『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』など、数々の傑作アニメを世に送り出してきた新海誠監督の劇場アニメの製作が発表された。作品のタイトルは『君の名は。』である。2015年12月10日、都内の東宝本社にて製作発表会も開催された。会見には新海誠監督のほか、主要キャラクターの声を担当する神木隆之介、上白石萌音、東宝の川村元気プロデューサー、コミックス・ウェーブ・フィルムの川口典孝プロデューサーが登壇。作品の概要の披露、そして意欲を語った。『君の名は。』は、2016年8月に全国東宝系での公開を予定している。『言の葉の庭』以来3年ぶりの新海監督による劇場アニメとなるが、前作に比べて公開規模は一挙に拡大しそうだ。監督にとってはこれまでにない大型プロジェクトとなる。企画の始動は2014年だったという。しかし、川村プロデューサーは実は『ほしのこえ』以来、ラブコールを送ってきたという。今回ようやくこれが実現したかたちだ。また監督と長年、二人三脚を続けてきた川口プロデューサーは、「東宝に大舞台を用意してもらった」と感慨深い様子。声を担当する神木隆之介は「新海監督の大ファン」と明かし、一方で「好きだからこそのプレッシャーもある」と話す。オーディションで決定した上白石は、オーディションに受かるとは思っておらず、普通に映画を見に行こうと思っていたと明かした。新海監督は、「前作の『言の葉の庭』で初めて東宝に配給してもらったところ、多くの劇場での上映でいつもと違う客層からの反応があった」と語った。そして、それが今回の取り組みに繋がったのではないかとも。『君の名は。』は夢の中で、高校生の男女が出会うというファンタジックな物語だ。監督によれば、創作のきっかけは小野小町の有名な和歌「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを」の句に発端がある。夢の中で好きな人に出会ったが、夢と知らずに目が覚めた体験を言葉にした歌だ。前作の『言の葉の庭』に続き、和歌に対する監督の深い関心が窺える。制作現場に話が及ぶと、国内でも有数のアニメーターが集まっていると語った。現場は先輩だらけで、自身が憧れていた人たちが自分の作品に携わる、彼らが紙をめくる音だけでも泣けてくるとのことだ。作画監督の安藤雅司をはじめとした熟練スタッフの参加もあり、そのクオリティが高くなることは間違いないだろう。気になる制作の進行状況は、現在制作まっただ中、既にコンテは上がっているという。新海監督は「最高傑作になる」と力強く話し、「見届けていただければ」と言葉を締めた。色彩や世界観はそのままに、また一味も二味も違う新海監督の映像を見ることができそうだ。『君の名は。』2016年8月東宝系全国公開
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