜ると人生が変わると聞いたので、一度は訪れたいです。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.大切なものを守るために、あなたは暗殺者になれますか?
晶は大切なものを守るために暗殺者になっているので、視聴者の方もそうなれるかどうか考えながら見ていただきたいです。そして、晶が暗殺者としてどんな行動をするのか、今後も見守ってください。
Profile
みずの・さく/9月29日生まれ。東京俳優生活協同組合所属。
主な出演作は、『ぼっち・ざ・ろっく!』山田リョウ役、『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』彩ましろ役など。
作品Information
毎週月曜日深夜1時30分よりテレ東ほかにて放送中
https://sutetsuyo-anime.com/
異世界に召喚され“暗殺者”の能力を得た織田晶は、自分のステータス値が最強の職業“勇者”以上だったことに疑念を抱く。裏を探っていたところ、国王から騎士団長サラン殺しの罪を着せられ、晶は逃亡。逃亡先の迷宮でエルフの少女・アメリアと出会い、国王への復讐を誓う。
(C)赤井まつり・オーバーラップ/暗殺者のステータスが勇者よりも強い製作委員会
●取材・文/野下奈生(アイプランニング)



