大塚明夫×堀内賢雄、「キャロル&チューズデイ」現場を振り返る―視聴者にはバレてはいけない楽しさがあった【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

大塚明夫×堀内賢雄、「キャロル&チューズデイ」現場を振り返る―視聴者にはバレてはいけない楽しさがあった【インタビュー】

2019年9月に最終回を迎えた『キャロル&チューズデイ』より、ガス役大塚明夫さんとダリア役堀内賢雄さんにインタビュー。役への想いや見どころをうかがった。

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■人間的なAIに「感動」


――半年間で壮大な物語を紡いだ「キャロル&チューズデイ」ですが、なかでも印象に残っているシーンやキャラクターを教えてください。

大塚:もちろん全部印象に残っていますけど、スペンサーの描き方かな。

『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
チューズデイが家出したところから始まる物語だったので、スペンサーは最初あんまり出てこなかったけれど、終盤はお母さんへの反目と愛とっていうのがちゃんと回収されていました。
そこを描き出すのはすごく大変だったんだろうなと思います。

堀内:僕は手前味噌ですが、やっぱりダリアが亡くなるシーンです(第22話「Just Like Heaven」)。これを言って亡くなるのかと衝撃を受けるラストで。僕自身、アンジェラのその先が気になって仕方ない終わりだったかなと思いますね。

『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
――堀内さんも感情移入してしまったんですね。

堀内:そうですね。それと、キャロルとお父さんの会話シーン(第14話「The Kids are Alright」)。あれで、あの世界の家庭も全部が裕福で素晴らしいわけではなく、それぞれに悩みを抱えていることがはっきりとわかってきましたよね。

大塚:それをいちいち説明せずに、音楽のバックに差し込んだりするんだよね。

堀内:本当にそのとおり。見せ方が正解だったよね。

大塚:あと、アンジェラとタオが兄弟だったって言うところ(最終話「A Change is Gonna Come」)。あんなの、「最初から考えてたの?」って不思議に思うくらいすごいですよね。

『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
堀内:それ、相当前に聞いたんだよ。「アンジェラとタオの間には何かあるんですか?」って。でも、教えてくれなかったんだよね! ダリアが明かさないまま死んでいくからかな。

大塚:ほかにも政治問題や親子問題といった伏線が「回収しきれるの?」っていうくらいバラまかれていたけど、見事に回収しきっているんですよね。
演じ手としては、もうちょっとそれぞれの伏線をじっくり描いてもらって、3クールか、はたまた4クールくらいはやりたい!という気持ちが沸いているくらいなんですが。

――そのくらい、巧妙で綿密でしたよね。

大塚:本当に。あと、もうひとつ挙げたいのがタオとAIの最後のシーン(第23話「Don’t Stop Believin’」)。

シャットダウンする前の会話に感動しちゃったんだよ。「いつか戻られますか?」と聞いて、タオが「いや」と答えたら「了解しました。どうかお元気で」って言うんだけど、ひと呼吸置いて返事するんですよね。

AIの中で感情がグルグルしているんだろうなと想像しちゃうんです。あの“間”はすごい演出だなと思いました。

大塚明夫さん
――すごく人間的でしたよね。デズモンドに仕えているAIを見ていたので(第15話「God Only Knows」)、余計にAIとの人間的な対話って成り立つんだなと思いました。

大塚:そうでしたね。デズモンドさんのところの関係性も特殊だった。それも伏線のひとつだったのかも知れないですよね。

■すべてにこだわったキャロチュー


――この作品では、キャロル役の島袋美由利さんとチューズデイ役の市ノ瀬加那さんというふたりの若手が主人公を演じました。おふたりからはどんなふうに見えましたか?

大塚:初々しい可愛さがありましたね。あの子たちがどんなテクニックを持っているのかはわからないんだけど、気持ちを大事にしながらセリフを紡いでいるのがすごくよくわかりました。

印象的なのは「サイドニア・フェス」の出演が決まって10万人の前で演奏するシーン(第6話「Life is A Carnival」)。

『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
大塚:ステージに出て自己紹介するところで、キャロルのほう(島袋さん)が噛んだんです。それがすっごい可愛くて。
そこから何度か録り直したんですけど、最終的に「最初の噛んだのを使います」と。

――あれがリアルな“噛み”だったとは。

大塚:作品で主役をやるというのも、10万人の前に出るようなものじゃないですか。まるで、高揚感でつまずいて転んでしまうような。
それがあのシーンに出ていました。すごく初々しくて可愛くってキャロルでしたね。

「なんか録り直してるけど、噛んだのを使わないようなら監督を盲信しないぞ!」と思っていたら、最終的に使うとなり「さすが!」と。

堀内:キャロチューが選ばれる理由がわかりますよね。テクニックじゃない。伝わるものがあるんですよ。

大塚:そうそう。テクニックじゃないぶん気持ちが出ているんだろうね。それがよかったです。

――堀内さんは、島袋さん市ノ瀬さんと絡むシーンはあまりなかったかと思いますが、どう見ていましたか?

