「キカイダー REBOOT」 下山天監督インタビュー“ヒト型アンドロイドはフィクションでない” | アニメ!アニメ!

「キカイダー REBOOT」 下山天監督インタビュー“ヒト型アンドロイドはフィクションでない”

インタビュー

5月24日に、映画『キカイダーREBOOT』が全国公開となる。本作は石ノ森章太郎が1972年に世に送り出したヒーローである。その半身を別々のカラーでイメージしたデザイン、そしてクールで哀しげな雰囲気を漂わせる主人公のキカイダーことジローが人気を呼んだ。
2014年に本作が、最新の映像技術で実写映画となった。1970年代のヒーローが、作品の魂はそのままに現代によみがえる。
『SHINOBI』や『PIECE~記憶の欠片~』の監督、そして数々のミュージックビデオで圧倒的な評価を得た下山 天監督がメガホンを執り、ストーリー性、ビジュアル、アクションと見どころ満載となった映画を創り出した。下山 天監督に、映画『キカイダーREBOOT』の誕生や制作について伺った。
[取材・構成:数土直志]

映画『キカイダーREBOOT』
5月24日全国公開
/http://www.kikaider.jp/

■ 『キカイダーREBOOT』の世界はSFではない

――監督はテレビシリーズの『人造人間キカイダー』世代だと思いますが、当時から作品をご存じだったのでしょうか?

下山天監督(以下、下山) 
ちょうど6歳ですね。小学校1年生だったと思います。

――そのときの『キカイダー』の印象はどういったものでしたか?

下山 
当時はいろいろなヒーローものがありましたが、お世辞ではなくて、『キカイダー』に一番ハマっていました。ヒーローものなのに主人公が<機械>として悩んでいるところ、また最強ではなくて、苦悩して戦っているところに惹かれました。
彼は居場所がないじゃないですか。ミツ子やマサルたちと3人で逃避行したり、途中からは追われている身になったり。またヒーローなのに歓迎されていません。そして自分が機械であり不完全な良心回路を持つことに苦悩する姿が、子ども心に記憶に残っていて、他のヒーローものとは別物として見ていました。

――そのテレビシリーズが1971年です。40年以上前に設定された作品を2014年に持ってくることに苦労されると思いますが、今回は本当に違和感がありません。そのあたりはどう工夫をされましたか?

下山
映画の話から少し外れますが、ここ何年間、世界中がアンドロイドの開発に向かっているという状況があります。例えば福島第一原発などの事故が起きて、こうした事故が起きた時のミッションはアンドロイド型のロボットでないと達成できないと世界中の技術者が考えるようになりました。
実際にいまロボット兵士についての国際会議もすでに行われたりしていて、ロボット兵士がそれ自体で判断して戦うことを条例で禁止したりなど、新しい『キカイダーREBOOT』の世界はもはやSFではないと思います。
1970年代当時、石ノ森章太郎先生は今後ロボットが世の中に確実に出るであろうと考えた時に、アシモフにおけるロボット工学三原則と同じようなかたちで、良心回路を設定しました。2014年の今、世界が先生の思想にやっと追いついたのです。

――人型ロボットは昔だったら非現実的だと思います。それが今はリアルになっているということでしょうか?

下山 
かつては日本だけが人型ロボットをイメージしていました。『鉄腕アトム』や、石ノ森先生は『ロボット刑事』、『キカイダー』を作りました。
アメリカでのロボットの考え方は、まず人のかたちは神しか創造してはいけないうキリスト教的思想がありましたが、それがここ数年で一気に人のかたち、つまりアンドロイド型のロボット開発が進んでいます。
例えばグーグルがアメリカの軍需産業を買収して、人型のロボットを開発しています。世界一の企業が未来のアンドロイドの開発に突き進んでいる。現実がそうなっているときに、人型ロボットはもはやSFではないはずです。

――脚本に2年かかったとのことですが、通常以上に時間がかかった理由、乗り越えなければならないものは何だったでしょうか?

下山 
現代の『キカイダー』の話にする時に、石ノ森先生がセットアップした部分をいかに現代にリバイバルするかです。ミツ子の恋愛軸やストーリー性、そしてちゃんとロボットが存在する背景ですね。
昔だったらダークという悪の結社を絶対悪の存在として、ヒーローに対して設置しやすかったと思います。ところがいまは悪の結社や世界征服を企む架空の存在はほとんど受け入れません。あるとすれば架空の仮想敵国や、政治のなかにある欲望と腐敗といった悪の存在です。

あとはストーリーがよく出来ていたとしても、誰に見せるべきものなのかが重要です。オールドファンに向けるのか、今の子どもたちなのか。子どもたちのための企画であれば、ちょっと大人向け過ぎるのではないか。あるいは逆に、オールドファンを無視していいのか。そのあたりのすり合わせで何回もつくり直しました。決して脚本が悪いのではなくて、我々の満足するストーリーだけでなく、これが『アベンジャーズ』のようなアメコミのハリウッド実写作品を見ているいまの日本のお客さまにどう映るのかもふくめて考えた結果です。

――実際にターゲットは、大人と子どもどちらなのでしょうか?

下山 
どっちもですね。ただ、きちんと徹底的にやろうと心がけました。僕は映画館で『スパイダーマン』や『ダークナイト』を見た時に、子どもたちが大スクリーンに釘付けになっていたのを目撃しているんです。小学生高学年です。彼らがCGと大音響の迫力をちゃんと楽しんでいる。だから、ストーリーはちょっと大人向けにして、彼らに合わすのではなく、彼らが背伸びして考えてもらうくらいのストーリー展開にしています。
アクションはこれでもかという迫力です。子どもたちが一幕ごとに「参った!」というぐらい徹底的にやろうと考えました。

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(C)石森プロ・東映 (C)2014「キカイダー」製作委員会.

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