10月22日、米国・サンフランスシコ市に本社を持つクランチロールは、住友商事と共にアニメ製作の投資を行う会社を共同設立すると発表した。新会社の名称や時期、出資比率、投資規模については今回明らかにされていないが、昨今のアニメビジネスの流れの早さから、かなり早い段階で立ち上がることになりそうだ。発表によれば新会社は、日本アニメへの製作委員会への出資を目的とする。出資を通じて海外向けのアニメの権利などを獲得し、日本アニメの海外への流通を促進する。クランチロールはアニメやマンガ、ドラマなどの日本コンテンツの海外向け配信の大手サイト、世界7ヶ国語で日本アニメを日本での放送開始と同時期に配信する。登録ユーザー数は世界全体で1000万人を超える。再び盛り上がっているとされる日本アニメ人気の中心のひとつで、アニメやマンガにおける配信ビジネスが急成長するなかでその存在感を増している。一方、住友商事は、国内総合商社の大手の一角である。コンテンツ関連事業にも広く展開しており、グループ会社として国内最大手のケーブルテレビ会社J:COMを抱える。近年はコンテンツ・クリエティブ関連事業の海外展開にも積極的だ。アジア地域に積極進出するほか、今年2月にはイマジカ・ロボットホールディングス、クールジャパン機構と共に世界最大の映像ローカライズ企業である米国・SDIの買収にも参加した。住友商事は今回の投資会社設立について、世界のアニメファンの声がクランチロールを通じてアニメ製作現場に届けられるとする。そして、クランチロールと伴に新しいアニメの創造と業界の発展に寄与するとしている。海外でのアニメビジネスの中心が配信に移行する中で、近年、海外向けの配信権の価格が大きく上昇している。複数の配信会社がライセンスを獲得競争することが理由のひとつだ。そこで高いライセンス料を払うよりも、製作の段階から確実に配信権を獲得するとの考えかたが生まれている。一方で国内でも従来のBlu‐rayとDVDから利益の大半を回収するかたちから、映像ソフトや音楽、イベント、商品化、配信、ゲーム、海外などから多角的に収益をあげるかたちにアニメビジネスが変化している。そこで製作委員会にも、より多くの出資者を求める傾向が強まっている。海外向けのアニメ配信を行うDAISUKI.netを運営するアニメコンソーシアムジャパンやクランチロール、それに中国企業の一部はすでに製作委員会への出資に参加している。今回のクランチロールの取り組みは、ここからさらに一歩進めたものと言えるだろう。ただし、これまでのコンテンツ流通から製作出資に踏み出すことになるクランチロールの目的は、単なる配信権の獲得だけではないようだ。アニメ製作に関わることで、日本のアニメをより広くグローバルに届けるとの考えを持っている。今回の新会社設立発表について、クランチロールの共同創業者でCEOクン・ガオ氏に話を伺ったところ「クランチロールは海外向けの配信で培った豊富なデータがある」と語った。アニメにおける海外市場の重要性が増す中で、海外展開に大きな協力が出来るというわけである。製作投資の理由のひとつとして、海外のファンとの約束を挙げたのも興味深い。「クランチロールは創業時よりファンとアニメの制作をつなげることを目指してきた。いままでは間に入る存在だけだったが、今後はクランチロールを応援することでダイレクトに日本のアニメの活性化が実現できる」と話す。また住友商事との協業については、アジア地域が強い住友商事、欧米が強いクランチロールが手を組むことで世界の幅広い地域がカバーできるという。今後は配信だけでなく、日本アニメの多角的なグローバル展開も視野にいれていそうだ。[数土直志][/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載]
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