「BLEACH 千年血戦篇」森田成一×折笠富美子×杉山紀彰インタビュー|10年ぶりの嬉しさと不安の入り混じる最終章、ベテラン森田が収録で泣いた!? | アニメ!アニメ!

「BLEACH 千年血戦篇」森田成一×折笠富美子×杉山紀彰インタビュー|10年ぶりの嬉しさと不安の入り混じる最終章、ベテラン森田が収録で泣いた!?

TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』より、黒崎一護役・森田成一さん、朽木ルキア役・折笠富美子さん、石田雨竜役・杉山紀彰さんの鼎談インタビューをお届け。

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TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』の放送が10月10日から始まる。2004年10月から2012年3月まで長きにわたり放送された人気作もついに最終章。前シリーズから10年の時を経て、ついに死神代行・黒崎一護と仲間たちの最終決戦の火蓋が切られる。

『BLEACH 千年血戦篇』(以下「千年血戦篇」)の放送を記念して、既存シリーズからファン投票で選ばれたベストエピソードのセレクション放送『BLEACH ANIMATION BEST』がTOKYO MXとBS11で7月~9月に実施された。第1回に選ばれたのは第41話「再会、一護とルキア」だ。第2回以降もランキング順にベストエピソードが放送され、第9回は記念すべき第1話「死神になっちゃった日」が放送された。選び抜かれたエピソードの連続に、胸が熱くなったファンも多いことだろう。

10年という時間は映像技術を格段に進化させ、また主要キャストは変わることなく盤石の布陣だ。アニメーション制作も前シリーズから引き続きstudioぴえろが担当し、原作者・久保帯人先生が総監修も務める。最後の戦いに向けて、全員が一丸となって走り出した。

アニメ!アニメ!では放送に先駆け、主人公・黒崎一護役の森田成一さん、朽木ルキア役の折笠富美子さん、石田雨竜役の杉山紀彰さんにインタビューを実施。不安や緊張もあったアフレコ、印象に残るエピソード、挑戦したいこと……主要キャスト3名がそろい、笑いが絶えず、『BLEACH』メンバーの絆を感じさせる時間となった。

[インタビュー・編集:吉野庫之介 文・Hide Gomibuchi]



第1話収録での事件


――「死神代行消失篇」から約10年の時を経てのアニメ放送となりますが、今回の「千年血戦篇」制作が決まった際のお気持ちを聞かせてください。

森田:僕が制作決定を知ったのは数年ほど前のことですが、驚きや嬉しさはもちろん、それと同時に“作品が終わりへ向かうことへの恐怖感”も覚えました。「千年血戦篇」をやりきってしまったら、この先黒崎一護を演じる機会はなくなってしまうのではないか……。思い入れの強い作品だからこそ、そんな漠然とした怖さも感じました。

折笠:私はBLEACH20周年プロジェクトの発表がされるタイミングで知ったので、驚きと嬉しさが湧き上がりながらも「みんな言ってよ~!」と思いました(笑)。

杉山:前回のシリーズ終了から10年という月日が経っていたので、制作決定を知ったときは「もしかするとキャスト陣は入れ替えになってしまうのでは……」と少し心配になりました(笑)。無事に続投ということで、これは頑張らねばと思いました。

森田:たしかにキャスト変更を心配する声はよく聞きましたし、直接ほかの声優さんから言われたこともあります。またこのメンバーで一丸となってやれたことは非常に嬉しいですね。

この10年間もゲームの『BLEACH Brave Souls』の収録があったので、久しぶりに一護を演じるというわけではなかったものの、やはり単発の台詞ではない、会話劇をやることへの恐怖や緊張もありました。

折笠:私も「演じきれるのかな……」という不安はありました。「千年血戦篇」ではキャラクターがよりパワーアップしているので、常に緊張感を持ちながら収録に臨んでいます。

杉山:でも森田さんたちの声を聞いていて、こんな感じだったなあ……と、あの頃の気持ちを思い出しました。それが本当に嬉しかったです。



――森田さんは第1話の収録時に涙ぐまれたのだとか?

