週末動員ランキングで初登場から3週連続で第1位、興行収入も20億円を突破、大ヒット上映中の映画『SING/シング:ネクストステージ』。興行収入51憶円を突破した大ヒット映画『SING/シング』の最新作は、お馴染みのメンバーに新たな仲間を加え、ゴージャスにスケール・アップ!
コアラの支配人バスター・ムーンの奮闘で、見事に再生したニュー・ムーン劇場は連日満席の大盛況。お馴染みの仲間、ロジータ、アッシュ、ジョニー、ミーナ、グンターは、地元で大人気となっていた。しかしバスターには、さらなる夢と野望が…。それは「エンターテインメントの聖地で、自分たちのショーを開催したい!」ということ。その情熱だけを胸に、コネもツテもないまま仲間たちと共に大都会へと向かうのだが――。そこで巻き起こる騒動と、前作よりさらにパワーアップした奇跡のステージが描かれている。
この度、バスターの優秀なアシスタントであるイグアナのミス・クローリーを演じる田中真弓さん、ミーナの相手役を務めるバッファローのダリウスを演じる木村昴さんにインタビュー。「続編が決まって嬉しかった!」と喜ぶ2人が語る『SING/シング』の魅力、本作を通じて感じた“歌の力”について、さらに現在の音楽チャートを賑わす“声優ソング”への思いなどを聞いた。
[取材・文:米田果織 撮影:小原聡太]
■待望の続編決定に喜びも…三間雅文さん(演出)への5年越しの恨み告白!?
――前作が大ヒットしたことにより、周りの反響も大きかったと思います。待望の続編出演が決まって感じたこと、またプレッシャーはありませんでしたか?
田中プレッシャーなんてまったく! 続編決定を聞いて、ただただ嬉しいという気持ちでいっぱいになりました。
木村僕も喜びが大きすぎて、プレッシャーを感じる隙間はなかったですね。だって、前作とは違う、さらに歌唱するキャラクターに選んでくださったのだから! 僕は前作でカエルのリッキー役をはじめ、ちょっとした役をたくさんやらせていただきました。お声がかかった時は「またリッキーかな?」と思ったのですが、まさかの別役。同じ作品で別の役のお声がかかるって、実は声優としてはかなり珍しいことなんですよ。
田中そうだよね。なかなかない。
木村前作に比べて登場シーンも増えましたし、何より歌唱シーンもある! その嬉しさが大きすぎて、プレッシャーなんて感じませんでした。
――アニメ!アニメ!では、前作公開時もおふたりにインタビューをさせていただきました。その際、木村さんは劇場に5回も観に行くほど『SING/シング』が大好きだと話していました。
木村実はあの後も観に行きまして(笑)、計何回観たんだろう? 覚えていないくらい、何度も何度も観に行きました。だからこそ、今回『~ネクストステージ』に関われることの喜びはひとしおでしたね。
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――田中さんは変わらずミス・クローリー役で出演。続編決定の発表があった際、また出ると予想していましたか?
田中出るだろうとは思っていました。(バスター・)ムーンさんのアシスタントですからね。変わらずムーンさんの隣に立っていてほしいという期待もありましたし。そして、いざ台本をいただいたら「前作より活躍しているぞ!」と(笑)。
木村前作を見てミス・クローリーファンが増えたんですよ、きっと! 良いキャラだからな~。制作中に「もっと出そう!」となったんじゃないですかね?
田中そうだったら嬉しいよね。ムーン役の内村光良さんも「今作のコメディパートはミス・クローリーが担っている」と言ってくださいました。普段いただくお仕事はほとんど少年役なので、私にとっては珍しい役柄にも関わらず、こんなに愛される役をいただいて…感無量です。ほら見て(パンフレットの説明を指さして)、御年200歳ですって。イグアナってそんなに生きるの?
木村え? 今それ聞いちゃいます?
田中あ! イグアナで思い出した。私ね、ちょっと恨みがあって。
――え(笑)? 恨み?
