サンジゲンがデジタル作画の魅力を語る あにつく2015レポート | アニメ!アニメ!

サンジゲンがデジタル作画の魅力を語る あにつく2015レポート

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アニメの制作現場で撮影や彩色などの工程がデジタル化されて久しいが、作画作業はいまだに紙を使ったアナログでの作業が中心となっている。ペンタブレットを使ったデジタル作画は年々注目度を高めながらも、普及にはまだしばらく時間がかかりそうだ。ではそこにどんな障壁があり、またどのようにして乗り越えることができるのだろうか。
9月19日、業界向けセッション4本目「デジタル作画について」ではこの問題が深掘りされた。

講演者には、『009 Re:CYBORG』や『蒼き鋼のアルペジオ』シリーズでセルルック3DCGを手がけるアニメスタジオ・サンジゲンの代表取締役である松浦裕暁氏をはじめ、サンジゲン所属のデジタル作画マンである茶之原拓也氏と、デジタル作画の制作プロデューサーである佐藤謙次氏が参加。
松浦氏が強調するのは、「アニメーションに新しい技術を組み込んでいきたい」という前向きな情熱だ。

サンジゲンがデジタル作画を本格的に導入しはじめたのは1年ほど前のこと。機材をそろえ、新たな制作フォーマットを構築するなど、導入時の障壁の高さこそあるが、「作画用紙の大量消費をなくせる」「膨大な動画を管理・保存しやすい」「制作進行スタッフの負担を減らせる」「CGアタリ画像を下にしいて作画しやすい」「遠隔地との打ち合わせを効率良く行える」などメリットが大量にあると語る。

デジタル作画にチャレンジする際にサンジゲンが徹底させたのは、情報の可視化だったという。進行表やデータをサーバーにあげスタッフ全員がアクセス可能にすることで、「作業ペースの配分」「他のカットの状況」「作業の待ち時間」などこれまで把握しづらかった情報、あるいは「連絡ミス」などをなくし、アニメーターのストレスを減らせるのではないか。またそうすることで、制作進行が担っていた作業の一部を、アニメーターの側にも分散できるのではないか。
サンジゲンでは、まずこれらを実行してみたという。それも部分的なテストではなく、きちんと作品の制作現場で成果を測ってみたというのだ。その作品というのが、『うーさーのその日暮らし 夢幻編』第12話「うーさーの優しい世界」である。

このエピソードは、全編デジタル作画で取り組まれ、レイアウト・原画・動画・仕上げまですべてTVPaint Animationというソフトを使用し制作したという。スタッフは4人で、作業日数は47日間、動画枚数886枚。短編とはいえ、デジタル作画だけで深夜アニメを一本まるごと作ったのはサンジゲンがはじめてだろうとのことだ。

つづいてTVPaint Animationが適していた理由を、実際のオペレーション画面を見せながら解説、メモ欄をタイムシート代わりにする活用法や、プレビューやフリップ機能の有効性が語られた。
また、制作進行を介さずに、アニメーター間でファイルを受け渡し・管理する方法も具体的に示された。

それを受けて、松浦氏はサンジゲンで蓄積したノウハウはすべてオープンにしたいと宣言する。「みんなができるようにならないと、僕たちにもチャンスは増えない」という言葉に、ほかの参加者も強く同意。つづけて松浦氏が強調するのが「アニメーターの価値を上げたい」ということだった。これまでアニメーターは線を引く仕事だった。それがデジタル作画を使うことで、線を引くだけでなく、色をつけ、テクスチャやフィルターを加えることまで可能になる。それは、アニメーターという仕事の枠組みを拡張することであり、担当できる作業範囲や発想力を広げることに繋がるのだと。

デジタル作画で制作することを決めたとき、松浦氏が最優先事項として言い渡したのが「可能性を広げてくれ」というオーダーだったという。本セッションは、「可能性を広げ、そこに夢を見れることが大事」なのだという、アニメの未来に夢をみれる言葉によって締めくくられた。
[深井孔]

[/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載記事]
《深井孔》
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