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「魔法の天使 クリィミーマミ」誕生の秘密 ぴえろ創業者・布川ゆうじインタビュー前編

1983年に放送開始したTVアニメ『魔法の天使 クリィミーマミ』は、いまなお多くのファンから支持をされている。ぴえろの創業者・布川ゆうじ氏に、『魔法の天使 クリィミーマミ』の誕生の秘密、当時のスタジオの様子などを伺った。

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■ 若かったスタッフの化学反応

――シリーズ構成の伊藤和典さん、キャラクターデザインの高田明美さんは『うる星やつら』のメインスタッフでした。

―布川ゆうじ氏(以下布川) 
みんな20代~30代でしたよね。伊藤ちゃんは『うる星やつら』の前に制作進行でぴえろに入ったけど、ライター志望だったんです。だからその頃、朝、会社に着くと僕の机の上に、彼の書いた脚本が置いてあるんです。さも、「読め」といわんばかりに(笑)。忙しくて、しばらく感想を言わなかったら、また新しい脚本が置かれてた、なんてこともあったような(笑)。
そういう熱意があったので『うる星やつら』でデビューさせたんです。その流れの中で、彼の才能を『マミ』という企画に生かしてみようかなと。そういう意味では、伊藤ちゃんをシリーズ構成に据えたのは必然でしたね。

――チーフディレクターが亜細亜堂の小林治さんで、亜細亜堂のスタッフもいろいろ参加されています。

―布川 
ぴえろは『ニルスのふしぎな旅』からいくつかのタイトルを作ってきたわけですが、次第に今ぴえろにいる監督では、キャスティングが難しいなという企画が出てくるようになったんです。そういう時に外部の監督をお願いすることになる。
小林治さんの場合、どういうものを作るのか作風を知っていましたが、『マミ』は小林監督の指導力もさることながら、その下で演出した望月智充くんの存在も大きかったですね。望月くんのテイストと、伊藤ちゃんのシナリオ、高田くんのキャラクターがマッチしたのも『マミ』にとっては大きかったと思います。

――著書の『クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか?』(日経BP)では、最終回の視聴率が非常に高かったというエピソードが紹介されていますが、放送中の評判というのはいかがでしたか。

―布川 
放送当初の人気は普通でした、玩具の売れ行きも特に大ヒットということはなく、こちらも普通だったと思います。それが最終回の視聴率が20%を超えた。それで日本テレビから表彰されました。
『マミ』は1年間で魔法を使える期限が切れる、という設定でスタートしました。つまり1年後の結果が決っていたわけで、そこから逆算する形でドラマを積み上げていくという作り方が、ドラマチックで視聴者に訴えたのだと思います。やはりストーリーの強さ、というのは大事ですね。

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――最終回のエンディングで大人になった優の姿が描かれたのも印象的でした。

―布川 
あの終わり方は非常に鮮烈で、心に刻まれた人も少なからずいたと思います。それだけにパート2的なものを期待した人もいたでしょうし、それを作るのが難しくなるようなラストシーンでしたね。

――シリーズ終了後には、TVシリーズのその後を描いたOVA『永遠のワンスモア』と『ロング・グッドバイ』が制作されています。

―布川 
つきあいがあったバンダイビジュアル(当時はバンダイ ネットワーク フロンティア事業部)の方も先鋭的な人が多くて、'82年に『ダロス』をOVAとしてリリースしました。OVAはTVとは違う形で、かつ劇場ほど興行のプレッシャーもない、新しいジャンルでしたね。『マミ』のOVAはその中で成立したもので、セールスも非常によかったです。
当時驚いたのは男性ファンがずいぶんついてくれたことです。現状から振り返って見ると決して不思議なことではないんだけれど(笑)、当時は「魔法少女ものなのになぜ?」と思ったものです。今のコアなファンというのは、ルーツをたどるとあのころからきているのだろうなと今にして思いますね。
アニメ雑誌「アニメージュ」でもぴえろ自体の特集を含め取り上げてもらったのも印象的で、当時編集長だった尾形英夫さんにはお世話になりました。

※小林治 東映動画からAプロダクションを経て芝山努らと亜細亜堂を設立。主な作品に『ど根性ガエル』(作画監督)、『きまぐれオレンジ★ロード』(総監督)などがある。

※望月智充 亜細亜堂を経てフリー。『永遠のワンスモア』で絵コンテ・演出、『ロング・グッドバイ』で監督を務めている。主な監督作に『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい 』『海がきこえる』『pupa』などがある。

※『ダロス』 月移民の独立運動を描くSF。OVAで鳥海永行と押井守が共同で監督した。'83年12月16日に第1巻より先行して第2巻がリリースされ、'84年7月に全4巻で完結した。

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「クリィミーマミ Blu-rayメモリアルボックス」
発売日: 2014年5月28日
店頭予約締切日:4月16日(水)
税抜価格: 45,000円

5月28日発売

[各種特典]
キャストインタビューを含む解説書(24P予定)
[特典DISC]
「永遠のワンスモア」<1984年制作OVA版>/「永遠のワンスモア」<1984年制作 TV放映版>
[特典DISC2]
「ロング・グッドバイ」<1985年制作OVA>
「ミンキーモモVSクリィミーマミ 劇場の大決戦」<1985年制作劇場用公開映像>
ノンテロップOP・ED集(全5パターン)<1983年~84年制作>
「クリィミーソープ」<1987年制作OVA>
新作ピクチャードラマ<2014年制作>/デジタルギャラリー(静止画)
[映像特典]
「ラブリーセレナーデ」<1985年制作 ミュージッククリップ>
「カーテンコール」<1986年制作 ミュージッククリップ>
「Zutto Kitto Motto」<1998年制作 ミュージッククリップ>
[音声特典]メインキャスト・スタッフによる初のオーディオコメンタリー
DISC1 第1話「フェザースターの舟」 : 太田貴子、水島裕、肝付兼太、三田ゆう子
DISC2 第10話「ハローキャサリン」 : 太田貴子、水島裕、肝付兼太
DISC3 第23話「星のパラソル」 : 太田貴子、水島裕、島津冴子、井上和彦
DISC4 第26話「バイバイ・ミラクル」 : 太田貴子、水島裕、布川郁司
DISC5 第35話「立花さん、女になる!?」 : 太田貴子、水島裕、井上和彦
DISC6 第46話「私のすてきなピアニスト」 : 太田貴子、水島裕、藤山房伸
DISC7 第52話「ファイナル・ステージ」 : 太田貴子、水島裕、高田明美
[他、仕様]
BOX、インナージャケットは高田明美による描き下ろしイラスト
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《animeanime》
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