最終回の今回話を聞くのは、ソウマ役・朝井彩加さんとスズナ役・佐倉綾音さん。本作に参加する時期が異なるふたりが、それぞれの『消滅都市』の印象を語った。
[取材・構成=松本まゆげ/撮影=小原聡太]
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『消滅都市』
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2019年4月7日よりTOKYO MX、読売テレビ、BS11にて順次放送
■「追い求めるけど手に入らない」が共通点?
――まずはゲーム『消滅都市』から振り返っていただきたいです。朝井さんはリリース時から携わっていますが、当時はどんな印象でしたか?
朝井
ちょうど声優としての仕事をはじめたばかりだったのですが、収録しているときはストーリーがけっこう重厚でご都合主義な展開ではないなと感じました。
ただそのときは、まだフルボイスじゃなかったこともあり、実際に自分でプレイしてみてはじめてストーリーの全容を把握できた感じです。
――朝井さんはゲームも熱心にプレイされていると聞きました。
朝井
リリース以来ずっとやっています! 実力も瞬発力も大事でハマる要素が多くて、ガッツリプレイしてしまうくらいハマっちゃいました。
だけど、まさかこんなに長く続いてアニメ化までするなんて……最初は想像がつかなかったので、感慨深いです。
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――アプリゲームが飽和状態の今、アニメ化が実現するタイトルも限られていますからね。それだけ魅力があったのかと。そして佐倉さんは2016年からの参加ですね。
佐倉
大型アップデートを経て『消滅都市2』からですね。ただそれまでTVCMはよく目にしていて存在は知っていました。
「不思議な世界観だな」「実写だけどゲームのCMなんだ、珍しいな、でも聞こえてくる声は現場でよく聞く杉田(智和)さんと花澤(香菜)さんだ」といろいろ驚きがあって。
新しい切り口でプロモーションしているんだな、と私にとっては新鮮でした。
――そうして、出演が決まったんですね。
佐倉
「新キャラで参加してもらいます」とのことでお話をいただきまして。最初はワード数少なめだったんですが、しばらくして「追加で収録します」とすごく大量の台本を頂いて収録することになりました。
あのときは……すごくネガティブな気持ちに染まった収録だったのを覚えています。
シナリオ的に重い内容で、それを狭いブースの中ひとりで録っていたので「気持ちが死ぬ!」って思いながら収録しました(笑)。
そこから、イベントに参加させてもらって、すごくステキなシチュエーションで朗読をさせてもらったことも印象深いですね。
イベントでは、松岡(禎丞)さんをタマシイにするっていう不思議なこともありました。
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――2017年5月に開催されたイベント「消滅都市 3rd Anniversary Fes.」のワンコーナーで、お題「次に追加されるタマシイは何が良い?」を発表していましたね。
佐倉
あ、そういうお題でしたね。じゃあ、私が勝手に描いたんだ(笑)。次のタマシイは松岡さんがいいな~って思って。
――結果叶いましたから。
朝井
それ、覚えてます!
ゲーム内で「ヨシツグ都市」っていうイベントになったんですよね! イベントストーリーに出てくるキャラクターのボイスが全員松岡さんになっていて(笑)。
佐倉
あははは! それ私のせいだったんだよね(笑)。
それに、そのときのイベントで『にゃんこ大戦争』とのコラボが発表されていたんです。みんなネコ語になるっていうイベントだったそうなので、暗い話ばかりではないんだなと『消滅都市』のイメージが少し変わりました。
――では、作品そのものの魅力ってどこにあると思いますか?
佐倉
私、『消滅都市』のビジュアルのスタイリッシュさがすごく好きなんです。タイトル自体も変にひねったものではないし、フォントも奇をねらっていない。
そういうストレートさとスタイリッシュな感じが逆にドキッとします。
胸がザワつく感じがして好きです。
色も彩度が低いんですよね。今回のティザービジュアルもそう。
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――確かに、きっと何かが起こっているとザワザワしますね。
佐倉
さっき言ったCMも、明るい空ときれいな景色っていうよりは、どんよりしていましたよね。
そこが色んな人の心をザワつかせるのかなと思います。
朝井
それに、完結しているようでしていない話が多いんです。
例えば、ストーリーを進めていくと新しい謎が出てくる。それがパズルのピースだとすると、1個1個ピースを集めていってパズルを完成させたとしても、そのパズルの絵がまた謎になっているような世界なんです。「この絵の意味は何なんだろう」みたいな。
――その結果、疑問が残って気になる。
朝井
何段階にも伏線のようなものが張り巡らされていますね。
しかも「こうであってほしいな」が起こらないんです。そこがご都合主義じゃないところですね。
あとキャラが多くて、ひとりを突き詰めていくと「あ、君があのときの人だったのね!」「この人とあの人はそんな関係なんだ」と繋がっていくんです。
そういう関係性から考えさせられる部分もあり、より現実を見ているような気分になります。
けど、ファンタジーの部分もあってうまく織り重なっている。そこに引き込まれるのかなと思います。
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――ご自身が演じるキャラクターに共感しているところはありますか?
佐倉
共感は……実はあんまりしたくないんです(笑)。
スズナって、あまり幸せな子ではないんですよ。いつも何かが足りなくて、追い求めていて、でも手に入れることができずに生きている子なので。
ただ、何事もいろんな可能性を考えながら動く子なので、そういうところは私にもあるのかなと思います。
朝井
スズナの何かが足りなくて追い求めているみたいなところ、まさにソウマもそうだと思うんです。
追い求めているけど欲しいものはいつも手に入らない、という感じの子なので。私にはそれがすごくわかるなって思います。
佐倉
私もそれはわかるかもしれない。
朝井
やりたいことがあるということは、ひとつの目標であり道標でもありますけど、同時に届かないという苦しみでもあるんですよね。
このお仕事をしているとどうしてもこの役をやりたいと思ってオーディションをがんばるけれど、落ちてしまうことが何回もあるので。
期待すればするほど裏切られる、うまくいったぞって思っても結局ダメということも多々あるので、どうしても共感してしまいます。
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