森田:涙ぐんだかな? 絶対ウソですよ!(笑)

折笠:また強がって~(笑)。

森田:強がってない強がってない(笑)。ただ、行木竜ノ介役の山下大輝くんと斑目志乃役の瀬戸麻沙美さんと3人でブースに入った時に事件は起こりました。てっきり、(井上)織姫(CV.松岡由貴さん)や茶渡(泰虎)(CV.安元洋貴さん)と一緒に収録すると思っていたんですよ。それが新しい二人のメンバーと同じブースでの収録で、「え? どうしよう。既存キャラクター僕だけだ」という状況になりまして。

そんな中で収録が始まって、二人の演技を聴いていてなんとなく思うことがあったんです。それでスーッと立ち上がって制作スタッフが控えている調整室に向かって「(低い声で)すみません。今の行木と志乃の演技なんですけど」と言ったら、一瞬現場がピリッとしたんですよ。

折笠杉山:怖い怖い……(笑)。

森田:「……あの、二人の演技と比べて僕の演技って、なんかちょっといらないベテラン感出てませんか?」

折笠:そっちか(笑)

杉山:最初のトーンだけだと、みんなピリッとしちゃいますよね(笑)。

森田:二人の演技がとてもフレッシュでみずみずしくて、そこに僕のお芝居が入っていくことへの不安を感じてしまって。その結果、山下くんと瀬戸さんをピリッとさせてしまい、スタッフ皆さんの爆笑を誘うという最悪の状況に涙ぐんだのかもしれません(笑)。

折笠杉山:あはははは!



――「千年血戦篇」においてのお芝居で意識されたことはありますか?

杉山:雨竜は物語の時系列でいうと、明確に頭からフォーカスが当たる感じの流れではありません。一護が物語の中心にいるので、今まで通り学校の友だちであり一緒に戦う仲間であるというポジションを意識して、変にでしゃばらないよう意識しました。フォーカスが当たる回が来たらまた考え方を変えようと思いますが、今は物語の中の立場を大事にしたいと思っています。

折笠:私は考えすぎないようにしています。みんなを信じてスッと入っていく。全員揃ってアフレコ出来ない状況下ですがみんながどういうお芝居をされるのかというのは胸にあるので、それを信じて演じている感じですね。

森田:僕が「千年血戦篇」で黒崎一護を演じる時のテーマは“任せる”にしようと思っています。これまで一護は先頭を切って戦っていき、ルキアや雨竜、みんなに対して「お前たちじゃ無理だ!」と言って、逆に亀裂が入ってしまうこともありました。

ですが、浦原さんから「黒崎さん、アナタはアナタの為に動いてください。自分で考えて決めていいんスよ。自分が本当はどう動きたいのかを」という言葉をかけてもらうシーンがあるのですが、そんなことを言われたのは初めてで、そこから一護の肩の力の抜け方が少し変わって、戦い方の動きも変わってきているなと感じました。

「千年血戦篇」は尸魂界(ソウル・ソサエティ)だけではなく、見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)や破面(アランカル)、そのすべてがぶつかっていくオールスターストーリーなので、あらゆる戦いが起こり、さまざまな物語が構築されて『BLEACH』を作っていく。そうなってくると、一護もパーツの一つになるのではないかと思っています。

それぞれの戦いをみんなに任せて、その中で“俺は俺の戦いをする”ということを一護はやっている。それと同じように、僕自身もやっていこうと。10年経って、僕ももうすぐ50歳になります。人間としても非常に丸くなってきました。

折笠杉山:ははは(笑)

森田:なんで笑うんだよ! 

折笠:自分で言うから(笑)。

杉山:カミングアウトの仕方が面白い(笑)。

森田:そんなこともあり(笑)、本当に今回キャストのみならず、スタッフのみなさんも含めたすべての力で作ろうというのが「千年血戦篇」のテーマだと思うんです。僕もそういうつもりでみんなに任せて、僕は僕の仕事をしっかりやっていく。一人ひとりがしっかりやれば、すばらしい「千年血戦篇」になると思います。それが自分の一番大事にしていることで、最終回までこれを通していきたいですね。



3人の思い出に残る名シーン


――7月からは過去の人気回のセレクション放送もありましたが、これまでの中でとくに印象に残っているエピソードを教えてください。

森田:今回の全13回のセレクション放送の仕方は面白いと思いました。視聴者のみなさんから投票をいただいた人気回だったわけですが、僕たちとはちょっと違っていて、視聴者目線ではこうなるんだなと。僕も毎週観ていたのですが「たしかにこの回は盛り上がるよね!」というのがみなさんの心にも届いていたのは嬉しかったですね。

僕としてはグリムジョーとの一戦が非常に思い出深く、あの回がとても好きですね。あとはウルキオラが「そうか これがそうか この掌にあるものが 心か」と言って消えていくシーン……あれはもうアートですよね。なんと言えばいいのかわからないくらい心に刺さる。神回だと思います。

