――妙義ナイトキッズのリーダー・中里毅役を演じられますが、役づくりはどのように?
諏訪部
これまで中里というキャラに自分が抱いていた印象は、ここぞというところで熱くなってミスをしてしまう、ちょっと残念なキャラでした。格好つけてもどこか決めきれないような。しかし今作では、「どっしり構えた武士のように泰然としたイメージで」という感じのオーダーを音響監督さんから頂き。イメージの軌道修整をしながら、新劇場版における中里毅をきっちり成立させるよう心がけたつもりです。
――日常シーンとバトルシーン、演じてみて違いはいかがでしたか?
諏訪部
日常シーンを演じるには、自分の中で彼の人となりをしっかり埋めていかないといけないので大変でした。どういう背景を持っているのか、人としての情報はそれほど多くなかったので。逆に、高揚している運転時は気持ちを作りやすかったですね。こういう時はこう思うはず!というカーマニアの心理はよく理解しているので。
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――『頭文字D』は独特なセリフ回しも魅力的ですが、そのあたり意識されましたか?
諏訪部
運転中のセリフはひとりごとなので、SF作品でロボットを操縦している時のセリフに近いのではないかと。ひとりごとであるがゆえにナルシスティックな部分もあって。こういうカッコつけて言うようなセリフって、言っていて結構気持ちがいいものなんですよね(笑)。
――ではノリノリでやられていたと?
諏訪部
ええ、見得を切るような感じで。日常生活の中で「不敗神話のRだ!」なんて高らかに宣言したりしないですからね(笑)。
――中里役を演じられて、キャラクターに対する理解の変化などありましたか?
諏訪部
中里は全然勝てないですし、やはり「残念キャラ」というイメージが強かったのですが、同じスカイライン乗りということで親近感もありますし、今作を通じて彼の心を掘り下げる作業をしたことで、かなり好きになりました。
――ちなみに中里毅でスピンオフがつくられるとしたら、どんな話がみたいですか?
諏訪部
何はともあれ「勝つ」ことが第一ですね(笑)。クルマを壊さず勝つという話が……でもそれだと中里っぽくないですかね(笑)。
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――本作は「走り屋」の生き様が描かれるわけですが、「役者・声優」としてご自身と重なる部分はありますか?
諏訪部
どちらもある種「自己満足」というか。走り屋はひたすら速さを追い求め、役者はより良い演技をするために精進していく。究極の自己満足を求めて永遠に突き進む、ゴールが無い世界ではないかと。
――では最後に本作の見どころをお願いします。
諏訪部
やはり熱いバトルが大きな見どころです。中 智仁監督もただならぬこだわりをしっかり感じて頂けると思います。大きな画面、良い音響でご覧いただきたいので、ぜひ劇場へ足をお運びください。いちクルマ好きとしてもオススメです!よろしくお願いします。
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『新劇場版「頭文字D」Legend2-闘走-』
5月23日(土)全国ロードショー
http://www.initiald-movie.com