大塚明夫×堀内賢雄、口を揃えて「俺のこと嫌いだったと思う」“真逆”だったデビュー当時を振り返る【インタビュー】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

大塚明夫×堀内賢雄、口を揃えて「俺のこと嫌いだったと思う」“真逆”だったデビュー当時を振り返る【インタビュー】

2019年9月に最終回を迎えた『キャロル&チューズデイ』にて、ガス役を努めた大塚明夫さんとダリア役を努めた堀内賢雄さんにインタビュー。前編に引き続き、今回の後編では“声優界”にフォーカスを当て、デビュー当時の思い出話や現在の声優業界についても語っていく。

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■人間らしい震える芝居を求めて


――では、今の若手声優に足りないと感じることはありますか?

堀内:そうですね……男臭い芝居ができる人は少ないです。例えば戦隊モノでたくさんの兵士を従える男には、そういう芝居が求められるんですけど、まあ下手くそなんですよ。
優しいセリフをしゃべる機会のほうがはるかに多いんでしょうね。男臭い芝居を求めても、なかなかいない。ある演出家が「探すのが大変です」って。

――絶対に求められるところではあるんですけれどね。

堀内:そう、なのに「いない!」って頭を抱えていました。

大塚きっと殺気がないんだよね、芝居に。

堀内:明夫がこの世界に入ってきたときは「なんて低い声だ!」「男らしい声だ!」と言われたんですけどね。その前には若山弦蔵さんとかがいたけれど。

――そういった声優業界の変化について、おふたりはどう見ていますか?

大塚:別に憂いていたりはしていません。この業界に限らず、転がっていく方向っていうのがあるんですよね。
昔は良かったなんて言っても何もはじまらないし、この先どう転がっていくんだっていう中でみんなそれぞれにアンテナを伸ばして頑張っているんです。

そんななかで、我々は淘汰されないようにしがみついているわけですから(笑)。転がる方についていくしかない。

堀内:そうだね。最近、人気声優って呼ばれる子たちと飲んだりするんだけど、みなさんそれぞれに悩んでいるんですよ。
僕は今62歳なんですけど、「その年齢になったとき、どうなっているんだろう」とか、「その前に50の僕ってどうなってるんですかね?」とか。
もうすっかり安心しているのかと思いきやすごく悩んでいてすごいなって思いましたよ。


大塚:そうなんだよね。

堀内:思いのほか、危機感を持っているんだというのは感じました。

――第一線で活躍しているおふたりだからこそ、説得力のある言葉です。

大塚:そうそう、面白いんだけど、若いときにポンと売れてこう(天狗に)なった人って、ある程度の年齢になると急に鼻が折れて、僕たちに礼儀正しくなったりするんですよ。

――現実を見るんですかね?

大塚:そうだと思いますよ。いったん売れたは良いものの、少し落ち着いてしまって、ふと未来が不安になった瞬間、「そういえばこの人たち長いこと現場にいるな。すげーな」って僕たちを見てくれるようになるんでしょう。いつまでもいるもんだから(笑)。

堀内:面白い世界ですよね。キャリアを積み重ねてどうこうというより、常に旬じゃなければいけない。いつも感じますけど、職人なんでしょうね。

例えば、『キャロル&チューズデイ』のダリアという柱があるとしたら、「この柱は堀内賢雄さんに作ってもらおう」「堀内さんに作らせたら一番だよ」というもの。
そこで名前が上がってこない限りは、僕の仕事はなくなってしまうわけです。

だからいろんな作品の中で「あなたに任せたいです」って言われるぐらいでないといけない。

――具体的にはどんなふうに旬を保つんでしょうか?

大塚:それはやっぱり、台本と真剣に向き合うことじゃないでしょうか。「だいたいこんなもんだろう」と気持ちが離れてしまうと、作品や役もきっとどっかに行ってしまうんですよ。

自分がやらなければ誰かがやるわけで、誰かがやるものと同じでは生き残れません。だから「自分がやるんだから」という意識を忘れず、「他の追随を許さん!」くらいの思いで役と対峙する。そういうことだと思います。結構しんどいですけどね。


堀内:いつも思うんですよ。あまりに真っ白いものってただ綺麗なだけだけれど、そこにちょっと汚れがあったりすると人間らしいなと。
この前、伝説的な歌手をAI技術によって蘇らせるという番組が放送されていたんです。歌声のクセまで忠実に再現しているのにファンは「違う」と。

大塚:震えないんだね。

堀内:そうなんだよ。

――人間って、そういうところまで繊細に感じ取っているのかもしれませんね。

堀内:技術自体は素晴らしいものですし、本当に細かいところまで見事に再現していたんですよ。だけど、その歌手の感覚や人生まで歌声に乗せることは難しい。奥深いですよね。
芝居も、そういうものだと思うんです。人間らしさやぬくもりみたいなものが滲む芝居は、いつまでも求められると思います。

大塚あとはなにより、楽しんでほしいよね。楽しいと思えるうちはとことん楽しんで、楽しくなくなってきたらやめればいいんだから。

堀内:昔の僕らみたいに役者が少なかった時代はもしかしたら運に頼れたかもしれないけど、今は運に頼っていたらすぐに潰れてしまいます。
せっかく目指すなら好きで好きでしょうがないっていう気持ちを大切に。その気持ちを前面に出していたら、きっと上がっていけるから、諦めないでチャレンジしていったら良いんじゃないですかね。
寝てるばかりじゃあチャンスはなかなか来ないですからね、今の時代は。



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『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
2019.10.30 Release

【Blu-ray Disc】Blu-ray Disc2枚+CD1枚
34,800円+税

【DVD】DVD3枚+CD1枚
29,800円+税

<収録内容>
■本編
第1話~12話

■映像特典
・メイキングムービー『Story of Miracle Special Edition vol.1』(収録時間:30分)
・オープニングテーマ『Kiss Me』Music Video
・フラッシュアニメ「きゃろる&ちゅーずでい」
第1話 ガス&ロディ
第2話 アーティガン&ロディ
第3話 アンジェラ&タオ
第4話 チューズデイ&ロディ
・ノンクレジット オープニング/ノンクレジット エンディング
・各話振り返り映像 (第1話~第12話)

■特典CD
CD『CAROLE & TUESDAY Supporting Tracks Vol.1』
「VOCAL COLLECTION」では未収録の劇中歌唱曲の数々を多数収録

<商品仕様・特典内容>
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《松本まゆげ》
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