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「X-MEN」ブライアン・シンガー監督インタビュー 過去の自分のあり方が、ミュータント達に共感を抱くきっかけ

『X-MEN:アポカリプス(原題)』が2016年に公開を控えている。本作の監督を務めるブライアン・シンガー監督にとっての『X-MEN』シリーズや、本作について話しをうかがった。

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『X-MEN』シリーズ最新作『X-MEN:アポカリプス(原題)』が2016年に日本で公開される。メガホンをとったのは、これまでにもシリーズの監督・脚本を務めてきたブライアン・シンガーだ。この10月には第28回東京国際映画祭のため来日し、コンペティション部門の審査委員も務めた。
ブライアン・シンガー監督にとって『X-MEN』シリーズはどんな作品か、まだ詳細が明らかになっていない次回作はどのようなものか、監督に伺った。
[取材・構成:川俣綾加]

『X-MEN:アポカリプス(原題)』
2016年公開

■ あまりに共感を得てしまうと本来の悪としての姿を描き切れない

―前作『X-MEN: フューチャー&パスト』の10年後を描いた『X-MEN:アポカリプス』はどのような物語になるのでしょうか?

ブライアン・シンガー監督
ビッグ・アクションやホッとする要素、恋愛もあるけれど、どちらかといえば重いトーンになります。ポイントとなるのはこれまでの作品では一番の悪として描かれていたマグニートーが、さらなる絶対悪、ある種の間違った神に対してひれ伏していかざるを得なかった姿が描かれています。それをマグニートー役のマイケル・ファスベンダーが素晴らしい形で演じてくれました。自分に対する問いかけのシーンがあって、それを僕はモニター越しに見ていましたが、20年間の監督生活の中でも無いくらい、思わず涙が出てくるようなもので。後ろでティッシュを取る音がして、脚本家やスタッフたちも泣いていたようでした。彼が主演の『Steve Jobs(原題)』も観てね! ……こんなことを言っているから、先ほど『X-MEN』より『Steve Jobs』を宣伝していると言われてしまいました(笑)

―『X-MEN』は歴史の長いシリーズだけに、コアなファンもいればこれから楽しんでみたいという人もいます。次回作では、そのバランスをどうとりましたか。

ブライアン・シンガー監督
これまで7億ドル以上の興行収入を実現し、『X-MEN』はコミックを原作にした作品の中でも売上としては成功を収めていると思います。次回作では昔からのファンを大切にするというのはもちろんありますが、とてつもない悪が存在し、そこに対してスーパーヒーローがどんな活躍をするのか、ビジュアルもストーリーも新たな表現を実践していて、これから『X-MEN』に入る人にとっても楽しめる作品です。


――“ヒーロー”といえば善と悪があり彼らがどんな戦いをするのかというシンプルな構図が基本にあると思います。最近では、悪のバックグラウンドを描いた作品も増えました。監督はこの傾向を捉えているのでしょうか?

ブライアン・シンガー監督
「父を殺されたから」と世界に復讐するストーリーならシンプル。そしてそれを複雑化させることで、より多くの人に興味をもってもらえるのも確か。でも気をつけなければならないのは、ヴィランになることは、何かを超えないとヴィランにはなり得ない。つまり、あまりに共感を得てしまうと本来の悪としての姿を描き切れなくなってしまうんです。それが悪を描くと時に犯しやすい間違いで、僕自身も気をつけないといけない。

―監督にとって『X-MEN』の魅力とは?

ブライアン・シンガー監督
僕は一人っ子で養子で、カトリックの家だったのに自分自身はユダヤ人。出来の悪い子供で、性的にもすごく悩みました。まさにのけ者、仲間はずれな扱いをされていたので、ミュータントの気持ちは本当によくわかる。そこに引きつけられたというのもあります。でも今は、役者が一番の魅力じゃないかと思っています。元はコミックの、あれらの役を演じるためにそうそうたる役者が揃っている。まるでアートフィルムを作らせてもらっているような感覚です。昔は自分の存在のあり方が、この作品を好きになるきっかけとしてあって、今は役者の面白さが魅力だと思います。

―今後、映画として取り上げたいテーマはありますか?

ブライアン・シンガー監督
『海底二万里』を映画にしたいです。科学はどんどん進化していくけれど、一番大切なのは人間がどう生きていくのか。9カ月前に息子が生まれ、そういったことにすごく興味がわいてきました。まだどこと一緒にそれをやるかは決定していませんが、帰国したら探したいですね。もう一つは、まだあと10本くらいは『X-MEN』を制作したいね!(笑)



『X-MEN:アポカリプス(原題)』
2016年公開
《川俣綾加》
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