田中演出の三間雅文さんに、前作の収録に入る前から「カメレオン役です」と聞いていたんです。だから、ずっと「カメレオンのミス・クローリー役の田中真弓です」と言い続けていたら、ある時ファンの方から「イグアナです」と指摘されて。
木村(大爆笑)
田中これは三間さんが私に仕掛けた罠ですよ。
木村それは完全に三間さんが悪い(笑)。
田中確かに資料にはイグアナって書いてあったかもしれないけど、最初に「カメレオン」でインプットしちゃったから、頭に刻み込まれちゃったの。指摘されるまでずっと「カメレオンのミス・クローリー役の田中真弓です」と言い続けてきたけれど、今、ここでハッキリと言わせていただきます。イグアナのミス・クローリー役の田中真弓です!
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――しっかりと訂正できて良かったです(笑)。先ほど田中さんは普段少年役が多いと言われましたが、たしかにミス・クローリーの声を最初に聞いた時、田中さんのイメージが付かず驚きました。
木村それ、僕もです。「田中さんってこんな声も出るんだ!」と驚きました。田中さんのファンにとっては、『SING/シング』は田中さんの意外な声と想像もつかないコミカルな演技が見られるので、そこも魅力ですよ!
田中私は少年役ばっかりだけど、昴はずっと俺様キャラばっかりやってるよね。
木村(笑)デビューから今日までずっと俺様です。俺様専門声優って名乗ってもいいかもなぁ。
■ミス・クローリー&ダリウスは役作りいらず?「似てる」と語る部分とは
――普段あまり演じない役柄ということで、前作から5年も経っていますが、ミス・クローリーの声・役柄を思い出す作業などはされたのでしょうか?
田中いえ、すぐにミス・クローリーが私の中に入ってきました。私と彼女は、すごく似ているんです。
――例えばどんなところが?
田中「ムーンさんのお役に立ちたい」と一生懸命頑張っているのに、結局役に立っていないところ(笑)。前作だって、元はと言えば彼女のせいであんなことになってしまったじゃないですか。私もよく「いらんことさせたら日本一」と言われるんですよね…。
でも、ミス・クローリーにはムーンさんがいて良かった。あんな失敗をしても側に置いてくれているし、今回も現場監督を任せてくれるじゃないですか。「君がテッペンだ!」って。そしたら「了解! ムーンさん!」って張り切って、すぐ調子乗っちゃうし(笑)。そういうところも私と似ています。
木村そうなんですか(笑)?
田中昴だって、俺様役やりやすいでしょ? 自分に似て…。
木村ダリウスは、あれはもう僕です。地がほぼ一緒。役作りというか、僕のままセリフを読んだら出来上がりました。
――ダリウスの俺様という点はもちろん、強そうな見た目も「ハマり役だな」と思いました。
田中ハマり役だよね? 私も第一印象でそう思った。「こりゃ昴だわ!」って(笑)。
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木村本当ですか(笑)? 嬉しいなあ! 人の話を聞かないで我が道を行くところとか、自意識過剰なところとか、今風にいうと“盛り癖”があるダリウス。そういうところが僕とすごく共通しています(笑)。
田中ミーナとデュエットの練習をしていて、まさか脳内で違う顔に変換されているなんて気付きもしないしね。
木村僕の声もですよね。まさかジェシーさん(SixTONES/アルフォンゾ役)の声に変換されてるなんて思いもせず、自分が主役のつもりで歌って踊っています。
――残念な一面もあるダリウスですが、物語が進むにつれて、本当に良いキャラになっていきますよね。
木村そうなんですよ! 今作でのステージは複数のパートで構成されていて「この人が主役」という人はいないじゃないですか。ダリウスって「主役じゃないならやらない」とか言いそうなのに、真面目に最後まで自分の役をやり切るんです。本当にステージが好きなんでしょうね。彼にとっては、役の大小は関係ないんです。
田中私もダリウス大好き。というか、みんな好き。良いやつばっかりだよね、この人以外は(パンフレットのジミー・クリスタルを指す)。
木村本当ですよ! ジミー・クリスタル以外はみんな良いやつですよね。
田中娘のポーシャも最初は嫌な子だな~と思ったけど、最終的にはすごく良い子で大好きになった。
木村典型的な、金持ちのワガママ娘ですよね。なんでも自分の思い通りにいくと思っている。ロジータに「役を変わって」と言い出した時は「お前~!」となりましたが、そんな子がただな嫌味なキャラで終わらないのも『SING/シング』の魅力。全員が最後に手を取り合って、ベストパフォーマンスに持って行くのは「さすが!」と思いました。嫌なままで終わらないと言えば、ジョニーの父親は今作でめっちゃ良い役で登場していましたね(笑)。
田中ね! 出てきて嬉しかった!
