「英国一家、日本を食べる」テンポの良さに続きが気になる一品【2015年の一本】 | アニメ!アニメ!

「英国一家、日本を食べる」テンポの良さに続きが気になる一品【2015年の一本】

年末年始企画である「アニメ!アニメ!編集部とライターの選ぶ2015年珠玉の一本」。ライター・川俣綾加さんは『英国一家、日本を食べる』です。

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2015年も、アニメに携わるみなさまのおかげでたくさんのアニメを楽しむことができました。ありがとうございます!

今年、毎週の放送が楽しみでならなかったのがNHK総合テレビで放送された『英国一家、日本を食べる』。どんなに忙しくても必ず翌日には録画を見て内容にも大満足、次のお話が待ち遠しかった作品です(全話リアルタイム視聴はできなかった!)。

グルメ漫画の流行もあり、アニメも料理をテーマとしたものは多いです。『英国一家』がひと味違ったのは、原作がもたらした濃度と、アニメーションとしてのテンポ。

原作は、英国のフードジャーナリストであるマイケル・ブースさんの同名のエッセイです。マイケルさんが妻と息子2人を連れ日本に100日間滞在し、全国各地の日本料理を食べ歩くというもの。日本では2013年に翻訳版が発売され大ヒット、コミカライズ版も発売されました。
さすがフードジャーナリストが自ら調べ上げただけあり、情報密度が高い。アニメのエピソードでいえば、例えば「本物のワサビ」では静岡県伊豆半島に赴きワサビ栽培の裏側、ワサビの質による味の違い、日本人も知らない意外な料理を知れて、「箸の流儀」では間違った箸の使い方にそんな名前がついているのかと驚くはず。

監督とキャラクターデザインは『やわらか戦車』『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』などFlashアニメで知られるラレコさん。アニメパートの尺は20分、料理について掘り下げるには決して長いとはいえない。
このため情報密度はぐんと高く、物語のテンポも速い。それなのに、見ている人を疲れさせることなく、肩の力を抜いて家族で楽しめるアニメーションになっています。
料理の見せ方も、シンプルながら不思議と美味しそうに思えて深夜にとってもお腹がすきました。

1話見るごとに日本料理に詳しくなれるお得感も魅力的。個人的には、他言語放送なので1回目は日本語で、2回目は英語で見たりとダブルで楽しめました。
エピソードでいえば「長寿のヒケツ」「裸のつきあい」は異常なほどテンションが高く、それまで以上のテンポの良さ。

NHKの偉い人! 原作で取り上げていないエピソードもきっとまだあると思うので、続き、やりませんか?

▽プロフィール
川俣綾加
フリーライター、福岡出身。マンガ・アニメ関連の媒体、『マンガナイト』などで活動中。著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義) http://ayamata.jugem.jp/
《川俣綾加》
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