■身体を張ってでも守りたいものがある、主演の喜矢武豊、縦横無尽の活躍、文字通りの熱演!原作はヒロイン・美朱が主人公なのだが、舞台はヒロインが出会う鬼宿(たまほめ)主軸なので、原作を知ってるファンには新鮮な視点になっている。美朱が本の中で出会うのは、かなり個性的な面々。ひとくせもふたくせもあり、普通の学生生活を送っていた美朱(みあか)にとっては新鮮を通り越して、もう何がなんだかわからない状態。しかし、運命に立ち向かっていかなければならない、決死のアドベンチャーだ。鬼宿はとにかくテンション高く、まっすぐなキャラクター。彼を取り巻く仲間たちも鬼宿に負けず劣らずである。着ている衣装は中国の時代劇に出てきそうなテイストに現代的な味付けを施したもので、お洒落。使用している生地も本格的だ。殺陣は、ただの”チャンバラ”ではなく、中国の格闘技の型を多用。太極拳の動きや中国独特の刀さばき、京劇を思わせる型、それにアクロバット的な動きを加え、ダイナミックになっている。また、鬼宿が酔っぱらってのアクション、いわゆる酔挙もある。中国の時代劇アクション映画のようで、ここは要必見だ。舞台も段差が多く、変則的な”八百屋”になっており、アクションを立体的に見せるようになっている。アンサンブルの面々、とにかく身体のキレがいい。主演の喜矢武豊、”初主演・初舞台”ということだが、”本当にお初なんですか?”と聞きたくなるくらいのクオリティだ。アクションも他のアクション・ダンス得意の面々とひけをとらないくらい、縦横無尽の活躍、文字通りの熱演。もちろん、心の機微の表現もなかなかのもので、観ているこちらも熱くなれる。ヒロイン・美朱のどこにでもいそうな感がアクセントになっている。ヒロインと鬼宿の掛け合いはクスッと笑えてホッとするところ。もちろん、お笑い要素も満載、お楽しみな仕掛けも用意されている。本当は戦いたくはないのだが、戦わねばならない。身体を張ってでも守りたいものがある。大きな舞台での活劇も楽しいが、こういった客席数の少ない、しかも舞台を席が取り囲む構造の劇場ならではの臨場感、俳優が文字通り、すぐそこにいることの醍醐味。座る位置によって見え方が違うところも、この劇場の特長だ。とにかく、オープニングから鬼宿の殺陣、としょっぱなから飽きさせない展開。ラストの8人vs8人の大立ち回り、”守りたいもの”のために戦う。ストーリーは疾走する。そのスピード感が物語を際立たせる。キャスト全員が文字通り、汗をかく、走る、跳ぶ。演出の奥村直義、こういった”活劇モノ”の見せかたは上手い。手に汗握る、そして楽しく、ちょっとホロリ、ちょっと笑い、な1幕もので、上演時間は約1時間40分。『ふしぎ遊戯』自体は、まだまだ物語は続いている。鬼宿と美朱はその後は?と気になるのは必然。続編はあるのか?、観客は気になるところだろう。
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