開催初日の東京アニメアワードフェスティバル 2016では、南米圏で初めて第88回米アカデミー賞で長編アニメーション部門にノミネートされたアレ・アブレウ監督の『父を探して』が日本で初めて上映された。 親子3人で幸せな生活を送っていた少年と両親。しかしある日、父が列車に乗ってどこかへ旅立ってしまう。父を見つけ家に連れ戻すため、少年はひとりで父を探す旅に出る。そこで少年が目にしたのは、矛盾や問題を抱えた過酷な世界だった──。 全編手描きでセリフはなし。クレヨン、色鉛筆、油絵具のほか、写真のコラージュなどを駆使して作られた映像は、子供の頭に浮かんだイメージの世界をそのまま画面に反映したかのよう。 まさに「少年の目に映る世界」なのである。 色とりどりの動物や植物、音、感情が画面いっぱいに踊り出す。アニメに長年親しんできた人でも味わったことのないアニメーションが堪能できるはず。 少年の旅は次々と場所を変える。野原、海、朝、夕暮れ。シーンごとの色彩は、一瞬で通り過ぎるのがもったいないほど。特に夕暮れのシーンは見ているだけで込み上げてくる何かがある。 一方で、美しいからこそ、人々の悲しさや苦しさが強調される。少年が出会う人々が置かれた状況は、アブレウ監督の出身地であるブラジルの長期間の独裁政治、労働環境資本経済や環境破壊などの問題を色濃く映し出している。 主人公である少年も含めて、作中で描かれる人々は画面のこちら側の人々と同じ存在だ。どの国の社会にはたくさんの問題もある。それでも皆、毎日働いて、食べて、寝て、生きていく。 色彩豊かな世界とごく最小限の線を使って描かれるキャラクターは、どこにでもいるありふれた人々と、今ここにある世界の片隅に生きる、ちっぽけな存在を描いているのだ。 作中の楽曲はルベン・フェフェールとグスタヴォ・クラート、ふたりの音楽学校の講師が手がけたもの。アマゾンのインディオの民謡やアフリカ由来のバイーアのリズムなど、ブラジル各地の音楽をもとにしているという。 動物の鳴き声や雨、鉄道の音はブラジルのパーカッショニストであるナナ・ヴァスコンセロスが演奏した。 色だけでなく音楽からも、ブラジルの息遣いを感じられるだろう。[川俣綾加]東京アニメアワードフェスティバル2016会期: 2016年3月18日(金)~21日(月・祝)会場: TOHOシネマズ 日本橋
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