小林
現場によりますね。自分が携わる作品は現場に原作サイドの誰かがいることが多く、全然いないっていうのはあまりないです。
原作とは異なる全くのオリジナル展開だけでアニメを作りたいとなると話は違うかもしれません。ただ『アカメが斬る!』の場合はきっちりと原作があるので、打ち合わせなどに原作者がいないとやりとりが大変になってしまうんです。間に誰かが入るとタイムラグが発生してしまって時間ももったいないですし。
完結している作品でなく、原作の流れに沿った展開で作るとなると原作サイドとの密な連携が必要になってきます。今回はタカヒロさんが現場に立ち会ってくれたおかげで非常にスムーズなやりとりができました。
―小林監督が「アニメでこうやりたい」といったものはあったのでしょうか。
小林
物語は原作と齟齬がないようにすること、そしてすごく気を使ったのが絵作りですね。原作で作画を担当している田代哲也さんの絵が独特で、その魅力を損なわないようにアニメを作るにはどうすればいいのかとても気をつけました。でもやりすぎてボリュームなんかが案外大変なことになってしまって……。
田代さんの持っている絵のテンポ感を大切にしたいので、その分カット数が増えています。そこは現場的に圧迫してしまって、スタッフのみんなも大変だったと思います。
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―多い時でどのくらいのカット数に?
小林
アクションが多い回はどうしてもカット数も増えて、平均して300カット以上。特に多い回では23話が380カット。400は超えるとさすがにまずいのでそれだけは回避して、それでようやくこのカット数です。最終回のアカメとエスデスの対決も380カットくらいですね。
マンガのテンポ感を意識するとどうしても数がいってしまって。スタッフには申し訳ないと思いつつです……。
―23話、最終回はファンにとってもスタッフにとっても重要な回だったということですね。シコウテイザーもアニメで初めてデザインが起こされたと聞きました。
小林
最初はデザインもなくて、タカヒロさんから聞いた最初のイメージだと本当に始皇帝の絵だったんです。当初の設定だと、始皇帝の銅像が建っていてそれが帝具として動き出すというものでした。こちらも「そろそろシコウテイザーのデザインを起こさないといけないな」と考えた時、人型の巨大銅像だと絵的に動かしづらいのもあるので、その要素を取り入れつつアニメ用に起こしたという感じです。
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―本当に巨大ですよね。シコウテイザーってどのくらいの大きさなのでしょうか?
小林
特に決めていません(笑)。設定での大きさは特に決まっておらず、とにかくでっかい。場合によっては400mくらいあってもおかしくなさそうなカットもあります。そこはビジュアル優先で描いていて、放送でも迫力ある画面でお届けできたんじゃないかと思います。
《後編に続く》
『アカメが斬る!』
http://akame.tv/