木村それ以外にも、前作をオマージュしたようなシーンがたくさんあったのが、個人的には「エモい」と思いました。オーディションする側だったムーンが受ける側になったり、受講者の立場になって認められるにはどうしたら良いか悩んだり…そういう心理的な成長にもかけて“ネクストステージ”というタイトルになったんじゃないかな。
あと、これは恐らくなんですけど、ジミー・クリスタルのオーディション会場に、僕が前作で演じたカエル3匹のうちの誰かが並んでいたような気がするんですよね。
田中え! 気が付かなかった!
木村カエルが1匹だけ並んでたんですよ。もしかして3人組を解散してソロになっているのかなって…。あれがリッキーなのかは判断が付かなかったので、すごく気になっているんですよね。リッキーだったら良いな。
■田中真弓が“歌の力”を感じたシーン、木村昴のオススメシーンも
――『SING/シング』ファンの木村さんがさっそく隅々まで『SING/シング:ネクストステージ』を堪能していることがわかりました。今作では歌唱キャラとなりますが、MISIAさんとの掛け合いはいかがでしたか?
木村MISIAさんと掛け合いした声優は、僕が初めてではないでしょうか。いや~嬉しいです!
田中未だかつて、昴だけだよ。でもアフレコは一緒にしていないんだよね? 全員がバラ録りだったんですよ。1人1人アフレコしたんです。
木村いや、実はお会いできたんですよ。三間さんの粋な計らいで、僕の収録の次がMISIAさんだったので「デュエットする役だから、せっかくだから会って挨拶でもしたら?」と言ってくれて。ちょっとだけお話をさせていただきました。
――デュエットソングの出来映えはいかがでしょうか?
木村世界中のみなさんに聴いてほしい。それくらい良いものが出来上がりました。この曲を聴けば、嫌なことや辛いことを忘れられると思います。僕はこの曲でグラミー賞を狙っています。まずは『紅白歌合戦』に出られたら(真剣な表情)!
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――キャラクターたちが歌唱する姿を一番近くで見ているのが、ミス・クローリーだと思います。“歌の力”を伝える本作で、田中さんが一番そのパワーを感じたシーンは?
田中アッシュがクレイ・キャロウェイの家の前の石段で歌うシーン。何もセリフはないのですが、歌だけでヒシヒシとアッシュの思いが伝わってくるんです。「ショーに出てくれ」と直接お願いしていないのに、歌で心を通わせて、かたくなに「歌わない」と言っていたキャロウェイをステージに呼び戻すんです。
木村その次のシーンでは、もうバイクで会場に向かっていますからね。
田中ムーンさんやミス・クローリーは「出てください」と言うしかないのに対して、アッシュは言葉にせず、歌で伝えた。あのシーンにはすごく“歌の力”を感じさせられました。
――木村さんの好きなシーンも教えて欲しいです。
木村ミス・クローリーがスポーツカーに乗ってカッコ良くキャロウェイに出演交渉しに行って、結局失敗して帰って来たシーン。ホテルに帰って来て「良い車だったわ」って返していて、「レンタカーだったんかーい!」と声に出してツッコみました(笑)。
田中エアバックも出ちゃって、ボロボロになってるしね。
木村あと、ヌーシーとジョニーのダンスレッスンもすごく好き。ジョニーって本当に勉強熱心ですよね。前作ではピアノ、今作ではダンスレッスンに励んで、見事に自分のものにしてるんですから。どんどんいろんなことができるようになっていく過程を見ると、胸が高鳴ります。
――いっぱいありますね(笑)! 1つに絞るなら?
