笠原
ヒビキとイシュタルって、素敵なシーンがいっぱいありましたよね。それまでマルドゥークで籠の鳥みたいな生活をしていたイシュタルが、ヒビキに外に遊びに連れて行ってもらう『ローマの休日』みたいなシーンもあって。今回見返して、こんな素敵なシーンを作っていただいたんだと改めて思い返しました。
タカヤマ
八谷監督から「テーマは『ローマの休日』だから」と聞いた記憶があって。構図的には世間知らずのイシュタルと、それを引っ張り回すジャーナリスト・ヒビキという形で。第2話で、ふたりでいろんな所に行って、2人の親密度を高める。真実の口とか映画まんまのシーンもあったよね。
笠原
そうですね。ふたりの親密度が高まって……でもあの結末は……私、今回見たときに、涙出てきちゃったんですよ。なんで!? と思って。自分の記憶の中ではヒビキと結構いい感じだったような気がしてのに。あらためて見たら結末が記憶と違っていて、切ない、と思って。
―ヒビキはシルビーと恋人になり、イシュタルは、マルドゥークの人々に歌を広めるために旅立っていくという結末でしたね。
笠原
そうなんです。イシュタルはヒビキとシルビーのキスシーンを目撃してしまったんですよね。なのにイシュタルは動揺もせずっていう……。普通じゃあり得ないですよね。やっぱり恋心を抱いていれば、ね? 多少なりとも衝撃を受けたりすると思うんですけど、それが一切表に出ていないから。冬馬さんとも話したんですけど、あのキス現場を見てイシュタルちゃんが何とも思ってないのがすごいよね、って。
タカヤマ
そうそうそう。ヒビキも、おまえは天然か! ってぐらい、あっけらかーんとしてね(笑)。
笠原
きっとそうなんでしょうね。そこがイシュタルちゃんの純真無垢なところというか。
タカヤマ
だって、くっついた当の本人であるヒビキ役の私もシルビー役の冬馬さんも、「え? ここでキスするの?」っていう感じでしたから。ヒビキがシルビーとキスしているとことをイシュタルに目撃されて、「イシュタル!?」って返すあのシーンは、アフレコのときに演技指導が入ったんですよ。
最初のお芝居では、ヒビキがびっくりしたイントネーションで演じてみたら、音響監督さんに「そうじゃなくて、もうちょっと優しく『イシュタル』って言って」っていうふうに言われました。
私個人の気持ちとしては、“やべ、イシュタルに見られちゃった”っていう方が大きかったんですよ。2話とか3話でイシュタルに向けてた気持ちが、シルビーと見つめ合った場面でコロっといっちゃったので(笑)。
笠原
ふーん。
タカヤマ
本当、妹のようにかわいがっていたイシュタルがいて、きょうだいのようにケンカしていたシルビーがいて。で、結果シルビーとくっついて、っていうような。ヒビキみたいな子っていうのは、姉さん女房みたいな人の方に惹かれるのかな?
笠原
どうなんでしょうね。
タカヤマ
汗がだんだん出てきた。

タカヤマツトムさん