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様々な企業を巻き込み展開を続けてきた同プロジェクトだが、ガンダムとハローキティがアニメ作品として夢の競演を果たす特別PVもまた、プロジェクトの目玉の一つである。
その最終話となる第3話が2020年1月15日、プロジェクト専用のYouTubeチャンネルでついに公開された。
第3話「愛・戦士」
今回は本作のクリエイティブのキーマンであるイム・ガヒ監督、サンライズIP事業本部第1企画制作部デピュティゼネラルマネージャー、第5スタジオプロデューサーの谷口理氏、サンリオライセンス事業本部デザイン部クリエイティブディレクターの山田周平氏の3人にインタビュー。
その見どころと制作背景について伺ったところ、プロジェクト特別PVへの理解がより深まるエピソードに加え、「ガンダム」にまつわる意外な裏話も飛び出した。
[取材・構成=いしじまえいわ]
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左から山田氏(サンリオ)、イム監督、谷口氏(サンライズ)
■驚愕!『機動戦士SDガンダム』登場!
――ついに特別PV第3話が公開されました。驚いたのは懐かしの『機動戦士SDガンダム』(注1)が登場したことなのですが、どういった経緯で生まれたアイデアなんでしょうか?
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注1:『機動戦士SDガンダム』は1980年代末期から90年代中頃まで玩具やマンガ、アニメ、ゲーム等で展開した2頭身にディフォルメされたガンダムキャラクターと作品群。ギャグ・パロディを主としており、児童層に熱烈に支持され一時期はガンプラ・玩具の売上の中核を担った。SDはスーパー・ディフォルメの略。
イム:第3話の舞台は、ガンダム世界の戦場のためキティちゃんも何かしらアクションをしないといけないのですが、前回お話しした通りキティちゃんは武器を持ったり誰かを攻撃してはならないという縛りがありました。
前回記事
イム:バリアを張って敵の攻撃を跳ね返すことも考えたのですが、その跳ね返った弾で相手が破壊されても、結局攻撃と同じ結果になってしまいます。
山田:そうですね。反射でも相手を傷つけてしまうのであればダメです。
イム:「どうやってキティちゃんと友達になろう?」「跳ね返った弾がゲルググに当たった時、傷つくのではなく、どういう変化が起こればファンは喜ぶだろう?」といったことを考えた結果、跳ね返った弾があたったら、SD化してみんな仲良くなる、という表現に至りました。
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谷口:このアイデア、よく出てきましたね。これは本当にイムさんならではのものだったと思います。
イム:でも、通常のガンダムとSDガンダムがひとつの画面に同居することは「ガンダムファンの方々に喜んでもらえるのか……」という不安はありました。
――マニアックな例で恐縮なのですが、『夢のマロン社「宇宙の旅」』(注2)という作品でリアルタイプガンダムとSDガンダムが共演していますね。
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注2:『機動戦士SDガンダム MK-IV 夢のマロン社「宇宙の旅」』アミノテツロー監督による1990年発売のOVA作品。SDガンダムキャラたちがリアルタイプガンダムの世界の一年戦争に迷い込む。ファーストガンダムのモビルスーツが、当時シリーズ最新だった『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のテイストにアレンジされて登場することでも有名。
イム:そうですね。実は当時のSDガンダムの作画資料があまり残っておらず、今回の作画では『夢のマロン社「宇宙の旅」』の資料やSDガンダムの商品などを参照しました。
――SDガンダムを作画するにあたって気を付けたことは?
イム:作画監督や原画の方と特に綿密に相談したのは「SDガンダムをどう動かすか?」です。実は同じようにデフォルメされたガンダムでも、メカニカルなものからキャラクター然としたものまで様々な種類があるので。
――そうですね。現行のデフォルメされたガンダムは角ばったメカニカルなものが多い印象です。
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「ガンダムvsハローキティ プロジェクト」ガンダムキティ ガンプラセット(2020年2月発売予定)
イム:モビルスーツ感を残して機械然と動かす案もあったのですが、今回はキティちゃんと仲良しになるのですから、柔らかく可愛らしい動きの方向でディレクションしました。
――それで結果的にゴム風船然とした旧来のSDガンダムテイストの風貌になったのですね。
イム:その通りです。
山田:この落としどころについては、監督に本当に良いアイデアをいただいたなと思っています。
イム:ありがとうございます(笑)。
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