アニメコンテンツにおける西武鉄道とイベントプロデューサーの取り組みとは? | アニメ!アニメ!

アニメコンテンツにおける西武鉄道とイベントプロデューサーの取り組みとは?

「『アニメ×地域』の最前線~アニメと地域の各種コラボ展開等について~」と題したセミナーが、「Japan Content Showcase 2015」にて開催された。

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東京国際映画祭(TIFF)の併設マーケットでもある映像・アニメの国際見本市TIFFCOMと音楽の国際マーケットTIMM、そして東京国際アニメ祭TIAFを一会場にまとめた「Japan Content Showcase 2015」が東京・台場のホテル グランパシフィックLE DAIBAで10月20日(火)から22日(木)で開催された。会期中はブースの出展に加え、セミナールームでは数多くのセッション、イベントが行われた。
22日(木)にはセミナー「『アニメ×地域』の最前線~アニメと地域の各種コラボ展開等について~」が開催。ヒューマンメディア代表の小野打恵氏を司会に迎え、西武鉄道の野田政成氏、エクスアーツジャパン代表の和田昌之氏が登壇し、地域の側に立つ西武鉄道と作品に寄った立場のエクスアーツジャパンが、それぞれどのように地域展開を行っているのかが語られた。

西武鉄道の活動として“鉄道利用促進”、“切符を買い、利用する人に対して乗車目的を作る”というものがある。駅数92、新宿、池袋から秩父、小江戸として知られる川越などを結ぶ西武線沿線にはトキワ荘(椎名町駅)、東映アニメーション(大泉学園駅)、サンライズ(上井草駅)をはじめとして数多くのアニメスタジオが点在する。そういった地の利を活かし、アニメとコラボレーションを進めている。
きっかけは2004年、小野打氏に「アニメと仕事ができませんか」と話を持ちかけたところからだという。杉並アニメーションミュージアムの設立が2005年。他の地域がアニメに興味を持ち始めたのが2008年頃から(小野打氏談)と考えると西武鉄道は早い段階からアニメというコンテンツに注目していたことがわかる。

エクスアーツジャパンは2005年にITやWeb関連の企業として創業。徐々にアニメや漫画関連の仕事が主になっていった。アニメ、漫画、ゲームビジネスに関わる企画・プロデュースを行っている。アニメ作品では企画、委員会組成と、作品関連の商品作りを手がけている。
地域との関連では主なもので、『ラブライブ!』と秋葉原のコラボを企画し、今では聖地ともなっている神田明神の協力も取り付け、神田祭と『ラブライブ!』とのコラボレーションも運営。また和田氏は『京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)』の立ち上げに携わり、2012年、2013年の総合プロデュースを行った。2013年より埼玉県大宮で『あに玉祭』を開催。大宮ソニックシティの敷地全体を使ったイベントで地域を盛り上げている。

西武鉄道はTVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』やTVアニメ『四月は君の嘘』、映画『心が叫びたがってるんだ。』でも大々的なコラボレーションを実現させている。
はじまりは『あの花』のプロデューサーからの電話だった。「4000系の白い電車を作中で使いたい」という問い合わせに、野田氏はすぐに制作、宣伝を行っているアニプレックスへ出向き、全面的な協力を申し出た。TVアニメ放送期間中はプロデューサーからの要望で秩父を舞台としていることを隠していたが、ファンの手によって徐々に舞台としている場所が特定されていく。西武鉄道はTV放送前からアニプレックスと調整しながら公式のマップ制作を進めていた。放送終了後、秩父を舞台としている事が明かされ、多くのファンが詰めかけた。それでもこれほどの反響があるとは予想していなかったという。
2015年3月まで放送されたTVアニメ『四月は君の嘘』は練馬区の多くの場所が舞台として登場。西武鉄道はスマートホンアプリ『舞台めぶり』と連動させた聖地巡礼キャンペーンを打ち、地域回遊イベントを開催。すでに2000人がコンプリートを達成している。

エクスアーツジャパンは2014年からはじまった『池袋シネマチ祭』(2015年は11月6日~8日に開催)にも力を入れている。池袋にある5つの映画館とWACCA池袋などが音頭を取ってはじまった『池袋シネマチ祭』だが、2015年は新規にはじまった池袋の街全体を舞台とした巨大アートイベント「池袋アートカルチャーフェスティバル」の一環として参加。和田氏はステージイベントの運営にも携わっている。和田氏は「作品の舞台にもなりますけど、特定の作品の聖地に決してならない」“非聖地性”から池袋を選んだという。

印象的だったのは西武鉄道のレスポンスの速さだ。限定販売し即完売した記念切手の一ヶ月後には第2弾を発売したり、秩父イベントの送迎バスの増発対応など、ファンと作品をつなぐ手段として、ストレスの軽減に即時対応している。作品に対する全面協力の足取りも軽やかだ。一方の和田氏は作品と地域とのパイプ役として、潤滑な関係性を継続できるよう心を砕いている。
アニメと地域のコラボレーションが必ずしも成功してきたわけではないが、こう言った取り組みを続けることで、地域との関係性も開かれていく。地域創生だけでなく、より豊かな作品展開の方向性も見えてきそうだ。
[細川洋平]

[/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載]
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