島村達雄、鈴木伸一、ひこねのりお TAAF2016アニメ功労部門顕彰記念トークレポート | アニメ!アニメ!

島村達雄、鈴木伸一、ひこねのりお TAAF2016アニメ功労部門顕彰記念トークレポート

イベント・レポート

 
  •  
  •  
  •  
東京アニメアワードフェスティバル2016(TAAF2016)では「アニメ功労部門顕彰記念」として21日(月)には島村達雄、鈴木伸一、ひこねのりおの3名を招き、それぞれが手がけてきたアニメーション作品の上映及びスペシャルトークセッションを行った。
また3人は一色あづる、大井文雄、きらけいぞう、西村緋祿司、福島治、古川タク、和田敏克とアニメ創作集団「G9+1」として2004年より活動しており作品も発表している。その中から東京国際アニメフェア2010 第9回東京アニメアワードコンペティション公募作品グランプリを受賞した『TOKYOファンタジア』の上映も行った。モデレーターは「G9+1」のメンバーでもある和田敏克が務めた。

まずは『月夜とめがね』(1966年/学研)の上映後、監督を務めた島村と和田のトークとなった。現在映像制作スタジオ「白組」の代表取締役を務める島村は1958年に東映動画に入社しキャリアをスタート。当時は『白蛇伝』の追い込み時期だったという。島村は当初からモーショングラフィックスへ興味を持っており、森やすじの弟子及び島村の先輩であった坂本雄作からのススメもありCM部門へ移った。そこで多くのCMを手がけることとなる。中でも「赤玉ポートワイン」のCMはカンヌ国際広告祭で日本初の入賞をもたらした。その後、東映動画内で激化する労働組合運動から逃れるように学研へ移り、制作したのが『月夜とめがね』である。幻想的で実験的なフィルムとなっており、セルを使用せず、全て透過光で制作している点でも目を見張る。

続いて鈴木の『プラス 50000年』(1961年/おとぎプロダクション)が上映された。鈴木は“あの”トキワ荘を経て、1956年に漫画家・横山隆一が主宰するおとぎプロダクションへ入社。人間の来し方、行く末をモダンでシニカルに描いた『プラス 50000年』は一ヶ月ほどで制作したという。物語の着想は“クジラの手足がないのは退化した結果”というところからであり、ユーモラスでブラックな終わり方に関して、鈴木は「横山先生に内緒で制作したんです」と振り返った。8年在籍したおとぎプロを辞めた理由は手塚治虫にあるという。当時手塚が制作したTVアニメ『鉄腕アトム』のヒットに刺激を受け、新しいものをやりたいと〈スタジオ・ゼロ〉を設立した。〈スタジオ・ゼロ〉の創立メンバーには藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、藤子不二雄(A)、赤塚不二夫、つのだじろうらがいる。また鈴木は藤子・F・不二雄漫画の登場人物「小池さん」のモデルとなった人物としても知られているが、名前の由来は「小池さんの家に下宿していたから」。

次はひこねの作品群だ。『パニポニ』、「明治『カール』TVCM」、「明治『きのこの山・たけのこの里』TVCM」が一挙に上映された。ひこねは東映動画出身(1959年入社)で、『わんぱく王子の大蛇退治』で原画として活躍。アニメーター時代はキレイな線を意識していたとのことだが、虫プロダクションを経てフリーになってからは「キレイな線には飽きてしまってふざけた線になった(笑)」と独特の線を冗談めかして語った。また、カールおじさんの独特な踊りはひこね自身の振り付けによるものであると述懐した。

それぞれのトークが終わると島村、鈴木、ひこね、和田によるトークセッションがはじまった。それぞれキャリア約60年というゲストに対する話題は「今、興味のあること。これから取り組みたいこと」だ。
島村は海外に一歩譲っている感のある3DCG長編アニメーションに引き続き注力していきたいと語った。また『月夜とめがね』のように“メジャーとは対極にあるもの”、カウンターカルチャーたり得る作品作りも目指したいとも加えた。
鈴木は現在『おんぶおばけ』のリメイクに取り組んでいるという。同作は1955年に横山隆一によって制作された短編映画であり、鈴木は横山や横山が生み出したキャラクター「フクちゃん」を今の世に改めて伝えたいと熱い思いを打ち明けた。公開時期はアニメ誕生100周年を迎える2017年を目指すと宣言した。
ひこねは「趣味、道楽がないから、アニメーションにこだわってます」とユーモアを交え、まだまだ衰えを知らない創作意欲を見せた。
最後は彼らも参加するG9+1による短編アニメーション『TOKYOファンタジア』の上映をもって「アニメ功労部門顕彰記念」スペシャルトークセッションは締めくくられた。

現在のアニメーション業界に繋がる多くの業績を残した偉大な先達の証言と、彼らが生み出した作品を今あらためて鑑賞する。非常に有意義な時間であった。TAAF2016では本年のアニメ功労部門として島村達雄、水木しげる(故人)、吉田喜昭(故人)、鈴木伸一、芦田豊雄(故人)、ひこねのりお、橋本潔、浦上靖夫(故人)、水木一郎、太田淑子、計10名を顕彰した。
《細川洋平》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集