■もっと“らしさ”を出せたら良いなと気合いを入れて挑んだ
――では2作目「砂漠の迷宮」はいかがでした? ついに迷路から抜け出して外の世界に出ました。
畠中
置かれている状況は変わりましたが、体の興奮具合とかは変わりませんでした。
山下
一気に世界が広がって、新しい情報がどんどん出てきたのが2作目です。なので僕らも、彼らと同じように真相を知らないまま録りました。
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畠中
で、僕はやっぱり過呼吸に近い状態になりましたね。1作目同様パニックで、ぶつかっていくしかないみたいな感じでした。
――1作目の収録から間があったと思いますが、気持ちやテンションはどのように持っていったのですか?
畠中
いなくなったキャラがいたりもしましたが、ほぼほぼ1作目と地続きな感じで自然に気持ちを持っていけました。
あと、1作目同様に1日での収録だったので、「1日で全部撮り終わるぞ!」という気合いもふくめて、同じようなテンションで演じられました。
山下
僕は、単純に再び演じられることが楽しみでしたね。初の長編吹き替え作品でメインとなるキャラを演じさせてもらったので、シリーズへの思い入れがひと際強かったんです。
それに前回の収録が終わった後に、洋画の吹き替えはアニメとはまた違った楽しさがあると感じていたので「またあの楽しさ味わえるぜ!」と喜びがありました。
また、自分自身も経験を積んでいる分、ニュートと同じで以前より成長しているだろうと思っていたので、テンションも持っていきやすかったですね。「前よりもできる。もっと自分らしさを出せたら良いな」という気合いも存分に入りました。
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――2作目もアクション満載でしたが、とくに崩落したビルから落ちるシーンは印象的でした。
畠中
登って登って落っこちるところですね! あれもキツかったな~! でも、あのシーンも一発録りです。2回も3回も録っていたら体が持たないので、最初の1回に全身全霊を込めて演じました。
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――2作目といえば、テレサの裏切りも衝撃的でした。
畠中
僕らも衝撃ですよ! 意味がわからなかったですね(笑)。
で、次の瞬間にはミンホがさらわれてしまうという。でも、いい引きだったなぁ。だから3作目でテレサは救われたと思います。自分を貫き通して……。
3作目を見終えたいま2作目を見返してみると、よりグッと胸にくるシーンも多いだろうなと思います。
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■登場する少年少女の若さにこそ魅力があると思う
――そして3作目「最期の迷宮」でいよいよシリーズ完結を迎えました。
山下
世界の謎や物語の核心に近づいていくとともに、各キャラクターのドラマもよく掘り下げられていましたよね。
また、トーマスひとりで頑張るというよりは、仲間と手を取り合って戦う感じで、みんなと一緒にいる場面が多かった気がします。それまではトーマスって勝手にどっかいっちゃう人だったけど(笑)。
畠中
前作に比べると掛け合いのシーンは多かったですね。
アクションシーンも満載でしたが、人間ドラマが深く掘り下げられていて、落ち着いた会話シーンも多くて魅力でした。
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――最初に3作目のシナリオや台本を読んだときはどう感じましたか?
畠中
1作目と2作目の物語や伏線がここにつながるのか! と感動しちゃいましたね。
人間ドラマとして積み重ねてきたものが深みとして表れていたのもよかったです。ニュートとの最後のシーンも胸を締め付けられるものがありましたし、テレサとの関係もこんなに切なくなるとは……。とくにテレサは2作品目のラストで煮えくりかえるものがあったので(笑)、3作品目でその気持ちも浄化されたなって思うし、純粋に物語が良い終わりを迎えられて大満足でした。
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――では、おふたりが好きなところや見どころは?
山下
3作目の見どころはめちゃくちゃ多いですね。
ニュートを演じている身からすると、終盤でのニュートとトーマスとの会話劇はぜひ見てほしい。ニュートはこれまで冷静なイメージがありましたが、今回は逆の立場というか、背負いきれなくなりそうなところをトーマスが支えてくれる。そこが素敵でした。
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畠中
最後、トーマスは手紙を読むんですよ。ここで差出人の名前を言ってしまうとネタバレになってしまうので、“誰かの手紙”とだけ言っておきますけど、その手紙をもらうシーンが見どころです。これから観る方はぜひ注目してもらいたいです。
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