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アニメライター4人が語る「がっこうぐらし!」の魅力とは? 

7月に放送開始したTVアニメ『がっこうぐらし!』。可愛らしいキャラクターに対しシリアスな世界観、「日常もの」に対するメタ的な視線など、語りたくなる要素が満載である。そこで今回はアニメライター4人による座談会を実施した。

レビュー
■ 「日常もの」に対するメタな視線

藤津 
改めてアニメ化されたものを見ると、ハイコンテクストな作品だなと感じました。「滅びた世界で友だちと一緒に過ごしたい」という80年代から続くロマンがある一方で、「日常系アニメ」など今のファンが親しんできたアニメ文化が積み重ねてきた語り口やキャラクターの要素もあって、それに対する批評としても読めるようになっている。なんというか「誰かがモーレツに何かを語り出しそう」と思いましたね(笑)。やっぱりひとこと言いたくなるはずなんですよ。

数土 
構図としては『まどか☆マギカ』と一緒ですよね。要は本歌取り。『まどか☆マギカ』は「魔法少女もの」を引用してひっくり返したわけですが、『がっこうぐらし!』は「日常もの」を引っ張ってきてひっくり返している。

前田 
でもメタ化されるまで早かったですよね。先駆として『あずまんが大王』がありますけど、「まんがタイムきらら」の系列誌に載るような、いわゆる「日常系」作品が頻繁にアニメ化されるようになったのは2007年に『ひだまりスケッチ』がアニメ化されて以降のことで、それからまだ8年しか経ってないわけじゃないですか。

藤津 
まぁ、作品数多いし、これだけ消費速度が速いとメタ化も早くなりますよね。

abesan――本作のメタ的な視線にニトロプラス作品らしさを感じたのですが。

前田 
そうですね。ニトロプラス界隈にいるクリエイターのみなさんは、基本的に「オタク」だから、創作にあたって、ゼロからオリジナルを生み出しているという意識は、あまり強くないんじゃないかと思うんですよ。ジャンルの先行作品を研究し尽くしたうえで、そこから独創的なものを作ろうとしてる。そうすると、メタっぽい感じになりますよね。

宮 
とはいえ、「メタ的であること」は、それほど特殊なことだとも思えないんです。なぜなら、ありとあらゆる作品は何らかの形で本歌取りなわけで、本当の意味で、ゼロからオリジナルを作る人なんていない。そののなかでニトロプラスの仕事は、創作スタイルとしてはスタンダードな方法論だと思うし、むしろ個人的には「物語」が強すぎると感じるくらいなので。

数土 
たしかに物語を信じるという点ではストレートですよね。

abesan宮 
「オタク」というと「ディテールを楽しむ人」というイメージがありますけど、じつは物語に対して信頼が高い。僕には、そんなふうに見えます。そういう意味で、ニトロプラスの仕事は「オタク」的だとも思うんですが……。まあ、僕自身は、そこまで物語を信用してないんですよね。

藤津 
物語に絡めていうと『がっこうぐらし!』って「ヒューマニティ(人間性)」の話なんです。まず、人間でなくなってしまった“かれら”に囲まれている。そして、苛酷な状況下で暮らす学園生活部のみんなは、生き抜くために戦うことで「自分が人間性を失いつつある」と怯えている。
そんななか、現実をちゃんと認識できなくなっている由紀がもっとも人間的で、彼女が笑顔でいることによって、まわりのみんなの人間性がギリギリ担保されている。そういう構造になっているんです。
だから、あの世界では一番大事なのは「人間性」っていうことになっているので、今後どんな状況に陥ってもそこは外さないと思う。

宮 
普通からズレてしまった由紀が、逆にヒューマニティを代表しているという配置は面白いですよね。「ファーストガンダム」で言うとララァみたいな存在かもしれない……というのは、冗談ですけども。
《沖本茂義》
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