北米の日本マンガ出版の堅調続く 翻訳タイトル数増加 ICv2が報告 | アニメ!アニメ!

北米の日本マンガ出版の堅調続く 翻訳タイトル数増加 ICv2が報告

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米国のポップカルチャービジネス業界情報のICv2によれば、北米における日本マンガの売上げが依然堅調を続けている。ICv2は10月8日、ニューヨーク市にて大型カルチャーイベント ニューヨークコミコン2015(New York Comic Con2015)が開催されるに合わせて「ICv2 White Paper」を発表した。
「ICv2 White Paper」はアメリカンコミックス、マンガなどの関連産業の最新動向を紹介するものである。ICv2のCEOであるミルトン・グリップ氏は、このなかで関連業界は1950年代以来かつてない好調との見解を示した。

また日本の翻訳マンガ出版についても、2014年は大きな成長とまでは言えないが堅調であると、特別に言及している。さらに2015年の売上げは、最初の8ヵ月では前年比13%増と報告している。
こうした状況は翻訳出版の点数にも影響している。ICv2によれば、2014年の北米における日本マンガの翻訳出版点数は前年比25%増の約800点、単行本(グラフィックノベル)全体の伸び率8%増を大きく上回る。出版点数3377の1/4程度を占めることになる。

今回の「ICv2 White Paper」の報告は、近年、関係者から指摘されてきた北米における日本マンガの予想を超える堅調ぶりを裏付けたかたちだ。日本の翻訳マンガ出版は2000年代前半のブームを経て、2006年から反転、その後長いスランプに陥っていた。これはインターネット上の海賊版の蔓延や、グラフィックノベルの取り扱いの大型書店の経営破綻、日本での作品リリースと翻訳出版との時差が理由とされてきた。
2010年代以降、こうした問題が次第に改善されてきていることが、潮目の変化にある。ネット上の海賊版は依然活発だが、積極的な啓蒙キャンペーンにより海賊版の違法性に対する認知は高まっている。また海賊版を生み出す理由のひとつになっていた日米のリリース時差は人気作品を中心に大幅に縮まっている。なかでもマーケットを牽引する『進撃の巨人』や「少年ジャンプ」の主力作品での同時展開は大きな力を発揮しているとみられる。

同時展開の推進と海賊版対策が、翻訳出版点数を増加させている。今年夏、講談社は英語翻訳マンガのタイトル数を2年間で5倍2000点まで拡大することを明らかにしている。またKADOKAWAも電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」の英語版をこの10月からスタートする。こちらも翻訳出版の強化に動いている。
マーケットの堅調は、さらなる市場創出につながる。米国最大の書店チェーンであるバーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)は、全店舗でグラフィックノベルとマンガの販売スペースの大幅拡大を明らかにしている。かつての日本マンガの翻訳出版の雄であったTOKYO POPもマンガビジネス再参入を表明した。市場の雰囲気は格段に明るくなった。
一方で、不安要素も依然多い。インターネット上の海賊版の氾濫は続いており、とりわけデジタル配信での正規版の需要を奪っている。翻訳点数の増加や、デジタル分野での投資の拡大で出版社のコストも嵩んでいるとみられる。さらにタイトル数の増加は競争を激化させ、採算を悪化させる可能性もある。
今後は「確かだが大きくはない」と指摘された成長を実際に大きくする必要がある。そのためには「日本マンガ」に対する一層の認知度向上と読者の満足度を高める必要があるだろう。
[数土直志]

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