折笠:私はアーロニーロ戦が本当に思い出深いです。あの時の収録は志波海燕役の関俊彦さんとスタジオで二人きりにしていただいて、収録しました。スタッフさんが「ガチンコで!」みたいな時間にしてくださって(笑)。そのアフレコはすごく印象に残っていますね。

杉山:雨竜の視点で言えば涅マユリ戦が印象に残っています。中尾隆聖さんが演じるマユリの存在感が凄まじい中で、一生懸命ぶつからせていただいた記憶があります。

そうした熱い戦いもあれば、ザエルアポロ戦でのペッシェとのコミカルなやりとりも印象に残っていて。ペッシェ役の子安武人さんがすごく飄々と演じていらっしゃって、笑いをこらえながら見ていました(笑)。シリアスな話が続いている中でもこういうコミカルさを忘れないところが『BLEACH』のもう一つの魅力だなと思いました。

――ネル・ペッシェ・ドンドチャッカの掛け合いは私も大好きでした(笑)。また『BLEACH』といえば心に響く台詞や格言も非常に多いですよね。

森田:僕は鬼道の詠唱がしてみたいです。一護としては絶対できないものなので……。

折笠:やりたいって当時も言ってたよね。

森田:実は一度だけゲームの設定でキャラクターの中身が入れ替わるというものがあって「赤火砲」を撃ったことがあるのですが、その時すごく気持ちよくて……。あれが僕の撃った唯一の鬼道です(笑)。一番唱えたいのは「黒棺」ですね。「爬行する鉄の王女」の部分がお気に入りなので詠唱したいです!

――「黒棺」の完全詠唱は心惹かれますよね!(笑)。折笠さん、杉山さんはいかがですか?

折笠:私はまたアーロニーロ戦に関係してくるのですが、海燕殿の「心ってのはここにあるんだ」という言葉です。死神の絆のあたたかさみたいなものがを感じられて、私自身すごく感動しました。

杉山:僕は格言ではないですが、浦原さんが語尾につける「~ッス」ってあるじゃないですか。普段の飄々としている感じの「~ッス」のトーンと、目がキリッとした時に出す低い音の「~ッス」の切り替わりがすごくて。浦原さんのカッコよさはこういうところだよなと昔から思っていました。

折笠:語尾に色気が醸し出されてるの。

杉山:大人の余裕みたいなね。

森田:飄々としてるキャラクターは男女問わず人気がありますよね。特に女性人気が高くてうらやましいです(笑)。あれはもう三木眞一郎さんしかできないですよ。完全にあの声でインプットされているし、飄々とした感じから真剣になるところを僕らはアフレコで生で聴いているのでゾッとすることもありました。本当にカッコいいですよね。

――今作でも浦原さんの活躍が楽しみです。「千年血戦篇」で挑戦してみたいことや期待などありますか?

折笠:私は金色疋殺地蔵の声も担当しているので、今シリーズでもまた演じさせていただけるのかな……と(笑)、ルキアとしては強くなっているぶん、柔らかさと硬さの広がりを上手に出していけたらいいなと思います。

杉山:僕が期待したいのは「千年血戦篇」が終わったら、シリアスな流れの中でカットされがちなコメディシーンだけを集めて、ひらがなで『ぶりいち』みたいなものを作ってほしいです(笑)。

折笠:「カラブリ+」(護廷十三隊の活躍や日常をカラーで描いた短編ギャグマンガ)的なもの?

杉山:そうそう。カッコよくて感動的なお話でハラハラしたあとは、みんなでお腹を抱えて笑ってもらえるものも楽しいかなと思います。

――たしかに『死神図鑑』の30分版みたいな回があったらファンとしても嬉しいです。最後に森田さんお願いいたします。

森田:アニメはstudioぴえろさんがすごく気合を入れて作ってくださっているので、もうそれに任せています。久保先生も毎回収録に参加してくださって、総監修をされています。原作では語られなかった追加シーンも入ってくると思いますので、僕らは渡されたものをしっかりやっていくことが重要になり、それが新しいことへの挑戦になるのではないかと思っています。

ただ黒崎一護に関しては、今までの演技の仕方ではなく、自分自身の役者としての立ち位置を変えていきたいです。先ほどお話したように「千年血戦篇」はみんなに“任せる”ことをテーマにしているので、そこだけはチャレンジとして一本筋を通してやっていきたいです!



(C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
《吉野庫之介》
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