グローバル市場の主流は、日本のテレビアニメは失地して久しい子ども(幼児~小学生)向けだ。2000年代に成長したヨーロッパ・アニメーションも、そこをターゲットにしてきた。しかし、飽和に近づいた国も多い。次に活気づくのが、ハリウッドの大手スタジオ、英国のアードマン・アニメーションズそしてスタジオジブリが先陣を切った長編のファミリー市場だ。長編は親・祖父母世代も呼び込めることから、劇場側の要望も強く、地球規模の配給でテレビアニメ以上の収益が期待される。 これらで育ったオーディエンスの年齢が上がり、コミックスやビデオゲームが国境を超えると、アニメーションの新たな可能性が見えてきた。ティーン/ヤングアダルト向けの短尺なウェブカートゥーン/ウェビソード、そして大人向け長編だ。ピッチには子ども向けプロジェクトしか出なかったスペインでも、オスカーにノミネートされた『Chico y Rita(邦訳:チコとリタ)』(スペイン、英国共同製作)、日本でも公開された『しわ(Arrugas)』のような大人向けの長編アニメーションが製作され、評価を得ている。
■ トランスメディアの子ども向けプロジェクト
プリスクール向けではデザインセンスの良さやアイデアのおもしろ味で、ベルギーの『Joe & Waldo』、スペインの『MIRONINS』と『Misha, the Purple Cat』、フィンランドの『Pikkuli』が目を引いた。 また、スペインとコロンビアとが共同製作する『Troubling Monsters』(製作:Piaggiodematei、Hierro Animacion、対象:5~8歳)は子どもが空想したモンスターや奇妙な生き物をネットで集めて、テレビシリーズ(11分x26話)、ウェビソードの「モンスター・ドキュメンタリー」(1分x26話)、Eブック「Monsterpedia(モンスターペディア)」に登場させながら、メディアを連動させる。