子どもたちにとって映画館は、実はあまり馴染みの場所でない。閉ざされた空間に子どもたちが怖がるときもあると言う。また子どもたちを持つ親は、子どもたちが劇場で周りの人に迷惑をかけるではと心配することもある。
しかし、映画『それいけ!アンパンマン』シリーズでは、子どもたちの映画館デビューも掲げる。子どもも親も安心して映画を楽しめる。そんな環境づくりも人気の秘密だ。
AA
上映劇場を訪れると、本当に小さなお子さまが楽しそうで、通常の映画興行とは違った世界になっています。
久保
素敵なお話をつくって届ければ感じてくれると思っています。
ふつうの映画は90分以上ですが「アンパンマン」を見るお子さんは小さいので尺を短くしています。スクリーンを見ながら遊べる部分を作っています。

子どもたちの映画デビューといった施策もされています。
久保
対象年齢が2~3歳ですので、劇場によっては館内を少し明るくしたり、ここ何年かは短編作品で子どもたちが一緒に手遊びできるような試みもしています。
映画館は暗くて大きな音がするから子供が泣いてしまう、まわりに迷惑をかけると来場を尻込みされるお客様もいましたが、アンパンマンではお互いさまです、わいわい騒いで良いんですよと。
AA
気にしなくていいわけですね。
久保
はい、そこは口コミ広がっていますね。「楽しんでワーワーできたよ」と。今年の入場者プレゼントがシャカシャカ音がするマラカスですから。映画館の防音施設もしっかりしてきたので、昔とはちょっと違うかたちで歌って遊ぼうねみたいな感じです。
AA
この先、来年、再来年、どういったかたちでつなげていくのか、といったことはありますか。
久保
近いところでは30周年、30作目があるので、そこに向けては積み上げていこうと話はしています。やはり昔から変わらずある やなせ先生の思いを子どもたちに届けていこうと。さらにお父さんやお母さんも一緒に見て楽しめるような作品ができればいいなと思います。
AA
いまですと30代のかたは、子どもの頃に『アンパンマン』を見ている世代です。アンパンマンをもっと大人にももっと親しんでもらいたいといった気持ちはあるのでしょうか。
久保
小さい子を持つ親は子どもの時に『アンパンマン』やっていたし、おじいちゃん、おばあちゃんも孫が『アンパンマン』が好きですから『アンパンマン』は認知しています。でも映画は見たことがない人はかなりいると思います。
映画は少しメッセージが入ったりするので、「親が見てもいい話があるんだね」という声も聞きます。いろいろな人に見てもらいたいですね。
AA
大人向けのグッズ展開とかは可能性はありますか?
久保
世代が変わってくるとそういう声もあるのですが、やはり子どものための作品ですのである程度線引きをしています。それでも今はLINEスタンプもやっています。これはある意味では大人向けなのかなと思います。カテゴリーは少しずつ広がっているのかなと思います。