木村うわ~悩む~! あ、ミーナがアルフォンゾと初めて会った時に、アイスをもらって扉にアイスごと激突するシーン。初めて恋に落ちたミーナの表情がステキ。その前のシーンでダリウスとリハーサルをしているのですが、ミーナが“恋に落ちた乙女の顔”をしなきゃいけないのに、すごく変な顔するからダリウスが「なんだその顔!」とツッコむんです。ダリウスのことを好きになれないから、変な顔になっちゃうんでしょうね(笑)。そんな中でアルフォンゾと出会って、“恋に落ちた乙女の顔”をするんです。もう…(めちゃめちゃ溜めて)最っ高!
■「ハードルが上がっている」田中真弓&木村昴が語る、現代の“声優”
――「歌」という点に関して、近年、声優さんが音楽シーンで活躍することが増えてきました。お2人のデビュー当時、このような状況になることは想像されていましたか?
木村それ、僕も田中さんに聞いてみたいです。気になる。
田中本当に「時代は変わったんだな~」と思います。私のデビュー当時も主演声優が主題歌を歌うのは普通でしたし、私も歌わせていただきましたが、だいたい曲名にそのアニメの作品名が入っていました。今も、アニメがあって主題歌って作られてるのかな? 順番ってどうなんだろうね?
木村順番はわかりませんが、「アニメのための主題歌」ではなくなってきてはいますよね。声優さんではなくてアーティストの楽曲を使うことが増えてきましたし、音楽と作品が別物にはなってきている感じはしています。今は“声優アーティスト”という言葉も生まれ、武道館、スーパーアリーナ、ドームなどでライブされていますしね。
田中しかも満員でね。水樹奈々ちゃんなんて『紅白』に出ちゃったんだから。
木村個人的な意見ですが、歌に始まり、舞台やミュージカル、映像作品にも出られる声優さんが増えたことにより、「他の人がやっていないことをしなきゃ」という意識が芽生えたと思います。そして、その分ハードルも上がっていった。「声優さんだから歌えるでしょ」「踊れるでしょ」「面白いこと言えるでしょ」という、上がっていくハードルに合わせる必要が出てきたなというのはあると思います。
田中今の若い声優さんは本当にすごいなと思います。これから声優になる方、現在活躍されている若手の方は、歌って踊れて、バラエティで笑いも取れて、言われたことに切り返せる頭の良さを持っていないといけないんだろうな、と。
――田中さんは、そのバラエティに声優が出る礎を作った方だと思います。
田中昔はね(笑)。それこそ、若い頃はただの出たがりで「なんでも出たい!」「なんでもやりたい!」とバラエティのお仕事もチャレンジさせていただきました。あと3年したら70歳になっちゃうので、今はドラマに出たい(笑)。やっぱり役者になりたくて、お芝居がしたくてこの業界に入ったので、人生の締めくくりに「通りすがりA」役で良いからドラマに出たいわ~!
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木村田中さんは僕の大大大大先輩ですけど、まだ次なる目標があるって、本当にカッコイイです。すごい方だなって、今改めて思いました。なので、どうか田中さんをドラマに出させていただきたい。記事末に「ドラマの依頼はこちらまで」と田中さんの事務所の連絡先を書いておいてください。
田中通りすがりA役で大丈夫ですので! お待ちしております!
――最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。
田中この映画を観ると、「明日も頑張ろう」という活力が湧いてきます。また、先ほど私が「ドラマに出る!」という目標を語ったように、夢を持つこと、挑戦することへ背中を押してくれる作品だなと思いました。ぜひ劇場でご覧になっていただきたいです。
木村田中さんの言った通りで、さらに僕は「不可能なことはない」というメッセージを受け取りました。普通だったら諦めることを、バスター・ムーンは諦めないんですよ。そして、次々と奇跡を起こす。その諦めない気持ちが“ネクストステージ”へ進むための鍵なんだろうな、と。「自分には無理かも…」と後ろ向きな気持ちをポジティブに変換してくれる作品、そして音楽を劇場で体感してください。
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――ありがとうございました!
『SING/シング:ネクストステージ』は大ヒット公開中!ぜひとも劇場で、そして日本語吹き替え版で、田中さん&木村さんを始めとした人気声優陣・アーティスト陣の活躍を楽しんでください!