邦画アニメ10億円超は8本で大幅減、2014年映画市場全体は興収2000億円突破  | アニメ!アニメ!

邦画アニメ10億円超は8本で大幅減、2014年映画市場全体は興収2000億円突破 

映画製作者連盟は、1月27日に2014年度の全国映画概況を発表した。映連によれば年間の興行収入(興収)は2070億円3400万円6.6%増と堅調だった。

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映画製作者連盟(映連)は、1月27日に2014年度の全国映画概況を発表した。映連によれば年間の入場者数は1億6111万人で前年から3.4%の増加、興行収入(興収)は2070億円3400万円6.6%増と堅調だった。とりわけ興収は4年ぶりに2000億円を突破し、映画業界にとって明るいニュースだ。
入場者数の伸びを興収が上回っているのは、平均入場料金が1246円から1285円と上昇したためである。またスクリーン数は3364と、3318であった前年並みだった。2008年より一貫して横ばいが続いている。独立系映画館の減少や新たなシネコンのオープンなどもあるが、全体としては安定している。

一見は好調に見える2014年の映画興行だが、実際には歴代3位254.8億円を叩き出した『アナと雪の女王』の圧倒的な数字が支えている。『アナと雪の女王』だけで2014年の興行の12%以上を占める。本作がなければ2000億円突破がなかったことは言うまでもない。
とりわけ洋画では、『アナと雪の女王』により全体の不振が目立たなくなっている。2014年の興収10億円以上の作品の興収合計は589.9億円、『アナと雪の女王』があるにも関わらず518.1億円の前年からは約70億円増にとどまっている。10億円超の映画は2013年の21本から18本に減少した。10億円突破の作品であっても、日本の市場規模を考えれば世界的な大ヒットと比べて控えめな数字にとどまっている作品も多い。

そのなかで『アナと雪の女王』に続いたのは、65.4億円の『マレフィセント』、32.3億円の『ゼロ・グラビティ』(公開は2013年12月)だった。健闘したのは『GODZILLA ゴジラ』(32億円)、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(15.9億円)など原作が日本のもの、アメコミ原作や派手なVFXを多用した作品だ。

邦画の10億円超えは31本、前年の35本からやや減少した。トップは『永遠の0』の87.6億円だが、ひと夏に「京都大火編」と「伝説の最期編」の2本を公開した『るろうに剣心』は合わせて95億7000万円でこれを上回る。
邦画アニメは、フルCGアニメの『STAND BY ME ドラえもん』の83.8億円がトップだった。2位以降は『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』(42.6億円)、『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』(41.4億円)、『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』(35.8億円)が続く。
映画興行の好調が伝えられている劇場アニメだが、10億円超の作品だけに限ると本数は14本から8本へ、興収は402.9億円から310.7億円に大きく減少した。邦画に占める割合も48.8%から37.8%に下がった。
2014年は、2013年にあった『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』『劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』といったコアファン向け作品の大型ヒットも少なかった。

しかし、劇場アニメを支えている定番シリーズも一様ではない。近年好調な「ドラえもん」シリーズは『新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』の35.8億円に加えて、CG版の『STAND BY ME ドラえもん』が83.8億円の大ヒットだった。『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』も41.1億円と好調、『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』も18.3億円と大きく伸ばした。
一方、「ポケットモンスター」シリーズは2006年に50.2億円とシリーズ過去最高の興収となったが、以降は減少トレンドが続いている。『ポケモン・ザ・ムービーXY「破壊の繭とディアンシー』は12年振りに興収30億円割れの29.1億円、依然高水準ではあるが厳しい結果となった。スタジオジブリ作品では、『思い出のマーニー』が35.8億円、『かぐや姫の物語』(公開は2013年11月)が24.7億円にとどまった。

海外アニメーションは『アナと雪の女王』の大ヒットはあったが、10億円超えはこれ以外に11.5億円の『プレーンズ』のみである。全体としては存在感を発揮できていない。
なお2014年12月公開で大ヒットを続ける『ベイマックス』『妖怪ウォッチ』は2015年度の作品となる。2015年の動向に期待を持たせるスタートとなっている。
[数土直志]

■ 2014年度 興行収入10億円超の邦画アニメーション

『STAND BY ME ドラえもん』 83.8億円
『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』 42.6億円
『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』 41.1億円
『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』 35.8億円
『思い出のマーニー』 35.3億円
『ポケモン・ザ・ムービーXY「破壊の繭とディアンシー」/ピカチュウ、これなんのカギ?』 29.1億円
『かぐや姫の物語』 24.7億円
『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』 18.3億円

■ 2014年度 興行収入10億円超の洋画アニメーション

『アナと雪の女王』 254.8億円
『プレーンズ』 11.5億円

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