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「こまねこ」がAmazonで生まれ変わった理由は?ドワーフ 松本プロデューサーと合田監督に訊く

『こまねこ』が、誕生から10年以上を経て、2016年夏に新たな姿になって登場した。今回もキャラクターデザインと監督を務める合田経郎さんにAmazonとのプロジェクトとは?なぜ新しい『こまねこ』なのか?のお話を伺った。

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■ 『こまねこ』は無国籍で、時代も関係ない、ずっと残るもの

――今回はパイロットということですが、次の展開も用意されているのですか?

松本
用意はしたいけれど、必ずしも出来ると言えないのがまさにパイロットである理由です。Amazonではパイロットシーズンとして何作品かリリースしていますが、これら作品が限られた期間配信されたなかで、誰が観たかとか、何回繰り返しみたかなどのデータを見て、シリーズになるかがどうか決まるんですね。あくまでもシリーズになる可能性があるということです。

――ただAmazonで無料配信されれば、知名度も広がります。

松本
それは光栄なことですよね。今回のパイロットシーズンのラインナップを伝える海外のニュースでは、『こまねこ』をトップ画像に使ってくださっているものもありますから。海外の友人からは、そうしたニュースを見て、「おめでとう!」とも言われました。

――今回の『ワクワクこまちゃん (仮題)』 は、これまでのドワーフさんの海外に向けた努力の結果のひとつだと思います。そもそもドワーフさんが世界に作品を出されるのは、どういったきっかけだったのでしょうか?

松本
2007年にニコロデオンを通じて、『どーもくん』がテレビ放送されたのがきっかけです。ニコロデオンのネットワークと、それ以外の方法も含めて世界170以上の国と地域に放送されました。
アメリカは日本より少し先を行っていて、ウェブ上でキャンペーンをやるとかも早かったですね。インターネットに乗って『どーもくん』がアメリカでどんどんスターになっていくのも体験しました。『どーもくん』には、いろいろとアメリカについて教えてもらいました。


――ドワーフの作品が海外でどんどん人気になっているのですが、監督は作品に、日本を意識しているのでしょうか、あるいは海外を見据えてでしょうか。全く国境を考えないのもあると思います。

合田
『どーもくん』と『こまねこ』ですと、ちょっと違いますね。『どーもくん』では、日本的なものは意識はしています。海外のフェスティバルで短い作品をたくさん上映した時に、カナダの人がやってきて「日本の俳句のようだね」と言ってくれたのです。短くて、季節があって。日本的でないところもありますが、日本的なところを強みにしたほうがいいと思っています。
『こまねこ』はむしろ無国籍でありたいなと思っています。時代も関係ない、ずっと残るものでありたいなと。

――少し遡りますが、そもそも『こまねこ』はどのようなかたちで誕生したのですか。作品は、キャラクターと物語、どちらが先に生まれたというのはありますか。

合田
作品によって違うのですが、『こまねこ』は全体がいっきに出来るかたちでしたね。『どーもくん』がつづく中で、同じチームで「何か別の作品を作りたいね」と言っていたんです。その時に松本(プロデューサー)が楽しそうな話しを持ってきました。それが『こまねこ』です。
『どーもくん』ではキャラクタービジネスに触れたのですが、今回はちょっと違うものをやりたいなと思って、キャラクターが立つというよりはストーリー全体で印象に残るものにしたい。そこでストーリーと世界とキャラクターを一気に作り上げました。キャラクターはむしろ特別な感じでなく、素朴で、じんわり来るのがいいかなって。

――キャラクターアニメーションは世界的にもとても競争が厳しいのですが、そのなかで『こまねこ』も、『どーもくん』もとても存在感あります。

松本
それはラッキーもあるとは思うんです。みんな海外でやりたいと思っているわけですから、そう簡単でありません。もちろん、私たちも簡単ではありませんでした。
ただ、「私たちが海外にでていかないと」という気持ちがあって、千本ノックみたいに提案をして、今回はAmazonに出会いました。


■ 日本語の『こまねこ』と、ローマ字の「Komaneko」で別の楽しみ方を

――今回の作品は、キャラクターデザインも変えて、ストーリーもより子ども向けにしています。

合田
『こまねこ』をアメリカナイズドさせたり、子ども向けにセリフを話させたりですとかいろんな調整が必要でした。その部分では悩んだりしました。ただ、作品の向こうには子どもたちがいて、これを観て「可愛い」とか「楽しい」とか言うかもしれないと想像して、それを心の頼りにひたすら作りました。

――これまでの作品とはここが違う、ここが観て欲しいというのはありますか。

合田
これまでのファンはとっても驚くと思います。こまはとってもしゃべりますしね。そのセリフのおかげで分かってくれる子どもがいるかもしれませんし、とってもフレンドリーなので、そこを楽しんでもらえるといいですね。
日本語の『こまねこ』と、ローマ字の「Komaneko」は違うキャラクターなんです。別の楽しみ方をしてもらえるといいですね。それぞれのいいところを観ていただけると。

――プロデューサーからはいかがですか?

松本
顔が変わったとか、目が大きくなったとか、オリジナルのファンのかたはびっくりしていると思います。デザインを変えること、こまをしゃべらせるかどうか、合田はとても悩みました。ビジネスサイドの私でも、やはり一緒に育てきただけに同じように悩みました。
ただAmazonの人たちは「『こまねこ』のクリエイティブなところがいい」と言うんです。つまりコマ撮りをするネコ、映画を作るキャタラクターです。今回もこまは映画を作って、お友だちを作る。映画を作るのが『こまねこ』の魅力だと、アメリカのプロデューサーたちが話しました。ただ可愛いキャラクターのアニメーションを作ればいいだけじゃなくて、「大人に対しても、子どもに対してもメッセージを伝えたい」と言ってくれたのがうれしくて、「あっ、これは一緒にできるな」と思ったんです。

――それは逆に見どころでもありますね。

松本
『こまねこ』が持っている根っこの部分は同じで、それを子どもたちにわかりやすく伝えています。映画を作るのは楽しさが子どもに伝わるといいなと思っています。
世界観ですとか、キャラクターデザインやお話はガラッと変わっていますが、ターゲットをしっかりと子どもたちにして、考えに考えてやってみました。それを見届けて欲しいですね。私にとっては、これまでの作品も今回の作品も、どちらもかわいいものですからね。

《animeanime》
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