花光
『ちいさなほしのゆめ』を元に編集して、38分の作品に仕上げました。ストーリーは網羅しつつ、ポイントとしてはやはり星座解説のプラネタリウムシーンでしょうか。まさにプラネタリウムの演出ができるので、力を入れて作りました。
中山
制作前には、「ほしのゆめみの星空解説」に終始するといった案もあったんです。屑屋のプラネタリウム体験を、リアルに観客の皆さんに体験してもらおうと。ただ、そうすると作品ファン以外の方が見た時に、戸惑ってしまう懸念がありました。またストーリーもすばらしいので、そこはやはり伝えたい。それで今の形に落ち着きました。
加えて、プラネタリウム作品というのは25分~30分という尺で作らないといけないんですが、郡山市ふれあい科学館さんは「40分くらいまでならいいですよ」と言ってくれたんですね。ならストーリーも何とか入れられるかなと。他のプラネタリウムさんではもう少し短くしてくれと言われる可能性がありますから、現状の38分バージョンは郡山さん限定になるかもしれないですね。
――今回の映像はどのような画角・視野角になるのでしょうか。
花光
まず、郡山さんのプラネタリウムはシネコンの座席の様な角度のある席の組み方をしています。そこに対して、シーンによっては全天映像になったり、あとは通常のスクリーン映像になったりですね。カットの切り替わりが長ければゆっくりと全天映像で映したいなと思っていても、アニメはやはりカットが頻繁に切り替わりますからね。全天映像を映す場合、ある程度画面を眺める時間がないと人は全部を認識できないんですよ。だから今回は会話シーンでは画角を狭めたり、全天映像の使いどころで効果的になるような演出を心がけています。
中山
プラネタリウム作品の上映が通常25分~30分に抑えられているのも、情報量が多くてそれだけでもかなりのボリュームを感じるからなんです。なので38分でも十分に楽しんでいただけると思います。
――上映期間中は本作のファン以外の目にも触れると思います。気をつかったポイントはありますか?
中山
ファン層が全く違うという点は意識しましたね。郡山市ふれあい科学館さんで同時上映される番組が『くまのがっこう ジャッキーのおほしさま』というお子さん向けの番組なんです。一方『planetarian』はボリュームゾーンが20代から40代。プラネタリウムに普段来ないような方ですよね。でも、そういう方たちは“いいもの”には手間を惜しまずに来てくれる。従来のプラネタリウムというのはお母さんがちょっとした時間に子どもと一緒に来る場所だったわけですが、『planetarian』を上映することで新しい人たちを呼び込めたらいいね、という話はしていますね。
――ゆくゆくは作品のモデルであり聖地ともなった明石市立天文科学館でも上映できたらいいですね。
中山
ぜひ上映したいところですが、明石はまさにイエナさんのモデルとなったカールツァイス・イエナ社製の投影機を使っている反面、デジタルプラネタリウムではないので、昨年イベントを行った際も映画本編はプロジェクターを持ち込んで映したというわけなんですよ(※)。もちろん明石での上映は難しくても、他の地方ではアニメフェスティバルで上映したいという声もありますし、今後も展開を広げていきたいですね。
※2016年8月31日に開催された、明石市立天文台とのコラボレーションイベント「planetarian twilight theater」。
花光
エアードームという空気でふくらませて直径5メートルくらいになるプラネタリウムを持ち込んで各地で上映する、ということも今は頻繁に行われているので、それならどこでもできますし。
――それはまさに“星の人”ですね!
花光
そうですね(笑)。エアードームを持って全国行脚して、学校の体育館で上映しているというリアル星の人は結構いるんですよ。