「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」“下手な先輩”だった吹奏楽部経験者にとっての青春【夏アニメコラム】 | アニメ!アニメ!

「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」“下手な先輩”だった吹奏楽部経験者にとっての青春【夏アニメコラム】

アニメ!アニメ!編集部のオススメな「夏アニメ」を紹介するコラム第4弾。今回は超!アニメディア編集長・中筋啓より、『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』を紹介します。

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「劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~」(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
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    ◇◆◇ 夏アニメコラム ◇◆◇

    気温が高い日が続き、本格的な夏目前! 今年は夏休みが短くなったり、海開きが中止になったりして心置きなく夏を満喫するのが難しい状況。
    そこで、アニメ!アニメ!ではオススメの【夏アニメ】をピックアップ! 編集部&ライターが連載形式で紹介していきます。ぜひさまざまな“夏”を味わってみてください♪



<第1弾>
「ばらかもん」外出自粛…人と会えない今こそ見たい! 元気な“島っ子”と過ごす田舎ハートフルコメディ
<第2弾>
「ピンポン」“僕の血は鉄の味がする…”忘れかけていた大切なものを思い出させてくれる、青春スポ根アニメ
<第3弾>
「デジモンアドベンチャー02」“夏休み”の非日常感を味わえる! 初登場テリアモンにも注目の劇場版

今回、第4弾として超!アニメディア編集長・中筋啓がオススメする作品は……

【No.4】劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~


「劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~」(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
『劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』

北宇治高校吹奏楽部、新たなる波乱の日々


高校の吹奏楽部を舞台に繰り広げられる人間ドラマ、そして繊細かつダイナミックな演奏シーンが話題となり、多くの人々から支持を集める『響け!ユーフォニアム』シリーズ。2019年4月に公開された映画『劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』では、主人公・黄前久美子(CV.黒沢ともよ)が2年生に進級し、吹奏楽部へ「後輩」たちがやって来たときの物語が描かれる。
一筋縄ではいかない後輩との関係を通して、久美子が得たものとは――。


私にとっての青春は辛く・悔しく・楽しいものでした


「合奏を始めます。まずは頭から通しでいきましょう!」

7月中旬。気温は40度を超える猛暑。そんな中、古い謎の建築物に50人近くが集い、音楽を奏でる……。目標は県の吹奏楽コンクール出場。ただひたすらに音楽と暑さに向き合う。これが、とある高校の吹奏楽部に所属していた私にとっての青春であり、高校生活における一番の思い出。そんな私にとって、吹奏楽部を舞台とした物語を展開する『響け!ユーフォニアム』は、辛くて悔しくて、でも楽しかったあの夏の記憶が蘇ってくる、素敵で、心が痛くなる「夏アニメ」です。

主人公の久美子が高校1年生の頃を描いたTVシリーズも、別の劇場公開作品もオススメなのですが、今回あえて『誓いのフィナーレ』を挙げたのは、当時の私が“下手な先輩”だったから。

私たちの代は自身を含めて高校生になってから楽器を始めた者が多く、どちらかといえば学生ならではのノリで、とにかく楽しい場を作りたがる「エンジョイ勢」でした。そんな同期が大好きでした。一方の後輩たちは経験者というだけでなく、地元で強豪と言われている中学校出身の猛者たちばかり。卒業してから聞いた話だと、中学校の顧問から「あの学校の吹奏楽部をお前らが変えてこい」的なことを言われていたらしいです。

後輩たちが入部したばかりの頃は、ノリがよい私たちと話しやすかったのか、わりと良好な関係を築けていました(恐らく)。しかし、本格的に一緒に練習する機会が増えると、関係は徐々に悪化。遅刻は平気でする、連絡なしに休む、恋の病にかかって立ち直れない……。そんな先輩たちの様子を見て、演奏を聞いて、「こんなの吹奏楽部じゃない」と言わんばかりに鋭い目つきを向けてきた後輩の顔は、今でも忘れられません。



『誓いのフィナーレ』に登場する久美子の後輩である1年生の久石奏(CV.雨宮天)は、コンクールの出場者を決めるオーディション時に、わざと手を抜いて3年生の中川夏紀(CV.藤村鼓乃美)にメンバーの席を譲ろうとしました。その際に起きた「いざこざ」で奏が放ったのは、「下手な先輩は存在自体が罪」という言葉。

“下手な先輩”だった私にとっては、辛くて重くて、耳をふさぎたくなるような一言でした。だからこそ、オーディションで手を抜かれたことに激怒した夏紀の気持ちには共感できました。反対に、確かな演奏技術を持ち努力を積み重ねてきた奏がその言葉を言うのも、理解できたんです。実際に、後輩の怒りと悲しみが混じったあの目を見たから……。

何度も「辛すぎていなくなりたい」と思い悩みました。それでも、音楽が好きで、ちゃんと合奏ができたときの気持ちよさが計り知れなくて。部活を辞められなかったんです。そんな辛い日々が続く中、やんわりと、徐々にではありましたが、後輩たちとの溝も埋まっていきました。それはきっと、同期みんなが“ちゃんと練習しよう”という気持ちになり、後輩たちも歩み寄ってくれたから。

みんな後輩たちに触発されたんでしょう。2年生で県大会に出場できず、悔しい想いをした経験も大きかったです。これはカッコつけでもなんでもなく、「上手くなりたい」「楽しくやりたい」という気持ちがまとまって、音がまとまったのだと、指揮者として前から奏者たちを見ていた私は感じました。

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そして、3年生。新たな後輩を迎え総勢50名で臨んだこの年は、目標であった県コンクール出場を果たしました。久美子たちの足元にも及ばない成績。それでも、笑顔でコンクールを終えられました。あの鋭い目つきをしていた後輩は、今となっては毎年楽しく遊ぶいいツレになっています。そして、今でも私は吹奏楽が大好きです。

初っ端から最後まで自分語りばかりになってしまいましたが、『響け!ユーフォニアム』は輝かしい青春の側面だけじゃなく、上手くいかない人間関係も映し出した、ヒューマンドラマだと思います。吹奏楽部の夏を謳歌した人も、吹奏楽部に所属していなかった人も、この夏、ぜひ彼女たちの物語を観てみてください。きっと、心に突き刺さる言葉が出てきます。私は重症でした(笑)。でも、それを乗り越えたから今があるということも忘れないでいたいです。社会人でも、“存在自体が罪な先輩”にならないように。

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
《超!アニメディア編集長・中筋啓》

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