堀内:歌い手さん(シンガーボイス)もそうだけど、監督が選んでいるだけあってキャラクターボイスのみなさんもすごくよく見られています。
あのふたりにはキャロルとチューズデイみたいな性格が備わっているんでしょうね。

上にあがっていきたいっていう思いもリンクしているからか、しっかり投影されていてセリフに生きている。
いろんな作品に関わっていろんな芝居を植え付けられていたら、たぶんこうはいかなかったんじゃないかな。

堀内賢雄さん
大塚:全国制覇したような人たちがやってもダメなんだよね。

――それこそ、人生が滲む声ですね。そんなみなさんのお芝居や音楽、絵など様々な魅力に溢れた本作。パッケージでも改めて観たい作品になっていますが、おふたりが見どころだと感じる部分は?

大塚:やっぱり一番は、「音楽」。曲をよく噛んで感じて欲しいです。
最初のふたりが紡ぎ出していく音の交わりなんて、感動するじゃないですか。

『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
この作品の本質なんだろうと思います。

堀内:まったくその通り。キャスティングにこだわったように、音楽にもものすごくこだわったことが感じられます。日本語歌詞にも面白いくらいにシンクロしているし。

大塚:あれ、偶然シンクロしていたりするらしいよ。「こんなシーンで流すからこんな曲にして」って発注したら、想定以上にシンクロしたんだって。全部ではないんだけど。

堀内:それは感動的だなぁ。僕、1970年代のリズム&ブルースのDJだったから、音楽もリズム&ブルースばかり聴いていたんですよ。
なのでキャロチューの音楽はぜんぜん違うジャンルではあるんですけど、全てにおいてリズム&ブルースに通ずるものを感じます。魂の叫びだとか、ハートに訴えかけるようなものがあるんですよね。

◆ ◆ ◆

ちなみに、最近聞いている“音楽”について尋ねると、大塚さんは「米津玄師さん」、堀内さんは「昭和の歌謡曲」との回答が。

大塚さんが「孤独を感じていた50歳の頃はマイルス・デイヴィスにハマっていました。孤独に耐えかねてうめいているように聞こえて……」と言うと、堀内さんは「僕は昔、ナタリー・コールやマービン・ゲイを観に行ったよ。マービン・ゲイなんてアメリカ大統領に会うより難しいって言われてるんだから!」と返して音楽談義に花が咲いた。

果ては「高速のサービスエリアでベッツィ&クリスの『白い色は恋人の色』が入ったCDを買った」と共通点を見つけ大盛りあがり!

まだまだ続く対談。後半はこの2人にこそ聞きたい“声優界”について語っていただく。

大塚明夫さん×堀内賢雄さん
>インタビュー後編は2019年11月8日公開予定!

【TVアニメ『キャロル&チューズデイ』Blu-ray Disc/DVD Vol.1】

『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
2019.10.30 Release

【Blu-ray Disc】Blu-ray Disc2枚+CD1枚
34,800円+税

【DVD】DVD3枚+CD1枚
29,800円+税

<収録内容>
■本編
第1話~12話

■映像特典
・メイキングムービー『Story of Miracle Special Edition vol.1』(収録時間:30分)
・オープニングテーマ『Kiss Me』Music Video
・フラッシュアニメ「きゃろる&ちゅーずでい」
第1話 ガス&ロディ
第2話 アーティガン&ロディ
第3話 アンジェラ&タオ
第4話 チューズデイ&ロディ
・ノンクレジット オープニング/ノンクレジット エンディング
・各話振り返り映像 (第1話~第12話)

■特典CD
CD『CAROLE & TUESDAY Supporting Tracks Vol.1』
「VOCAL COLLECTION」では未収録の劇中歌唱曲の数々を多数収録

<商品仕様・特典内容>
・三方背ケース+デジパック仕様
・三方背ケース:キャラクターデザイン 斎藤恒徳 描き下ろしイラスト
・デジパックケース:オープニングコンセプトアート 上杉忠弘描き下ろしイラスト
・豪華特製ブックレット「CAROLE & TUESDAY ~The Loneliest Girl~」(84ページ)
《松本まゆげ》
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