『機動戦士ガンダムUC』福井晴敏インタビュー(ストーリー担当) 5年の歳月を経て完結 前編 2ページ目 | アニメ!アニメ!

『機動戦士ガンダムUC』福井晴敏インタビュー(ストーリー担当) 5年の歳月を経て完結 前編

2010年のepisode 1から丸5年、『機動戦士ガンダムUC』がepisode 7「虹の彼方に」をもって完結した。小説の執筆、アニメの制作にもストーリー担当として深く携わった福井晴敏さんにあらためてシリーズ全体について話をうかがった。

インタビュー
■ ガンダムを忘れた大人たちへ向けて作られたUC

―映像作品になるということを前提に小説を書かれていたということですが、アニメの現場に関わる際にはどういったことを考えられましたか。

福井 
そもそも誰に見せたいのかというところです。ガンダムファンに向けるのではなく、昔ガンダムが好きだったけど今は忘れている人を考えました。忘れているけれど、今でも食玩で出来のいいのがあったらつい買ってしまうような大人のお客さんです。10万人単位でいるその人達向けに作ろうとなりました。
「アニメは中高生のもの」というのも今回忘れよう、『24』や『LOST』といった海外ドラマを見たりする大人に向けて、同じ感覚で見られるガンダムを作ろうということになった。だけど、それは今までやったことのないので俺が離れるわけにはいかないかって、アニメの現場に深く関わることになりました。

俺は、実写の映画で徹底的なマーケティングの末、作られたものが芳しい結果を出せなかった、という経験を何度かして、これはもう思い通りやるべきだと思ったんです。俺たちの世代はアフターバブルで社会人になってからは冒険が許されなくて、とにかく「数字を守れ」「数字を上げろ」と、それで人間の価値が決まるというような、痛めつけられてきた世代だった。
「そろそろ自分の思ったところに弾を撃たせてくれ」とUCのスタッフにもそう思っている人がいっぱいいて、ちょうど機運ができていた。それをUCでひとつに結集できたんです。とても幸運でしたね。

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―世代の話と繋がりますが、今回のUCにはテーマに父性がかなり入っています。バナージが当事者ではなくて、上の世代から見た存在として明確に描かれています。

福井 
バナージは終始一貫して「階段を登る役」なんですよね。そしてカメラは、階段を登っているバナージをアップで映すのではなくて、みんなが背中を押してバナージを押し上げているという絵をかなりロング(全体が見えるような絵)で撮っている。そしてカメラは押している人たちに向けてるわけです。
俺たちの世代になると基本8割ぐらいはお父さんになっている。そうすると自分がガンダムに乗ってどうこうではなくて、むしろ昔の自分、もしくは自分の子どもがガンダムに乗って旅立つのを見送る側だろうと。そういう観点で言うと、UCはバナージの成長譚というよりも、バナージが成長する姿を見て大人が癒される話ということですね。

―視聴者の中には当然若い世代もいます。そうした世代に対して「こう見てもらいたい」といった思いや願いはあったのでしょうか。

福井 
それを意識しないで作った時におそらくきちんとした物語ができるんです。きちんとした物語なら誰でも見るはずです。思う通りにしか作りようがないんです。もちろん、世の中の動き、ターゲット層に向けたとっかかりは気にしますけど、いざ作り始めると容易にコントロールできないんです。もしマーケティングや効率主義だけで作れたものがあるとしたら、それはもう“作品”じゃなくて“商品”でしょうね。

後編に続く

『機動戦士ガンダムUC』
公式サイト / http://www.gundam-unicorn.net/

《animeanime》
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