そんな本アルバムは、2016年10月で5年目を迎える『東映公認 鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー』のアニバーサリーを記念したもの。今回そんな番組のこれからや、『ザ・ラジレンジャーズ』の制作秘話を鈴村・神谷両名にインタビューすることができた。本稿では、そんな特撮ファン必見の内容をお届けしていく。
[取材・構成:キャプテン住谷]
『ザ・ラジレンジャーズ』
http://columbia.jp/radirangers/
■5年目を迎えた番組で伝えていきたいこと
―まずは、番組が5年目に突入した率直なご感想は?
神谷浩史(以下、神谷)
もう丸4年経ったんですね。5年目に突入……。
鈴村健一(以下、鈴村)
突入だね。
神谷
3年くらいは続けられたらいいな、って思いでやっていたんですけど、いつの間にかそれを超え4年目を迎えて。5年目に入れたというのは、ひとえに番組を聴いてくださる皆さまに喜んでもらえているからだと思います。ここまで続いたら、僕はもう無限に続けていきたい。なんか、3の次が無限というのはちょっとどうかしてるとは思うんですけど(笑)。
鈴村
(笑)。
神谷
ただ、東映公認で東映作品についてしゃべることができるラジオ番組は、ほかにはないし、この番組が終わってしまうと次があるんだろうかって。もしかすると(次が)ないかもしれないと思うと、僕ら結構責任重大なんですよね。
鈴村
そうだよなぁ。
神谷
なので、次につなげていくための何かを残していかなきゃいけない中で、着実に1年ずつ年を重ねている。そういう感覚が(アルバムのリリースによって)芽生えてきましたね。
―おふたりがデュエットするオリジナルの新曲「Shake Hands」(作詞:八手三郎 作曲:渡辺宙明 編曲:滝澤俊輔[TRYTONELABO])についてもコメントを頂けますでしょうか。
鈴村
八手三郎さんが作ってくれたんですよね。渡辺宙明さんと八手三郎先生が作ってくださった。僕たちの気持ちをよく汲んでくれた詞になっています。
―歌詞に込めるメッセージなどは、何かご相談されたんでしょうか?
神谷
僕たちの声を録ってくれたディレクターとお話する機会があって、詞の内容については「こういう前向きなものを打ち出した方がいいんじゃないか」と前々からお話していました。前回(※)の楽曲も宙明先生に作曲をしてもらったのですが、詞は藤林(聖子)さんが書いてくださって。その時は、この番組の楽しい部分を取り上げて頂いたので、今回は真面目な部分にもスポットを当ててもいいかもしれない、と。
※2013年11月20日にリリースされた番組テーマソングCD『緊急発信!ラジレンジャー』のこと。表題曲「緊急発信!ラジレンジャー」は作詞を藤林聖子、作曲を渡辺宙明、編曲を鳴瀬シュウヘイが担当した。
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神谷
僕たちは子どもの頃から、特撮に正義だったり正しい気持ちだったり、正義と悪の違いみたいなものを教えてもらいました。そういうものに助けられてきたからこそ今の自分がいるっていう気持ちだったりとか、特撮に対して正しくアプローチした楽曲ができたらいいなって会話の中でお伝えしたことはあって。
鈴村
そうだよね。
神谷
「きっとそういう詞になっていると思います」ってディレクターが太鼓判を押してくれて、実際に出来上がった詞を見てみたら「ああ、まさにこれだ!」って。番組ではすごいバカなこともやってますけど、スタッフ一同、僕たちパーソナリティ一同の根底に流れている"特撮に対する正しい気持ち"みたいなものはちゃんと表現できていると思います。とっても僕は気に入っているし、ふと聴くと、ちょっと泣きたくなっちゃうんです。
鈴村
そうだよね、泣けるよね。「ヒーローが好き、特撮が好きって何だろう」って考えると、ここにたどり着くなっていう詞にはなりましたよね。子どもの頃からそれに支えられて、今でもその気持ちが胸にあって。僕らはわちゃわちゃしゃべっているだけなのでヒーローみたいに誰かを救えているかどうかは分かりませんけど、それを聞いて誰かが笑ってくれていたらいいなっていうことはラジオをやっている人間としていつも思っていることなので。『ラジレンジャー』っていうタイトルなだけあって、ヒーローでありながらラジオ番組であるということが大事なんです。そこをちゃんと汲んで頂いた詞になっていたので、八手三郎先生はどこかから見てる(※)ってことがこれで分かりましたから……。
※八手三郎は東映映像本部テレビプロデューサーの共同ペンネームであり、1970年代より数多くの東映特撮作品においてその名がクレジットされている。
神谷
毎回聴いてくれているんでしょうね。
鈴村
ねぇ。八手三郎先生って本当に視野が広い人、オールレンジ攻撃持ってますよ。
神谷
ですね。近くで見てくれていたんだよ。
鈴村
そうだよね。君の近くにもね、八手三郎先生はいるかも知れないね。見てるよ、いつだって。
神谷
(笑)。
―番組制作の時点でちゃんと同じ方を向いているからこその仕上がりという訳ですね。
鈴村
そういうことです!
(次ページ:初の特撮ソングカバーに対するアプローチ)