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スマホの牽引で“バブル”が続く中国ゲーム市場、経営者と研究者の視点で見る

CEDEC 2014の2日目となる9月3日、「中国ゲームビジネス最前線2014 第一線を見つめてきた経営者と研究者の視点から見る中国進出成功の鍵」が開催されました。

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■ 中国人ユーザーは日本企業に何を求めているか?

北阪氏は、中国のモバイルゲームユーザーの動向を紹介しました。現在はカジュアルゲームもヒットしているが、ハードコアゲームもヒットしており、中間はあまり見られないという2極化が見られるとしています。また全くお金を使わない人と、より多くのお金を使う人で分かれる、という点においても2極化しています。

ハードコアなゲームの例として挙げられたのが、『武侠Q伝』というカードバトルゲーム。トップ画面は様々なアイコンが並び、複数のキャラクターと装備品、さらには装備品を強化する要素があり、MMORPGのような多数の機能が含まれています。日本でイメージするカードバトルものとは大きくイメージが違いますが、実際のところ、こういったタイトルが人気なのだそうです。
中国ユーザーが日本企業に求めているものは、版権物、ゲーム性の高いタイトル、新奇性の高いタイトルだと言います。先に挙げられたような多機能なゲームではなく、日本ならではのクリエイティブの強いところで進出していくのがいいのではないか、とのことでした。

■ これから中国進出を推進するために

最後に3氏より、各視点からの課題が語られました。まず2013年12月20日、中国文化部がモバイルゲームの賭博製をタイトル名指しで批判し、忠告を受けたアプリからガチャや抽選するものがなくなるという事態が発生しました。これについて北阪氏は、「そもそもガチャはコンテンツとして長持ちしないという傾向がある。機能としては必要だが、ガチャを中心にした作りは難しい」と答えました。
クロスメディア展開を中国で行なう上で注意すべきことは何かという問いには、北阪氏が「より大々的にやらないと思ったほど効果は得られない。同時多発的に規模感をもってやるのが大事」と回答しました。

中国で家庭用ゲーム機が正式に展開するという発表があり、日本企業はどう生かすべきかという問いでは、谷井氏は「中国では高いという印象。ゲーム好きな人は、既に日本のゲームを持って遊んでいる」と答えました。また北阪氏は「会社としては様子見。コンシューマーゲームを遊んでいる人は並行輸入で入手していて、オリジナル版のほうが価値があると思われている。中国独自要素を入れないと、正式に販売されても北米版や日本版を買うのでは。ただ、それに対応できればチャンスがあるのでは」と語りました。

最後に、中国ゲーム産業で最も期待していることはという質問には、谷井氏は「最近は中国のゲームも面白くなっている。PCオンラインゲームやブラウザゲームは相当普及していて、その開発者が今はスマートフォンゲームを作っている。それが日本に来て流行れば、両国の距離が近づくのでは」と回答。北阪氏は「10年間常に思っているが、(ゲーム市場の)バブルがはじけない。大きく期待していることはないが満足している。日本と中国がこの業界同士で近づいて、日本のタイトルが中国でヒットできれば」と答えました。
利用環境やプレイヤーの感性には、日本と大きな隔たりはあるのは確かなようです。しかし市場としてはまだ伸び続けていて魅力的であることもまた確かで、講演者から“バブル”と評された状況が今後どうなるかも気になるところです。

[ニュース提供:/INSIDE]
《Article written by 石田 賀津男@INSIDE》
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